「お腹が空いているときに運動したほうが痩せる!」は本当なのか?
「空腹時の運動はアリかナシか」問題に決着が
「お腹が空いているときに運動したほうが痩せる!」みたいな考え方が昔からあるわけです。空腹時はすぐに使えるエネルギーが少ないので、普段よりも体脂肪が燃えやすくなる!といった理屈ですね。
いかにもありそうな話ですが、この問題についてはまだハッキリしたデータがあったワケじゃないんですよね。そのため、当ブログで2015年に書いたエントリでも、「長期的にはそこまでダイエット効果がないかなぁ…」ぐらいのボンヤリした結論を出しております。
そんな状況下、かなーり精度が高い論文(1)が出まして、ようやく「空腹時の運動はアリかナシか」問題にハッキリしたことが言えそうな感じなんですな。
「空腹時の運動」のダイエット効果を徹底的に調査
これはシドニー大学の研究で、過去に行われた「空腹時の運動」に関するデータをまとめたメタ分析。トータルで96人の男女を対象にしていて、年齢は21〜27才であります。
ちょっとサンプル数が少なめですけど、そもそもこの手の実験ってあんまり行われてないので、仕方ないとこですね。とりあえず、現時点でもっとも精度が高いデータなのは間違いないかと。
各実験のおおまかなデザインを説明しておくと、
- 参加者を半分にわけて、ひとつのグループは起き抜けの空腹状態で運動、もうひとつのグループは軽食を食べてから運動
- 4〜6習慣ほど運動を続けて、両グループの体型に差が出たかどうかをチェック
みたいな感じです。実験で使われた運動はいろいろで、HIITがあったり、軽い負荷のサイクリングやトレッドミルがあったりみたいな。
「空腹時の運動」には意味がなかった
さて、大きな結論を申し上げますと、
- 空腹で運動しようがしまいがダイエットには影響なし!
だったそうです。効果量で言うと0.02〜0.05ぐらいでして、まぁ違いはなしと断言していいレベルっすね。
さらにもうちょい細かい話をすると、
- 男女の差に関わらず、空腹時に運動しようがしまいが体脂肪は同じように減る(効果量 = 0.05)
- 筋肉量も同じように増える(効果量 = 0.04)
- 個人差もほとんどない (I2 = 0%)
ってことでして、「お腹が空いているときに運動したほうが痩せる!」説は完全に無効だと考えてよさげ。
さらなる体の引き締めに使うならアリかも
ただし、2015年のエントリでも書いたとおり、空腹時の運動が短期的に脂肪を燃えやすくするってデータもありますんで、すでに痩せた体型の人がさらに体脂肪を落としたいときには使えるかも。具体的には、
- 体脂肪が男性で13%以下、女性で20%以上ぐらいの人が、短期的(1〜2カ月ぐらい)で自分を追い込むために使うならあり!
とは言えるような気もいたします。まぁフィットネスモデルのような方であれば、「空腹時の運動」にも多少のメリットはあるんじゃないかと。いっぽうで、一般人が試すほどのメリットはなさそうですねぇ。