菌から作ったマイコプロテインがミルクプロテインよりも筋肉に効くかも?みたいな話
近ごろ話題の食材に「マイコプロテイン」ってのがあります。当然ながら舞妓とはなんの関係もなく、マイコトキシンの「マイコ」、つまり菌から作り出したプロテインのことです。
「菌」と言われると少しビビりますけど、マイコプロテインは高タンパクで食物繊維も豊富でして、味も悪くないらしいんですね(残念ながら食べたことはない)。アミノ酸のバランスも良くて、特に筋肉の発達に欠かせないロイシンを多くふくむんで、筋肉野郎からの注目も熱かったりします。とにかく面白い食材なんですよね。
そこで新しいデータ(R)は、「マイコプロテインとミルクプロテインはどっちがいいの?」ってとこを調べていて、個人的にはかなり惹かれる内容になっておりました。
これは20人の健康な若者(平均22歳)を対象にしたテストで、全体を2つのグループに分けてます。
- 筋トレ後に31gのミルクプロテインを飲む(そのうちタンパク質は26.2gで、ロイシンは2.5g)
- 筋トレ後に70gのマイコプロテインを飲む(そのうちタンパク質は31.5gで、ロイシンは2.5g)
その上で全員の血液と筋肉のサンプルを取り、プロテイン摂取の直後と4時間後に、筋肉のタンパク質合成がどうなったかをチェックしたんだそうな。
その結果を簡単にまとめるとこんな感じです。
- タンパク質合成レートはミルクプロテインよりもマイコプロテインの方が大きかった(0.035 ± 0.008 〜0.056 ± 0.005% vs 0.024 ± 0.007 〜 0.072 ± 0.005%)
- 特に4時間後の調査では、マイコプロテインの方がかなり成績は良かった(0.065 ± 0.004 vs 0.054 ± 0.004%)
ってことで、全体を見るとマイコプロテインの方が良い成績が出たらしい。これはちょっと気になる結果ですねー。
とはいえ、もちろんこの研究にも判断が難しいポイントがありまして、
- 短期的なタンパク質合成の変化が、長期的な筋肉量の変化につながるかはわからない
- ロイシンの量はそろえてるけど、トータルのタンパク質量(31.5 vs 26.2 g)とカロリー (238kcal vs 108kcal) はマイコプロテインの方が多い
ってのがあるんで、これで「マイコプロテイン最高だ!」とは言いづらいとこっすね。筋肉量アップにロイシンが欠かせないのは確かなんだけど、それだけが大事ってわけでもないですからねぇ。
あと、2つのプロテインでカロリーの差が大きいのが気になった方もおりしょうが、これはマイコプロテインがふくむ脂質のせいです(9 vs 0.3 g)。ひょっとしたら、ここらへんもマイコプロテインで良い成績が出た理由なのかもしれません。
というのも、いくつかの先行研究では、タンパク質に資質を組み合わせたほうが筋肉が増えやすくなる可能性が指摘されているもんですから。例えば、卵の白身だけを食べるよりも黄身といっしょの方が良かったり(R)、スキムミルクよりも全乳のほうが良かったりとか。ここらへんを考えると、マイコプロテインが本当に有利なのかはまだよくわからんところです。
ちなみに、この研究で使われたマイコプロテインは「クォーン」(Quorn)ってやつで、イギリスなどでは普通に販売されてたりします。現状ではホエイプロテインよりも2〜3倍のコストがかかるんで筋トレに使うのは現実的じゃないんですけど、チキンに似て美味だって話なんで、ちょっと買ってみるかな‥…。