定番の人工甘味料「アスパルテームで糖尿になる!」はどこまで本当か?
健康系でよく議題になるネタといえば「人工甘味料」ですな。「人工」って響きがちょっと怖いもので、一部には「毒のかたまりだ!」みたいな主張もあったりとか。
もっとも当ブログではそこまで人工甘味料を目の敵にしてなくて、「人工甘味料は毒素!」みたいな話題は完全に無視してますし、「カロリーゼロでも太る!」といったネタも信用してません。
もちろん、わたしはパレオダイエッターなんで、好き好んで人工甘味料をとろうとは思わないものの、あえて反対もしないぐらいのスタンス。もしかしたらアレルギー体質の人には問題が出るかも……って感じなので、そこらへんはご注意ください。
アスパルテームは糖代謝に悪影響?
さて、といったところで今回はアスパルテームに関する論文(1)です。砂糖よりも甘味が強い人工甘味料で、日本だと「パルスイート」などが有名ですな。
で、一部には「アスパルテームで癌に!」みたいな論調もあったものの、最近では否定されているのは上にも書いたとおり。ただし、もうひとつ「アスパルテームって糖の代謝によくないんじゃない?」って説については、まだよくわかってなかったんですよ。
というのも、2016年に行われた動物実験(2)では、アスパルテームを飲ませたラットに耐糖能異常が出たというんですな。つまり、人工甘味料で糖尿病の予備軍になっちゃったわけです。
もっとも、この結果がヒトにも当てはまるかは微妙なとこで、「よくわからんけど糖のコントロール機能を悪化させるかも?」ぐらいに言われてたんですな。悩ましいですねぇ。
そこで新しくパデュー大学が実験を行いまして、果たしてアスパルテームで血糖や食欲なんかに影響が出るのか?ってところを調べてくれたんですよ。
ダイエットソーダ2リットル分の人工甘味料を毎日飲んだらどうなる?
これは93人の健康な男女を対象にした研究で、いずれも標準体重で血糖値も正常な人だけを選んだらしい。実験期間は12週間で、全体を3つのグループにわけております。
- 1日350mlのアスパルテームを飲む
- 1日1050mlのアスパルテームを飲む
- プラシーボのカプセルを飲む
350mlというとだいたいダイエットソーダ2缶分で、1050mlはダイエットソーダ2リットル分ぐらい。これだけの量を飲む人はさすがに少数派でしょうな。
でもって、全員には定期的に耐糖能のチェックを行いつつ、ついでに血液検査も実行。さらに体重と食欲の変化も記録したそうな。こりゃあ参考になるテストですな。
答え:何も異常は起きませんでした
さて、その結果がどうだったかと申しますと、
- 全グループになんの違いもなし!
だったんですな。耐糖能も血液のグルコース量のどちらとも、どれだけ人工甘味料を飲もうが同じだったらしい。
ついでに体重や食欲についても全グループで変わらず、アスパルテームには悪影響が見られなかったんだそうな。いやー、ここまでなんの差も出ないもんなんですね。
ってことで、とりあえず現時点では、アスパルテームは糖代謝に影響しないし、食欲も増やさないし、当然ながら肥満にもつながらなさそうであります。あとに残った心配は腸内細菌への影響ぐらいでしょうか。
しかし、ここまで有意差が出ないと、「どうしても甘いものが欲しい!」という方はアスパルテームを使ってしのぐのもいいのでは?って気になりますなぁ。