睡眠の質を上げるには寝る前の風呂とシャワーは何時ごろがベストなの?というメタ分析の話
寝る前の風呂とシャワーは何時ごろがベストなの?って問題を調べたメタ分析(R)がおもしろかったんでメモ。
これはテキサス大学などの研究で、まずは調査のテーマを申し上げますと、
- 寝る何時間前にシャワーを浴びるとグッスリ眠れるの?
みたいな感じです。寝る前の入浴やシャワーにはメンタルのリラックス効果があるのは有名な話。そのおかげで睡眠の質も上がるんだけど、その効果を最大化するタイミングはどれぐらいなの?ってところを調べてくれたわけです。
具体的には、5,322件の先行研究から信頼度が高い17件をまとめてくれていて、
- 何時のシャワーで眠りに入りやすくなるか?
- トータルの睡眠時間は長くなるか?
- 睡眠の効率は良くなるか?(ちゃんと本人の希望どおり眠れるか?)
- 主観的な睡眠の質は改善するか?(本人にグッスリ眠れた感はあるか?)
といったポイントを調べてくれております。なかなか信頼度が高い内容でよろしいのではないでしょうか。
でもって、すべてのデータをひっくるめた何がわかったかと言いますと、
- 寝る前の入浴やシャワーは1〜2時間前がベスト!
- 温度は40〜43度がベスト!
だそうです。このガイドラインを守ると、眠りにつくまでの時間が普段より10分ほど短くなるそうな。寝床に入る90分前にシャワーを浴びとくのが良さげですねー。
で、このような現象が起きる理由ですが、メンタルのリラックス効果のほかにも、
- 入浴やシャワーが体温を下げてくれるから
ってのも大きかったりします。なんだか矛盾した話のようですが、どういうことかと言いますと、
- 熱いお湯で全身の体温調整システムが起動する
- システムの働きにより、血の流れが手足の末端に向かう
- 手足の末端は放熱効果が高いので、熱がガンガンに拡散していく
- その分、体の深部体温は冷えていく
みたいになってます。体を温めたおかげで放熱効果が生まれ、逆に深部体温(脳や内臓の温度ね)は下がっていくわけっすね。
でもって、深部体温ってのは全身に「もう寝る時間だぞ!」ってシグナルを送る役割を持ってたりします。なので、深部体温が下がれば下がるほどガンガン眠くなっていくものなんですよ。
つまり、シャワーや風呂で体を温めてから深部体温が下がるまでに、だいたい90分ぐらいかかるわけっすね。逆にこれより短いタイミングでシャワーを浴びちゃうと、まだ深部体温があったまったままなんで、睡眠には悪影響なのかもしれませんな。
ってことで、「睡眠を改善するためのシャワーは寝る90分前に40度!」と覚えとくといいかもしれません。どうぞよしなに。