人工甘味料はどこまで危険なのか?2016年バージョン
人工甘味料はどこまで危険?
「人工甘味料って危険なの?」って議論は昔からありまして、当ブログでもいろいろと書いております。とりあえず、現時点での話をまとめると、
といったあたりは信頼できそう。アメリカ食品医薬品局も、いろんなデータを精査したうえで「まぁ人工甘味料は安全っしょ」 って結論(1)を出してますんで、必要以上にビビることはまったくない感じ。
でも腸へのダメージが心配
となると、後は気になるのが「腸内環境への影響」であります。人工甘味料ってのは腸で吸収されないからゼロカロリーなんですが、そのせいで腸内の細菌を荒らしちゃうんじゃないの?って説は昔からあったんですよね。
何度も書いているとおり、腸内細菌と仲良くするのはパレオダイエットの大きなテーマのひとつ。人工甘味料が本当に腸に悪いのなら、やはり止めるしかないわけであります(特にアレルギー体質の人は)。
ってなわけで近ごろ参考になったのが、天下のネイチャー様に掲載されたナイスな論文(2)であります。マウスとヒトを対象にいろんな角度から検証を行っていて、現時点での参照元としてはベストではないかと。
1週間の人工甘味料で腸内細菌にダメージが
とにかくいろんなパターンの実験をしているので、美味しいとこだけピックアップしますと、
1.マウスに人工甘味料を飲ませ続けたら…
生後10週間のマウスたちに、ブドウ糖か人工甘味料(スクロース、サッカリン、アスパルテーム)を飲ませてみた実験。11週間ほど続けたあとでテストをしたところ、人工甘味料を飲んだマウスほどグルコース不耐症のレベルが上がってたんだそうな。
グルコース不耐症ってのは、要するに甘いモノを食べても、なかなか糖質を処理できない状態のこと。これが続けばメタボや糖尿病につながっていくわけですね。
ちなみに、なかでも悪影響が大きかったのはサッカリンだったとのこと。怖いですねぇ。
2.ヒトに人工甘味料を飲ませたら…
続いて行われたのが、7人の健康な男女を対象にした実験。ふだんは人工甘味料をまったく飲まない人だけを集めて、1週間だけサッカリンを飲んでもらったんだそうな。
実験に使われた用量は体重1kgあたり5mg。もちろん、アメリカ食品医薬品局が認めた「安全ライン」に収まっております。
そこでどんな結果が起きたかと言いますと、
- 7人中4人はグルコース不耐症のレベルが上がり、腸内細菌も激変していた
- ところが残りの3人は何の悪影響も受けず、腸内細菌も安定していた
みたいな感じ。実は過去の研究でも「人工甘味料でお腹をやられる人と、何の影響も出ない人がいるかも?」って話はチラホラあったんですが、あらためて似たような結果が出てますねぇ。不思議なもんです。
3.ヒトの便をマウスに移植したら…
ここで面白いのが、上の実験に参加した人たちの便を無菌マウスの腸に移植してみる調査も行ってるとこ。
無菌マウスってのは、生まれた直後から無菌室で育てられたマウスで、腸内細菌がまったく存在してないんですね。なので、細菌の影響を調べるときなどによく使われるわけです。
で、結果がどうだったかというと、
- 人工甘味料で腸内細菌がダメージを受けた人の便を移植したマウスは、同じようにグルコース不耐症が悪化した
- 人工甘味料で悪影響がなかった人の便を移植したマウスは、何の変化も起きなかった
みたいな感じ。これを見ると、やはり人工甘味料が腸内細菌にダメージを与え、最終的にはエネルギー代謝の異常にまでつながっていくのかなー、という。
まとめ
というわけで、このデータをまとめると、
- 人工甘味料で悪影響が出る人と出ない人がいる。その違いがどこにあるかはまだわからない。
- 人工甘味料のダメージは、おもに腸内フローラと糖代謝のシステムに起きる。
といったところです。なので、
- すでにメタボな人
- アレルギー持ち
- 高血糖な人
なんかは人工甘味料を遠ざけといたほうが安全かもしれませんねぇ。甘味が欲しいときは、やっぱラカントやステビアかなぁという気がいたしますね。