トラブルで的確な判断ができない人は"あれ"が問題なのだ!というウォータールー大学実験のお話
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ここ数年、当ブログでは「賢者」に関する研究をよく取り上げてたりします。これはRPGに出てくる賢者とは無関係で、だいたい「バイアスにとらわれずに的確な判断をするのがうまい人」ぐらいの意味っすね。
具体的には「賢者になる方法」をご覧いただければと思いますが、どんな難しいシチュエーションでも、冷静さを保ちながら正しい意思決定をできる人が一定数いるらしいんですよ。うらやましいもんですなぁ。
さて、また新たに出た文献(R)も「賢者でいられない人の特徴とは?」みたいなところを調べてくれていて有用でした。研究の主筆は、「賢者になる方法」と同じくウォータールー大学のイゴール・グロスマン先生であります。賢者研究の第一人者ですな。
これは1,617人の参加者を対象にしたテストで、どんな実験だったかいうと、みんなにこんな指示をしたそうな。
あなたは一般的なマーケティングの会社で働いてるとします。そこで、同僚(または管理者)が異様にあなたに批判的だったり、不可能なレベルの高い望みを抱いていると想像してください。
あなたは、その同僚(または管理者)と意見の相違があり、完全に対立してしまいました。この問題をどう解決しますか?
要するに、自分と立場が同じ人または立場が上の人とのあいだでトラブルが起きた場合に、バチっと良い判断ができる人とできない人にはどんな違いがあるのか?ってとこを調べたわけです。
ここでチームは、「賢者になるために必要な特性」を大きく5つリストアップしていて、
- 知的謙遜:自分の知識の限界を正しく認識すること
- 不確実性の認知:現在の状況がはらむ不確実性を正しく認識すること
- 他者視点の認識:相手の立場からものごとを見ること
- 部外者の視点:完全なる第三者の視点からものごとを見ること
- 妥協の模索:問題のなかにほどよい落とし所を見つけること
を重要視しておられます。すごーく雑にまとめれば、どの特性も「自分の枠だけにとらわれずに考えようねー」ってのがポイントになってる感じですね(言うは易しですが)。
さて、この研究では、上記のような「職場内のトラブル」を想像させる実験を6回ほど行いまして、どんな結果が出たのかと言いますと、
- トラブルで正しい決定ができない人は「拒絶感受性」が高い!
だったそうです。拒絶感受性ってのはその名の通り「断られるのは嫌だ!」と思いやすい性格特性のことです。この傾向が強い人ほど、上述の「賢者に必要な5つの特性」のスコアが低くなりやすかったらしい。
また、ここでおもしろいのが、
- その人の神経症傾向(不安になりやすさ)やナルシシズムのレベルを調整しても、「拒絶感受性」の重要性は確認された
って傾向が出てるとこですね。不安になりやすい性格やナルシストのような批判に弱い性格ではなく、あくまでも「他人の拒絶にどう反応するかが大事」ってことっすね。
拒絶感受性が賢い判断のジャマになるメカニズムは簡単で、
- 拒絶されるのは嫌だ!と思う
- 自分のエゴを守るために自己防衛的になる
- 自分のことしか見えなくなり、他者視点が失われる
- 賢い判断ができなくなる!
といった流れです。拒絶への恐れが激しくて自分しか見えなくなっちゃう状態っすね。なんかコミュニケーションが苦手な人にもありそうな心理ですね。
ちなみに、この研究では個人の「拒絶感受性」を以下のような質問で判断してます。
- あなたは、経済的に困ったときに親や家族に借金を頼みたい状況だとします。この時、どれぐらい不安と心配を感じますか? そして、家族はあなたを助けてくれると思いますか?
- あなたは、親友をひどく怒らせたあとで、再び話をしようと近づいている状況だとします。この時、どれぐらい不安と心配を感じますか? そして、友人はあなたと会話してくれると思いますか?
- あなたは、職場で抱えている問題について上司に助けを求めたい状況だとします。この時、どれぐらい不安と心配を感じますか? そして、上司はあなたを助けてくれると思いますか?
もし上記のようなシチュエーションで「あー、かなり不安になるだろうし、助けを求めるのは心理的にツラいなー」と思うようなタイプは拒絶感受性が高めだと申せましょう。かくいう私もわりと拒絶感受性が高いタイプで、対人トラブルが起きるとつい自分で全て処理しようとしちゃって潰れがちだったりします。とほほ。
ってことで、私のように拒絶感受性が高いタイプは、なんらかの対人トラブルが起きた時は以下のテクニックを意識しておくといい感じです。
- 他人の悩みは解決できるのに、自分の悩みは解決できない!問題を解決する方法
- つねに的確な判断を下せる人は何が違うのか?の心理学
- 「悩みを解決したいときは、他人の視点で考えてみよう!」の正しさが実験でも確認される
どうぞよしなにー。