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今週末の小ネタ:天気と体の痛み、カンガルーケア、食事制限で運動したくなる?

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ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

    

 

 

慢性痛が悪化する天気の条件とは?みたいな研究の話

天気が悪いと古傷が痛む……」みたいな話をたまに聞きますが、それが事実なのかどうかを調べた論文(R)が出ておりました。

 

 

これはマンチェスター大学の研究でして、どんなデザインだったかと言いますと、

 

  1. 2,658 人の男女を集めて「スマホに日々の痛みを記録してくださいねー」と頼む
  2. スマホの記録を毎日の気象条件と比べる

 

みたいになってます。そこでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • 長らく頭痛や関節炎などに悩んでいる人は、寒さと湿気が強くて気圧が低い日には、痛みが増す確率が通常より約20%ほどアップする
  • たんに寒いだけの日や、たんに湿度が高いだけの日には、痛みの増加は見られなかった

 

だったそうです。どうやら寒さ+湿気+低気圧の条件がそろうと、人間の痛みは増加しやすくなるみたい。

 

 

研究チームいわく、

 

普通の天気の日に痛み感じる確率が100分の5だったとすると、湿って風の強い日にはこの数字が100分の6に増える。

 

ってことですが、こういう違いが出る正確なメカニズムは不明とのこと。本当に温度や気圧の組み合わせが原因なのか、それともまったく違う要因があるのかすら、よくわかってないらしい。不思議なもんですなぁ。

 

 

まぁまだ決定的な証拠はないものの、もし現時点で慢性的な痛みにお悩みなら、天気予報をチェックしておくと、痛みえへの備えができていいかもですなー。

 

 

 

カンガルーケアが子供の左脳を育てる!みたいな実験

子供の成長には肌の触れ合いが必須だ!」みたいな結論のデータ(R)が出ておりました。

 

これはフロリダ・アトランティック大学の論文でして、「カンガルーケアは赤ちゃんの育成に役立つか?」って疑問を調べたものです。カンガルーケアって私は初耳だったんですが、裸の幼児を母の素肌に胸と胸を合わせる形で抱っこするケア手法なんだそうな。

 

 

で、今回のデータは33組の母子を対象にしたもので、カンガルーケアのトレーニングをした母子とそうでない母子のあいだで、どのような違いが出るかをチェック。6週間での差をくらべたところ、

 

 

  • カンガルーケアを行った幼児は、脳の左前頭野(高次の認知と情動のコントロール能力に関係するエリア)が刺激されていた
  • さらに、カンガルーケアをした母子は、ストレス反応が下がり、ついでにオキシトシンが増加した

 

だったそうな。もちろんこれが長期的にはどうなるかはわからんものの、とりあえず短期的には幼児の発達に好ましい影響が確認されたわけですな。

 

 

研究チームいわく、

 

今回の研究によれば、母親による温かみのある育児は、子供の脳の左半球の神経発達との間に相関があることを示している。幼児とその母親は、カンガルーケアを長期使用することで、メリットを受ける可能性が高い。

 

とのことなんで、検討してみてもいいかもしれません。ただし、まだ幼児の全身状態が落ち着いていない場合は危険も報告されてますんで(R)、くれぐれも医師と相談の上安全性を確保しつつ実践をよろしくお願いします。

 

 

食事の時間を制限したほうが運動のモチベーションが上がるかも?

食事の時間を制限したほうが運動のモチベーションが上がるかも?」みたいな研究(R)が久留米大学から出ておりました。自由にいつでも食事ができるような状況よりも、限られた時間しか食事ができないような状況の方が、エクササイズをする気持ちが高かまるかもしんないんだそうな。

 

 

といっても、これはまだマウス研究の段階でして、研究チームはこんな実験をしております。

 

  1. 餌を自由に与えられたマウスと、1日2回の限られた時間だけ食事を与えられたマウスの2グループを作る
  2. マウスたちの運動量がどれぐらい変わったかを調べる

 

すると、食事の時間を限られたマウスたちは、運動用の車輪で遊ぶ量が増えたんだそうな。

 

 

好きに食事をしないほうが運動する気になるのは不思議な感じもしますが、このような現象が起きる理由として、チームは「グレリン」ってホルモンの存在を重要視しておられます。グレリンは食欲をブーストさせるホルモンで、脳に空腹感を引き起こす役割を持った物質です。

 

 

事実、この実験では、自由に食事を与えられたマウスにグレリンを投与したら、食事を制限したマウスと同じぐらい運動量が増えたんだそうな。この結果を見ると、確かにグレリンが運動のモチベーションを上げてる可能性はあるのかも。

 

 

研究チームいわく、

 

 

グレリンの産生は基本的に激しい空腹感を促進する。しかし、食事が制限されている場合は、グレリンが運動するモチベーションを上げてくれるのかもしれない。

 

そのため、規則的な食事時間を守ることに加えて、定期的な絶食を取り入れれば、過体重の人たちの運動のモチベーションがアップする可能性がある。

 

とのこと。もちろんマウス実験レベルの話なんでヒトにも当てはまる話かはわからんのですが、もしかしたら「運動のモチベーションを高めたければあえて食事を制限せよ!」みたいなアドバイスにつながるのかもっすね。

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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