「アルツハイマーになりたくなければ歯を磨け!」という研究結果の話
「アルツハイマーになりたくなければ歯を磨け!」っていう斬新な論文(R)がナイスだったんでメモ。
これはコルテキシムっていうベンチャー企業の研究で、本文を読んでると、どうもアルツハイマー病で亡くなった方の脳から歯周病菌が見つかるケースは昔から多かったらしい(ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg)って菌)。近ごろは「歯周病は心疾患で死ぬリスクをはねあげる!」みたいなデータをよく見かけるようになりましたけど、認知症にも影響してる可能性があるわけっすね。
で、今回の研究では、まずアルツハイマーに悩む男女の脊髄から液体を採取したところPgのDNAが見つかったんですよ。さらに、53人の患者さんの脳を調べたら96%にPgが作り出す毒素が見つかったんだそうな。これがどういうことかというと、
- 歯周病の毒が口から脳に達している!
ってことですね。こわっ!
さらに、ここではマウス実験もやってまして、
- 健康なマウスの歯にPgを塗って放置
- 6週間経ってから脳を調べる
って調査をしたところ、マウスの脳から大量のアミロイドベータとPgの毒素が見つかったそうな。これを見ても、歯周病菌の毒が脳に行ってる可能性は十分にありそうっすね。
研究チームいわく、
口腔内の健康は、人生を通じて非常に重要な要素だ。笑顔を美しく見せるのに必要なだけでなく、深刻な病気のリスクも減らすことができる。
なかでも、遺伝的にリウマチ関節炎やアルツハイマーのリスクが高い人は、歯茎の健康に気をつけるべきだろう。
とのこと。まぁ過去のデータに照らすと、すべてのアルツハイマー病の患者さんからPgが見つかってる訳でもないんで、「歯周病こそアルツハイマーの原因!」とは言えないところです。あと、実験の根本的な問題として「使ってる指標が多すぎないか?」ってとこもありまして、追試で違う結果が出る可能性はまだあるかなーとは思うところです。
とはいえ、近ごろは国立循環器病研究センターなどの研究チームが、「虫歯菌で認知機能の障害が起きるのかもよ?」って方向で研究を進めてたりしていて(R)、「口の健康は頭の機能を保つためにも必須」って考え方はかなり見込みがあるようにも思うわけです。
とりいそぎ、我々にできるのはデンタルケアぐらいなんで、歯周病だけは防いでおきたいとこっすね。