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快眠をサポートする最強アイテム「メラトニン」の効果と使い方をガッツリ調べたメタ分析の話


 このブログで最頻出の快眠サプリと言えば「メラトニン」。これは私たちの体の中で自然に作られるホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれる成分。主に脳の「松果体」って小さな器官で作られ、夜になると分泌が増え、自然な眠気を促進してくれる役割を果たしているんですな。

 

メラトニンの分泌は「光」に敏感で、日中、特に朝に太陽の光を浴びると分泌が抑えられ、夜になると再び増える性質があったりします。このため、メラトニンは「体内時計」を調整する働きも持っており、私たちの睡眠と覚醒のリズムをサポートしてくれるんですな。

 

そこで新しい研究(R)では、「睡眠を改善するためには、どれぐらいのメラトニンをどのタイミングで飲めば良いのか?」って問題を深掘りしてくれてまして、私のようなメラトニンユーザーには大変参考になりました。

 

 

メラトニンの正しい効果と飲み方

これは、メラトニンの寝つきや睡眠時間に与える影響を調べたメタ分析で、18歳以上の男女1,689人が参加したランダム化比較試験(RCT)26件をまとめたもの。メラトニンの摂取量は1日あたり0.1〜10 mgまでで、摂取のタイミングは寝床に入る3.5時間前から直前までさまざまだったりします。全体的な実験の質はそこそこで、なかなか信頼に足る結論を出してくれてるんじゃないかと。

 

でもって、分析の結果はこんな感じになりました。

 

  • メラトニンで寝付きやすくなる:メラトニンを飲むと、寝つくまでの時間(睡眠潜時)は、平均で9分短縮された。特に効果が見られたのは、就寝の2〜3時間前に3〜4 mgを服用した場合で、寝つきまでの時間が最も短くなったとのこと。メラトニンの服用タイミングが早すぎても遅すぎても効果が薄まるため、少し早めのタイミングで飲むのが良さそうっすね。

 

  • メラトニンで睡眠時間が延びる:メラトニンは睡眠時間にもポジティブな影響を与えるようで、試験の結果、睡眠時間が平均で20分延び、特に3 mgの服用が最も効果的だった。こちらも就寝3時間前の摂取が最も効果的だったため、夜のリラックスタイムの始まりとともに服用するのが理想的かもしれない。

 

  • メラトニンが効きやすい人の特徴:寝つきの悪さや睡眠時間の短さを感じる人にほどメラトニンが効果的で、特に以下の人に効果が見られた。

    • 不眠症ではない一般の人:メラトニンの効果は「不眠症の人」よりも「不眠症ではない一般の人」のほうに強く現れる傾向があった。睡眠に関連して健康問題がない方が、メラトニンの助けを借りることで一層寝つきやすくなる可能性があるわけですな。

    • 就寝の数時間前に服用できる人:メラトニンは寝る直前に飲んでも効果は低め。理想的には2〜3時間前に摂取するのが良く、これによって体内にメラトニンがゆっくりと吸収され、自然な眠りへと導かれるので、それぐらいのタイミングで飲める人じゃないと意味が無いかも。

 

 

メラトニンを効果的に使うためのポイント

では、以上の知見をふまえて、メラトニンを効率的に利用するためにはどうすれば良いのかをチェックしてみましょう。ここで重要なのは、メラトニンの摂取量とタイミングの調整であります。

 

  • 摂取量のポイント:多くの研究が示す効果的な量は「3〜4 mg」。これ以上の量を摂取しても、効果が飛躍的に上がるわけではなく、むしろ過剰な量は翌日のだるさなどの副作用が出る可能性もある。なので、1回あたり3mg程度を目安にすると良さそう。

 

  • 摂取タイミングのポイント:メラトニンには、速放性と徐放性の2種類のタイプがある。速放性は服用後約50分、徐放性は約167分でピークに達するため、寝つきを早めたいなら速放性を、長時間の安定した睡眠をサポートしたいなら徐放性を選び、どちらも2〜3時間前に飲むのがベストと考えられる。

 

  • 安全性と副作用について:メラトニンは割と安全性が高い成分であり、依存性もなく、長期間にわたって使っても大きな副作用は確認されていない。しかし、摂取後に眠気が残ることがあるため、服用後は車の運転などの危険を伴う行為を避けるのが賢明。

    また、高用量を摂取した場合も、重大な副作用は確認されていないものの、眠気や頭痛、軽いめまいは報告されている。服用量が少ないほど、こうしたリスクも下がるため、少量からスタートし、必要に応じて増やすのが良さげ。

 

  • メラトニンが効かない場合はどうする:「メラトニンを飲んでも効かない!」と感じた時には、以下の要因が関わっている可能性があるので、ここらへんを調整してみるのが吉。

    • 摂取時間が早すぎる/遅すぎる:メラトニンは就寝の2〜3時間前に飲むのがベストなので、寝る直前に飲むと、体内のメラトニン濃度がピークに達するまでに時間がかかり、期待した効果が出にくくなる。

    • 日中の光量が足りていない:メラトニンは体内時計に影響を受けるため、効果を出すためには、日中に十分な光を浴びる必要がある。特に朝日を浴びると体内時計がリセットされ、夜間にスムーズなメラトニン分泌が促されやすくなる。逆に、日中に暗い室内で過ごすと、夜にメラトニンの効果が十分に得られないことがある。

    • カフェインやアルコールの影響:カフェインやアルコールには、メラトニンの効果を減少させる可能性がある。睡眠に問題がある人は、寝る前の数時間はこれらを避けるべし。

 

ということで、いろいろ書いてきましたが、やはりメラトニンってのは、寝つきや睡眠時間を改善するための有力なサポートツールだと言えましょう。もちろん、睡眠を改善する魔法の薬ってわけじゃないので、本当に不眠にお悩みの方は、「不眠症用認知行動療法(CBT)」のような根本的な治療法と併用する必要があるでしょう。実際、この研究でも「CBTは平均で寝つき時間を19分短縮する効果がある」と報告してまして、ガチ悩みの方ほど試してみるべきであります。

 

ここらへんをふまえて、メラトニンを有効にお使いくださいませ。試してみたい方は、IHerbのような 海外サイトから輸入できますんでー。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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