痩せる人工甘味料と太る人工甘味料の2種類ががあるのかも?説が出てた件
人工甘味料ってどうよ?って話についてはこれまでもいろいろ書いていて、とりあえず個人的な印象としては、
- まぁ取り立てて騒ぐような危険性はないでしょう
- かといって「これ!」といったメリットもないでしょう
ぐらいの感じです。積極的に飲もうとは思わないものの、「危険!必ず遠ざけよ!」とか煽るもんでもないかなー、という。
で、まだよくわかってないのが「人工甘味料で痩せられるの?」みたいなとこです。人工甘味料はカロリーが低いから痩せる!って意見がある一方で、人工甘味料は強い甘みで脳を暴走させるから逆に食べ過ぎにつながる!みたいな意見もありまして、よくわからないポイントなんですよね。
いちおう最近のメタ分析によりますと、
- もしかしたら肥満の人には効くかもだけど、もっとちゃんとした実験が必要だよねー
- 普通体型の人が人工甘味料を飲んでも無意味なのは間違いないんじゃない?
ぐらいの結論になってて、まだまだ未知の要素が多かったんですよ。
ってことで、近ごろわりと「ちゃんとした実験」が行われまして(R)、人工甘味料のダイエット効果について調べてくれてたんでメモしときます。
これはパデュー大学の研究で、肥満に悩む154人の男女が対象。実験では全体を5つのグループに分けてます。
- スクロース(砂糖の主成分)入りのドリンクを飲む
- アスパルテーム入りのドリンクを飲む
- サッカリン入りのドリンクを飲む
- スクラロース入りのドリンクを飲む
- レバウディオサイドA入りのドリンクを飲む
ご覧のとおり、スクロースを飲んだグループ以外はすべて人工甘味料です。それぞれ1日のドリンク摂取量は1.25〜1.75 Lで、スクラロースドリンクが1日400〜560 kcalなのに対し、人工は1日<5 kcalぐらいになってます。圧倒的なカロリー差ですな。
実験期間は12週間で、全員のカロリー摂取量と消費量、食欲、耐糖能などの変化をチェック。体組成についてはDXA法を使ってまして、なかなか精度が高い内容になってます。
で、結果をダラーっと箇条書きにすると以下のようになります。
- スクロースとサッカリンを飲んだグループは体重が増えていた(それぞれ+1.85 ± 0.36 kg、+1.18 ±0.36 kgの増加、P ≤ 0.02)
- アスパルテーム、レバウディオサイドAは、特に体重への影響はなかった
- スクラロースのみ体重の減少が見られた(≥ 1.37 ±0.52 kg)
だったそうで、スクロースで体重が増えるのは想定の範囲内としても、サッカリンでも太ってスクラロースは痩せるってのはちょっと意外ですねぇ。
スクラロースで体重が減ったのは、もちろん総摂取カロリーが減ったからでして、なぜか食事の回数も減る傾向が見られたんだそうな (P = 0.045)。逆にサッカリンを飲んだグループは主観的な食欲が上昇しまして、どうも同じ「人工甘味料」でも種類によって反応が違うのかもですな。
もっとも、この実験は1日1.25〜1.75 Lっていう大量のドリンクを飲んでるんで、果たしてこの結果がどこまで現実に適用されるのかはよくわからんところではあります。とりあえず結論分を引用してみると、
サッカリンは体重へのデメリットが確認され、スクラロースにはメリットが確認された。過去のメタ分析では「人工甘味料には別段のメリットがない」との結論もあったが、これは様々な人工甘味料を考慮したせいで効果が打ち消しあったのかもしれない。
それぞれの人工甘味料には個別の影響があることを、今後は考えるべきだろう。
とのこと。ひとくちに人工甘味料といっても、それぞれの影響は違うのかもよ?ってことで、確かにおっしゃるとおり。
まぁ今回の実験を見る限り、全体的にはどの人工甘味料にもそこまで激しい体重の増減が見られたわけでもないので、現時点での考え方としては、
- 人工甘味料の体重ダメージについては、基本的にサッカリンを除いては気にしなくてよさげ
- スクラロースで体重が減るかもしんないけど、別にダイエット効果を狙って使うほどではない
ぐらいに思っておくといいのかもですねー。