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今週半ばの小ネタ:コラゲーンペプチドと美肌、クルクミンと筋肉痛、50歳からの生活改善に意味はあるか?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

  

 

 

コラーゲンペプチドが肌を改善しまくるかもだ!みたいな実験

コラーゲンは肌に効くのか?」って問題は昔からあって、疑似科学クラスタでは「無意味だ!」と切り捨てられることが多いかと思います。

 

 

個人的にも「コラーゲンは胃でアミノ酸に分解されるからなぁ……」とは思ってるものの、一方近年では「ペプチドなら直に肌を改善するのでは?」って考え方もあったりするんですよね。ペプチドってのは「超小さいコラーゲン」のことで、これなら肌に効く可能性もあるんじゃないか、と。

 

 

ってことで、新しい研究(R)では35歳以上の健康な女性72名を対象に、「コラーゲンペプチドどうよ?」ってのを調べてくれておりました。ざっくりと実験デザインを申し上げますと、

 

  1. 半分の参加者に1日位2.5gのコラーゲンペプチドを飲んでもらう
  2. 残りの人たちにはニセコラーゲンを飲んでもらう
  3. 12週間後の違いをチェックする

 

みたいになってます。そのうえで、「肌がどれぐらい水分をキープしてるか」や「肌の弾力性がどうなったか」をチェックしたら、結果はグラフのようになりました。青いバーがコラーゲンを飲んだグループで、赤がプラセボです。

 

 

 

左から、A)肌の水分、B)肌の弾力、C)肌の粗さ、D)肌の密度を表していて、いずれもコラーゲンの完勝って感じになってますね。うーん、これは思ったよりも差が出ている‥。

 

 

もっとも、今回のテストでは「エラステン」っていう総合的なサプリを使ってて、コラーゲンのほかにも、アセロラ果実エキス、ビタミンC、亜鉛、ビオチン、天然ビタミンE複合体なんかが入ってたりします。そこを考えると、本当にコラーゲンのおかげなのか?って気もするわけですが。

 

 

個人的には「ペプチドなら直に肌を改善する」説には乗り切れないとこもあるんで、美容のためにコラーゲンを取ろうとはまだ思ってないし、なんなら「プロテインでもいいのでは?」ぐらいに考えではおります。が、とりあえず「コラーゲンで美肌に!」って考え方が根も葉もないわけでもないってとこは押さえておいて損はないでしょうね。

 

 

 

クルクミンで筋肉痛が防げるかもよ?みたいな実験

クルクミンといえば、カレーのスパイスであるターメリックにふくまれる成分のひとつ。抗酸化作用が大きいことで知られていて、「メンタルからアンチエイジングまでいろんなメリットがあるのでは?」とか考えられてたりします。

 

 

で、新しいデータ(R)は「クルクミンで筋肉痛がやわらぐんじゃない?」って結論になってました。クルクミンは抗炎症効果が高いので、いかにも筋肉の痛みにも効きそうなわけです。

 

 

こちらは33人の若い男女を対象にしたテストで、

 

  1. トレッドミルで下り坂ランニングを45分ほどやってもらい、筋肉を痛めつける
  2. 参加者の半分に500mgのクルクミンを飲んでもらい、残りはプラセボカプセルを飲んでもらう
  3. 筋肉痛にどんな違いが出たかを調べる

 

みたいになってます。その結果がどうだったかというと、

 

  • クレアチンキナーゼ(筋肉のダメージを示す指標)は、クルクミンを飲んだグループがちょっとだけ減った
  • 参加者の主観的な筋肉痛のレベルは、クルクミンを飲んだグループのほうが減少していた

 

って感じでして、個人的な雑感としては「そこまで激しく筋肉痛の改善に役立つかは不明だけど、クルクミンの抗炎症効果は間違いなさそうなんで試すのはアリ」ぐらいの感じです。私は筋肉痛は好きなタイプなので別に使う予定もないですが、「筋肉が痛くていつもどおりのトレーニングができない!」ぐらいのレベルな方は、ちょっとだけ試してみる価値もあるんじゃんないかと。

 

 

 

50歳からでも生活を変えればメチャクチャ効果があるぞ!という観察研究

世の中には「歳を取ってから生活を改善しても効果は低い!」みたいな考え方もあるわけですが、「いや、50代から改善でもすごい効果を得られるのだ!」ってな心強いデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはNHSっていう超有名な調査(健康のプロを何十年も調べたすごいデータセット)を使っていて、「歳を取ってから生活をあらためたらどれぐらいの効果が得られるのか?」ってポイントを調べたもの。具体的には、

 

  • 59727人の女性が平均52歳から生活を悔い改めたら、26年後に脳卒中のリスクはどう変わるか?

 

ってところを見てまして、ここでいう「生活改善」がどんなものだったかと言いますと、

 

  • 禁煙
  • 1日30分以上の運動
  • 肥満の改善
  • 魚を週3回以上食べる
  • 赤肉の摂取量を週3回以下にする
  • ナッツを1日1回以上食べる

 

みたいになってます。もちろん体に良い習慣は他にもありますけど、特に効果が大きなものにフォーカスした感じっすね。

 

 

そこで大きな結論を申し上げますと、上記のポイントを改善した女性は、

 

  • 全脳卒中リスクが25%減る!
  • 虚血性脳卒中リスクを36%減る!

 

みたいになります。正直、「かなりの改善レベル」と言っていいんじゃないでしょうか。実際のところ、1日30分の運動をして肉を控えて魚を増やして……みたいにすべての要素を改善するのは、慣れないうちは意外と大変な気もしますけど、これだけの改善が見られるならモチベーションが上がるんじゃないでしょうかー。

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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