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今週半ばの小ネタ:最近の若者は……問題、糖を取りすぎたら水を飲む?、自撮りはメンタルにいいの?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

   

 

なぜ大人は「最近の若者はバカだ」と思い込むのか問題

「最近の若者は……」といった批判は昔から定番で、かの柳田國男の本にも「老人は昔から若者をディスってきたよねー(大意)」みたいな記述があるぐらいだったりするわけですが、そもそも「なんで高齢者は若者をダメだと思うのか?」について調べた研究(R)が出ておりました。

 

 

これはカリフォルニア大学の調査で、研究チームいわく、

 

私たち人類は、少なくとも過去2,600年間にわたり 「最近の子どもたち」 に対して同じ不満を訴えてきた。不満の中身はどの時代も変わらず、若者は無礼で、年上の言うことを聞かず、働くのを嫌がる、といったものだ。

 

とのこと。自分もかつてはダメな若者だったかもしんないのに、なんで高齢者は子供たちを下げるのか、と。

 

 

というわけで、チームは3458人の男女に5パターンの調査を行いまして、

 

  • 最近の若者は目上の人間に礼儀正しい態度を取っているか?
  • 最近の若者が上の世代の人間より賢いと思うか?
  • 最近の若者は読書好きだと思うか?
  • 自分のことをどう思っているか?

 

といった質問を投げてみたところ、こんなことがわかりました。

 

  • 自分は偉いと思ってる高齢者ほど若者をディスる!

 

というわけで、例えば「自分は読書好きだ!」と思ってる高齢者は「若者は本を読まない!」と思うし、「俺は賢い!」と思ってれば「最近の若者はバカだ!」と感じやすいらしい。なんか恥ずかしいですな。

 

 

なんでこういう現象が起きるのかと言いますと、シンプルに「多くの人は子供時代の記憶が正確ではないから」だとチームは指摘しておられます。要するに、みんな子供のころはいま思うよりも賢くもなく、本も読んでなかったのに、歳をとると過去の記憶をゆがめて認識しちゃうのが大きな原因なんだそうな。うーん、こりゃ気をつけないと……。

 

 

 

水をたくさん飲めば過剰な糖質のダメージがやわらぐかもだ!

 

糖質のとりすぎが体に良くないのは当たり前ですが、「水をいっぱい飲めばダメージを(ある程度は)防げるんじゃない?」と思わせる論文(R)が出ておりました。

 

 

これはロンドン医学研究所の研究で、ショウジョウバエに大量の糖質をとらせたらどうなるかを調べたもの。「ハエの話か!」と思った方もいるかもですが、ショウジョウバエの代謝は驚くほどヒトに近いことがわかってるんで、意外なほど参考になるんですよ。

 

 

で、過剰なレベルの糖を摂取したハエがどうなったかと言いますと、

 

高糖質の食事を与えられたハエは、人間と同じように代謝性疾患の特徴を示す。例えば、脂肪の蓄積やインスリン抵抗性の悪化などだ。

 

ってことで、ハエも人間と似たようなダメージを受けたんですが、ここにはちょっとした違いが確認されまして、

 

  • 水を多く飲むハエほど長生きだった!

 

みたいな傾向があったんだそうな。なんでも、水を大量に飲むことで、過剰な糖にともなって出現する尿酸の量を減らすことができるらしい。

 

 

もちろんあくまでハエの実験だし、「水をいっぱい飲めば糖質をとりまくってもOKだ!」ってことにはならんのですが、砂糖が大好きな人ほど腎臓が悪かったりするのは事実ですし、とりあえず水はふんだんに飲んでおいたほうがよいでしょうなぁ。

 

 

 

自撮りはメンタルにいいの?悪いの?問題

自撮りはメンタルにいいの?悪いの?」って疑問について調べた論文(R)が出ておりました。「自撮り」というとナルシストの発露として側面が強そうなんで、なんとなくメンタルに悪いような気もするわけですが、果たして実際はどうなのか、と。

 

 

ってことで、アリゾナ大学のチームは14歳から17歳の女性278人を集めて、以下のような質問をしたそうな。

 

  • どれだけ自撮り写真をSNSなどで友人と共有しているか?
  • 自撮り写真をどれぐらい加工しているか?(肌を滑らかにしたり、小顔にしたりとか)
  • 自撮りにどれぐらいの労力と時間を費やしたか?
  • 自撮りの投稿への評価についてどれだけ心配しているか?
  • 自分の外見をどれだけ気にしているか? 自分の外見をどのように評価しているか?

 

でもって、全体的にどんな結論が出たかと言いますと、

 

  • 自撮り写真をSNSなどで共有しても、不安感情や自分の体型やルックスに否定的な感情が増すことはなかった。というか、それどころか自己イメージが向上する傾向もあった
  • ただし、自撮り写真を加工したり、投稿への評価について心配する時間が長い人は、不安の感情が強かった

 

 

だったそうな。自撮りそのものは問題ないが、自撮りの加工は人間の不安感をかき立てる可能性があるかもしんないわけっすね。

 

 

まぁ考えてみれば、「自撮りの共有」ってのは単に友人とのコミュニケーションが目的で行うことの方が多いでしょうから、いちがいに外見への不安やナルシシズムとは結びつかないですもんね。一方で、写真の加工は明らかに自己イメージに満足してないサインではありますし。

 

 

もちろん、このデータで実際に因果関係があるかどうかはわからんのですけど、「もしかしたら自撮り写真の加工はルックスに関する不安を助長するのかも?」ぐらいには考えておいてもいいかもっすね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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