より疲れにくい体を作るための「筋グリコーゲン超回復」の考え方
「運動で満足なパフォーマンスを出すには適度な糖質が必須!」とはつねづね書いているところでございます。運動で使われるエネルギーをスピーディに補給するには、どうしても糖質が必要なんですよね。
で、ここで気になるのが「糖質の超回復」の問題です。超回復といえば、
- 筋トレでの後で休憩を取ると、筋肉の総量が前より増える!
って現象を意味することが多いですが、実際には「体が糖質を保存しておける量がトレーニング前より増えた!」みたいなときにも使うんですよ(正確にはグリコーゲンですが)。
糖質の超回復が起きると何がいいのかと言いますと、
- 筋肉などがより多くのグリコーゲンを保存しておける
- 運動の時にエネルギーを使っても余剰ができる
- 運動のパフォーマンスが上がる!
ということです。ガソリンを多く使えるぶんだけ、疲れにくい体になれるわけっすね。
というわけで、ハードな運動をする人や疲れにくい体が欲しい人ほど糖質の超回復は欠かせないわけですが、最近のデータ(R)はそこらへんを調べていて有用でありました。糖質の超回復が起きるには、どれぐらいの運動や糖質が必要なのかをチェックしてくれたんですな。
これはボンド大学の研究で、7人のサイクリストが対象(VO2peak: 57 ±4 mL)。実験期間は9日間で、
- 1日目、5日目、9日目にハードな運動をして、体内のグリコーゲンをすっからかんにする
- 運動がない日は軽いサイクリングぐらいで体を休ませつつ、体重1kgあたり10gの糖質をふくむ食事をする
みたいなデザインになってます。全員がどんな運動をしたのかと言いますと、
- エアロバイクをピークパワーの90〜60%で2分だけこぎまくる
- ピークパワーの40%で2分だけエアロバイクをこいで少し休む
- 1〜2をヘトヘトになるまで繰り返す
って内容でして、ノルウェイ式HIITにちょっと近い感じでしょうか。これは辛いっすね。
でもって、定期的に筋肉の組織を検査してグリコーゲンのレベルをチェック。と同時に、運動能力のテストを行ったところ、以下のような結果になりました。
- 1日目の筋グリコーゲンに比べて、5日目の筋グリコーゲンはかなり超回復していた!(583.6 ±111.0 vs. 835.1 ± 112.8mmol kg−1 dry mass)
- 9日目の検査でも、筋グリコーゲンは超回復を見せていた(848.3 ± 111.4 mmol kg−1 dry mass)
- 総合的なサイクリングの能力も、1日目より5日目の方が向上し(+8.7 ± 5.4 kJ kg−1)、さらに9日目の方が向上していた(+6.4 ± 6.8 kJ kg−1)
ってことで、高負荷なトレーニングを4日に1回のペースで行いつつ高糖質な食事をすると、順調にグリコーゲンの超回復が続くかもしれないわけっすね。これは、持久力をつけたい人にはおもしろい結果じゃないでしょうか。
ただ、残念ながらこの論文では、
- どんな糖質源を使ったのか?(飲み物?食事?)
- どんなタイミングで糖質を取ったのか?
といったデータが提供されてないので、もうちょい細かいところを知りたいとこではあります(三大栄養素のバランスぐらいしか出てないんで)。
まぁあんま細かいことを考えても仕方ないので、
- 定期的にグリコーゲンがすっからかんになるレベルの運動をする
- 十分に休みながらちゃんと糖質を摂ってエネルギーを補給する
ぐらいに思っとくといい感じかもですな。私も激しい有酸素運動をした後はガッツリ糖質をとるように心がけたいところです。