ナルシストと自信がある人ってなにが違うの?というか本当の自信ってなに?問題
ナルシストは単に「自尊心が過大な状態」なのか?
「ナルシストと自信がある人ってなにが違うの?」って論文(1)がおもしろかったんでメモ。
これはアムステルダム大学の実験で、研究者いわく、
一見したところでは、ナルシシズムと自尊心は同じように思える。ポップカルチャーなどにおける一般的な考え方では、ナルシシズムは自尊心がありすぎる状態として考えられているからだ。
さらには私たち心理学者ですら、ナルシシズムを「高い自尊心が過度な状態」や「膨張した自尊心」と捉えている。
とのこと。確かに言われてみれば、どちらも「自分に自信を持ってる」って点では同じでして、あらためて「どこが違うの?」と言われると難しいものがありますな。
ナルシストと本物の自信はここが違う
が、ここで研究チームは過去の「ナルシスト研究」をあらためてレビューしたうえで、両者の差をハッキリさせようと試みております。そこで結論から引用しますと、
ナルシストは他者よりも自分を優れた存在だと考えている。しかし、だからといって自分に満足しているわけでもない。
って感じ。要するにナルシストと自信は、価値観の置き方が違うんだって話ですな。
ざっくりと違いをまとめると、
- 自信がある人=自分自身に価値を置いているが、自分と他人を比較はしない
- ナルシスト=他人との比較で自分の価値を確認しないと安心できない
みたいな感じです。ナルシストは他人との比較を噛まさないと自分の価値を感じられないんで、そのぶんだけ外部からの批判や攻撃に弱いわけっすね。つまり、両者を見分けるポイントとしては、
- 普通に自信がある人は、他人からの批判に動じない
- ナルシストは他人からの批判に攻撃的になりやすい
といった風になりましょう。「他人の攻撃に弱い自信家」って、ネットで口論ばっかしてる人にありがちなパーソナリティですな。
ナルシストが生まれる理由とは?
また、「なぜナルシストが生まれるの?」って問題について、研究チームは以下のように推測しておられます。
両親と教育者は、他者との比較で子供をほめるのではなく、純粋な愛情と賞賛を子供に向けるべきだ。そうすれば、両親や教師は、子供たちに「他人よりも良いか悪いか」ではなく、自分自身へちゃんと価値を置けるようになるだろう。
他者との比較をしがちな現代の教育法が、ナルシシズムの発達を招いているんじゃないか、と。このへんはハッキリしたデータがないんですけど、確かにありそうな話ですな。
ここ数十年で、西洋の若者のあいだでナルシシズムの比率が上昇している。今後は、ナルシシズムを抑えて、自尊心を向上させるような取り組みが必要だ。
ってことで、「正しい自信を育てようぜ!」って視点が強調されておりました。まぁいったん自己愛がひねくれると、意外と「正しい自信」を育てるのって難しいんですけどね…。
ちなみに、現時点で自分のナルシシズムにお困りの方は、以下が参考になるかと思われます。
- 自信を持ちたい!とか言う前に、まずは「セルフコンパッション」から鍛えるべし
- 人生が生きづらい人に送る「セルフコンパッション」を鍛える6つのトレーニング例
- 「失敗してもうた!」を成長の起爆剤にするセルフコンパッション法
さらに「本当の自信ってなによ?」って問題につきましては、
などをご参照いただければ幸いです。どうぞよしなに。