「人脈づくり」で仕事のパフォーマンスが上がる人と下がる人の違いとは?
その昔、「仕事のための人脈作りはメンタルヘルスを損なう」なんて話を書いたことがありました。仕事の世界では人脈作りが大事なのは言うまでもないものの、どうやら下心バリバリで人脈を作るとメンタルに良くないらしいんですな。
で、新しいデータ(R)は、さらに進んで「人脈作り(ネットワーキング)がメンタルに与える影響は個人の性格によって変わるのでは?」って結論になっておりました。仕事のためにネットワーキングなどにはげんでいるような方には参考になるかもっすね。
これはバンベルク大学の研究で、一般的なオフィスで働く59人の男女を対象にした観察研究になってます。まずはデザインをざっくりとまとめておくと、
- 参加者にオンライン上で「今日はどれぐらいネットワーキングをしたか?」を記録してもらう
- ついでにそれぞれの「親和動機」を調べる
- 記録を1週間ほど続けて様子を見る
みたいになってます。「親和動機」ってのは耳慣れない言葉ですけど、一般的な定義だとこんな感じになります。
自分と似ていたり,味方になる人、好意を持ってくれる人に対して,近寄って協力し,好意に報いること。 その対象の愛情を満足させ,またそれを勝ちとること,友人と離れず忠実であることを求める動機。
要するに、自分の仲間と親密な関係を築きたいぜ!って欲求のことでして、研究チームは、この「親和動機」の大小によってネットワーキングの効果に違いが出るんじゃないかと考えたわけですね。
でもって、すべてのデータをまとめたらこんな感じになりました。
- 「親和動機」が高い人は、ネットワーキングにより自分の仕事に前向きになり、作業のパフォーマンスが上がる!
- 「親和動機」が低い人は、ネットワーキングにより仕事への前向きさは向上せず、それどころか作業のパフォーマンスが下がる!
だったそうで、やはり「親和動機」によって人脈作りの影響は変わるみたいっすね。
研究チームいわく、
今回の結果は、「日々の人脈づくり」が諸刃の剣になり得ることを示している。親和への欲望が高い人ほど、人脈づくりでキャリアへの楽観性は高まり、仕事へのパフォーマンスも上がる。その一方で、親和動機が低い人には悪影響すら起こり得る。
とのこと。簡単に言っちゃえば、社交好きは人脈づくりで良い影響を得られるけど、社交嫌いには悪影響が出ちゃうってことっすね。そもそもネットワーキングはそれなりの時間とエネルギーを消費するので、社交嫌いにはダメージが大きいんでしょうな。
というわけで、私はこの研究を読んで「よし!人脈づくりはしないぞ!」と気持ちを新たにしました(というか、そもそもすすんでネットワーキングに参加したことなどないわけですが)。