「筋トレは限界まで追い込むべし!」はどこまで正しいのか
「筋トレは限界まで追い込むべし!」ってアドバイスをよく聞きます。もうこれ以上は体を動かせないってとこまで疲れさせないと、筋肉は効率よく発達しないって説ですね。俗にいう「オールアウト」です。
これは、たいていの筋トレ本に書かれている常識な話でして、わたしも今までは疑っておりませんでした。ところが、いざ調べてみたら、実はそこまで固まった説でもないんだな〜と思い始めてしまったのでメモしておきます。
筋肉を疲れさせたほうが発達するのは間違いない
「オールアウト」の効果について調べた実験はいろいろありまして、代表的なのは1995年に行われたもの(1)。7人の参加者を対象に、右足と左足で違う筋トレを14週間も続けてもらったおもしろい研究であります。
その結果は明確で、どの参加者も、より疲れる運動をした左足のほうが筋肉は発達していたとか。
日本で2005年に行われた実験(2)でも結果は似ていて、
- 1セット10回の筋トレの途中で30秒の休憩
- 休憩なしで1セット10回の筋トレ
といった2パターンを実践してもらったところ、12週間後には「休憩なしグループ」のほうが筋肉はついていたそうな。
限界まで追い込まなくても筋肉は疲れてくれる
というと、「やっぱり筋肉は追い込んだほうがいいんだ!」って結論になりそうですが、ことはそう単純ではなさそうなんですよ。というのも、「オールアウトまでやらなくても筋肉は十分に追い込める!」ってデータも結構あるんですよ。
そのへんを調べたのが2006年の実験(3)で、42人の参加者に週2でスクワットとベンチプレスをしてもらったんですね。その際に、
- 10回の筋トレを3セット行い、限界まで筋肉を追い込む
- 5回の筋トレを6セット行い、筋肉は最後まで追い込まない
の2グループにわけたんだそうな。要するに、筋トレの回数をまったく同じ状況にして、オールアウトの効果をみたわけですね。
すると11週間後の結果は、
- 筋肉追い込みグループ:ベンチプレスの筋力が23%増加、スクワットは19%増加
- 筋肉追い込まないグループ:ベンチプレスの筋力が23%増加、スクワットは20%増加
といった感じだったらしい。ほとんど差は出ておりません。
さらに2008年の追試(4)では、
- 筋肉追い込みグループ:13〜15回の筋トレを3セット行う
- 筋肉追い込まないグループ:10〜12回の筋トレを4セット行う
といった設定で実験したんですが、やはり両パターンに明確な差は出なかったとのこと。つまり、トータルの負荷と回数さえ同じであれば、筋肉を追い込まなくても十分に結果は出るんだ、と。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめますと、
- 筋肉を疲れさせるのが大事なのは間違いない
- ただし、ヘトヘトになるまで追い込まなくても筋肉は発達する
といったところです。精神的にツラい場合は、そこまでオールアウトにこだわらなくてもよさそうな気もしますねぇ。