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今週半ばの小ネタ(新型コロナエディション):自粛の期限、医療現場の負担、ウイルス潜伏問題



ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 新型コロナに関する新しいデータがいくつか出てたので、今回はそこらへんのまとめなど。
 

我々はいつまで自粛すればいいのか問題
まぁ「この自粛はいつまで続くのか?」なんてのを正確に予想できるわきゃないんですが、ある程度の目安になりそうなデータ(R)をUSCなどが報告してくれておりました。


これは世界の36カ国におけるウイルスの感染パターンを研究したもので、具体的には、

  1. ウイルスの日次増殖率
  2. 累積症例の倍数までの時間

という2つの指標を使ってます。ちょっとわかりづらいですが、ひとつめは日ごとの症例数の増加率(%)で、ふたつめは感染者数が倍になるまでにかかる時間の長さを表してます。なんでも、この2つは感染パータンを把握するためのかなり信頼度が高い指標なんだそうな。


で、ここからチームは専門家に向けて3つのベンチマークを設定してるんですが、その辺が気になる方は元論文をお読みいただくとして、私たちの日常に関わりそうなポイントを抜き出すと、

  • 国による積極的な介入が最適な結果を得るためには、少なくとも44日間は必要になる
  • 積極的な介入で感染ペースがやわらぐまでには3週間を必要とする
  • コントロール段階に到達するまでに約1カ月かかる
  • 封じ込めを達成するまでには約45日かかる

のようになってます。ここでいう「積極的な介入」とは、ロックダウン、外出禁止、隔離などのことでして、ここまでやっても完全に封じ込めるまではおよそ1カ月半はかかるんだ、と。うーん、辛い。


まぁ日本だと徹底的な介入が難しい側面もありますんで、やっぱ各自が自粛し続けるしかないですわなぁ……。



医療現場の負担がハンパない問題
「新型コロナの対策現場の現状はこれだ!」って内容のデータが(R)「JAMA Network」に掲載されておりました。これは中国で行われた調査で、COVID-19の患者を受け入れた34の病院から1,257人の医療従事者を対象としたもの。


研究では、全員のうつ病、不安、不眠などを計測してまして、その結果がどうだっかというと、

  • 参加者の半数がうつ病の症状を報告
  • 44.6%は不安、34%が不眠、71.5%が苦痛を訴えていた

とのこと。これは2003年に起きたSARSと似たような傾向だそうで、最前線の医療関係者さんたちの激しいストレスが偲ばれるわけです。


研究チームいわく、

COVID-19の最前線で働く医療従事者は、他の医療従事者よりもメンタル面のすべての測定値でより深刻な症状を報告した。

とのこと。まぁこの問題に私らで何ができるかと言えば難しいんですが、とにかくヘルスケアワーカーたちへの敬意は心がけておきたいところです。



症状が治ってもウィルスは体内に潜伏してる問題
新型コロナで軽度の症状が出た患者の中には、治療が終わってから8日後までウイルスが体内に残っているケースもあるぞ!」って報告(R)が出ておりました。これはイェール大学医学大学院の調査で、北京の治療センターから16人の患者のサンプルを調べたものです。


研究チームは、2回の検査で陰性の結果が出て担任した患者のノドをチェックして、ウィルスを分析したそうで、結果として何がわかったかと言いますと、

  • 1人を除くすべての患者の潜伏期間は5日間で、症状は平均して8日間続き、症状が治まった後も1日〜8日間は体内にウィルスが残っていた
  • 少なくとも全体の半数は退院後もウィルスを拡散していた

だったそうで、なかなか面倒な感じっすね。もちろんかなりサンプルの少ない研究なんで、この結果がどこまで普遍的なものなのかはわからんのですが、軽い症状で治った方におかれましても、その後の行動は気をつけた方がよいのかもですな。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。