今週半ばの小ネタ:オリーブオイルのポリフェノール問題、風呂の健康効果、ストレスの白髪は復活できる?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
オリーブオイルを料理に使うとポリフェノールはどれぐらい減るのか問題
オリーブオイルが健康にいいのは常識ですが、新たな研究(R)では「料理で加熱しても抗酸化作用は続く!」って結論になってて非常によろしい感じでした。
これはサンパウロ大学などの調査でして、どんな実験だったかというと、
- オリーブオイルを使って120ºCと170ºCの温度で調理する
- オイルのポリフェノールにどれぐらいの変化が起きたかをチェックする
みたいな感じです。従来のオリーブオイル実験って、現実の台所とは違う条件で行われてるケースが多いんで、できるだけリアルな状況でオリーブオイルにどんな違いが出るかをみたわけですね。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- 料理に使ったあと、非加熱時のオイルと比較して、ポリフェノールが120ºCでは40%、170ºCでは75%減少した
だったそうです。「なーんだ、やっぱ加熱すると抗酸化パワーは減るのかー」と思われたかもしれませんが、チームは次のようにおっしゃっておられます。
調理中にポリフェノールの濃度は低下したが、EUが定義する健康レベルの基準を上回っている。すなわち、LDLコレステロールの酸化を保護するには十分なレベルということだ。
ってことで、加熱によってポリフェノールが減っても、それでもオリーブオイルは使う価値があるんだ!ってことですね。いやー、やはりオリーブオイルは強い……。
毎日の風呂で心疾患にかかりにくくなる?
大阪大学などから「毎日のお風呂で心臓発作が起きにくくなる?」って研究(R)を出しておられました。こちらはどんな研究だったかというと、
- 秋田や岩手から3万76人の男女を集める(年齢は49〜59歳)
- みんなに「1週間でどれぐらいお風呂に入ってますか?」と尋ねる
- 19年ほど追跡調査をして、その間に起きた心疾患の発症率と比べる
みたいになってます。そこでどんな傾向が見て取れたかと言いますと、
- 毎日お風呂に入る人は週に0~2回だけお風呂に入る人より、心血管疾患リスクが28%、脳卒中リスクが26%低い
- お風呂の温度については、心血管疾患の発生率との相関は見られなかった
だそうです。風呂に入ると血行が良くなって、そのぶん血管にもいいのかな?と思わせる結果ですね。
ただし、これはあくまで観察研究なので、
- 風呂以外の要因が病気の発生を左右してる可能性もかなりある(例えば、風呂によく入る人ほど裕福なのかもしれないし、シンプルに健康意識が強いのかもしれないし、入浴しない人はすでに体を壊していたのかもしれない)
- 入浴の回数は調査のスタート時点でしかチェックしてないので、そのあとで生活習慣が変わった可能性も結構ある
って問題はありまして、これだけで「健康になるために毎日風呂だ!」とは言えないことはご注意ください。まぁ現時点で言える風呂のメリットとしては「寝る前のシャワーや風呂は睡眠の質を上げる!」ってのがありまして、これはかなり精度が高い話ではあります。このメリットだけでも毎日の風呂はアリかとは思いますが。
ストレスが原因の白髪はもとの黒髪にもどせるのでは?説
まだ査読前の段階で恐縮ですが、「ストレス性の白髪は回復できる!」ってデータ(R)がおもしろかったんでメモっときます。
この研究は、14人の参加者から400の毛髪サンプルを集めたもので、
- 髪の毛が白髪になったパターンをチェック
- 参加者がストレスを感じた時期をチェック
- 2つのデータを比べて関係がないかをみる
みたいになってます。白髪の原因は完全にわかってないものの、ストレスが大きな原因なのは間違いないところ。ならば、ストレスが減れば白髪も修復されるのではないか?とチームは考えたわけですね。
すると、果たして両者には明確な関係がありまして、
- ストレスが多い時期には、やはり白髪が増える傾向があった
- ストレスが減ると、再び黒髪にもどっていた
だったそうな。従来は白髪はもどせないと言われてたんですけど、もしかしたらストレス性のものであれば再び黒くするのも可能なんじゃないか、と。これはちょっと希望が持てる話っすね。
まぁまだ査読前ですし正直なとこ調査法もかなりゆるいんで、ぜひ話半分ぐらいに取っていただきたい話ですが、近ごろ白髪が気になり始めた私としては、やっぱ無駄なストレスは抑えとこう……とか思った次第です。