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ココナッツオイルを使うと「良いところ」と「悪いところ」

Coconut

 

ってことで、先だって「ココナッツオイルは純粋な毒だ!」ってニュースにいろいろ書いたわけです。ざっくりポイントをおさらいすると、

 

  1. そりゃあココナッツオイルに何でも治すような効能はありませんよ
  2. そりゃあココナッツオイルもただの油ですから、普通に飲んだらカロリーがヤバいですよ
  3. でも、ココナッツオイルには有利な報告も多いんで、少なくとも「純粋な毒」ってことはないでしょ

 

みたいな感じです。我ながら穏当なことしか書いてませんが、普通に考えればこんな感じでしょう。

 

 

ってことで、ここではさらに具体的に「ココナッツオイルってどうなの?どんな良いことと悪いことがあるの?」というポイントを掘り下げていこうかと思います。何事にも善悪はあるもので、当然ココナッツオイルにも有利なポイントと不利なポイントがあるわけですな。そこらへんをまとめていこうかと。

 

 

ココナッツオイルに不利なポイント

では、まずは「不利なポイント」から。

 

 

1 LDLコレステロールが増えるかも

ココナッツオイルはほぼ飽和脂肪酸なんで、いっぱいとればLDLコレステロールが増える可能性は高いわけです(1)。この問題をベースに、アメリカ心臓協会も警告を出したわけですね。

 

 

ただし、ココナッツオイルでどれぐらいLDLが増加するか?ってあたりは意見が分かれてて、

 

  • 28人を対象にした実験だと、どうもバターとかと比べればマシっぽい(2)
  • 1986年の実験でも、どうやら牛肉よりはLDLが上がりにくいみたい(3)

 

といったあたりを見ると、「まぁ普通の飽和脂肪よりはいいのかも?」って気にもなるわけですが、以前にも書いたとおりコレステロールは粒子のサイズが大事だったりしますからねぇ。

 

 

ココナッツオイルは複数の脂肪酸が混ざってるんで、果たしてココナッツオイルでLDLが小さくなるかは誰にもわからんところです。とりあえず、LDLコレステロールが多めな方はご注意くださいってことで。

 

 

2 もしかしたら免疫系に悪いかも?

これはリサーチが少ない分野の話ですが、一部に「ココナッツオイルで下痢をした!」とか「ココナッツオイルでアレルギーが悪化した!」って話もあるんですよ。

 

 

というのも、ココナッツオイルには抗菌効果がありまして、こいつがバクテリアに効くいっぽうで、副作用のもとになる可能性もなくはないんですな。実際、ルール大学の実験(4)なんかだと、ココナッツオイルにふくまれるラウリン酸で免疫系に悪影響が出たって報告も出てたりしますしね。

 

 

あくまで動物実験レベルの段階ではありますが、もしココナッツオイルで気分が悪くなった場合はすぐに止めていただければと。

 

 

3 煙点がイマイチ低いよねー

「煙点」は油から煙が出始める温度で、要は「どれだけ高温に強いか?」を意味しております。この数値が高いほど高温の料理に向いてることになるわけっすね。

 

 

その点でココナッツオイルはイマイチなところがありまして、未精製の場合は175℃ぐらいしかないんですよ(パーム核油は240℃)。なので、高温の料理にココナッツオイルを使うのは不向きでして、さらにくわしくは「体を老化させない最強の料理油はどれだ?問題」などをどーぞ。

 

 

まぁ当ブログでは基本的に低温の調理を推奨してるんで、そこまで煙点がデメリットにはならないかもですが。

 

 

ココナッツオイルに有利なポイント

続いて「有利なポイント」を見て行きましょう。

 

 

1 なんせココナッツを食べまくってる人は健康

前回も触れたとおり、南太平洋でくらす部族なんかは総カロリーの6割以上をココナッツで満たしてるのに、やたらと健康で心疾患も癌も非常にすくないんですよ。

 

 

さらにおもしろいのが1980年に行われた人類学の調査(5)で、これはココナッツが大好きなトケラウ人を調べたもの。簡単に言うと、

 

  1. より近代的なエリアに移住したトケウラ人を追跡調査する
  2. 近代的な暮らしをするトケウラ人と、昔ながらの暮らしをするトケウラ人を比べる

 

みたいな研究です。すると、近代化したトケウラ人は、飽和脂肪酸の摂取量が大きく減ったにも関わらず、心疾患リスクが激増したというんですな。ココナッツが健康にいいって証拠にはなりませんが、少なくとも「ココナッツオイルは悪くないんじゃない?」と思わせるには十分なわけです。

 

 

とはいえ、当然ながらトケウラ人が消費してるのはココナッツクリームだったり未精製のココナッツオイルだったりしますんで、先進国との環境の違いは考慮せにゃならんわけですが。

 

 

2 なにせココナッツオイルは酸化に強い

不飽和脂肪酸が酸化に弱いのは有名な話で、たとえばスナック菓子に使われるコーン油なんかは、熱でどんどん劣化しちゃうことがわかっております(6)。一説には、この手の酸化油が心疾患の原因じゃないの?とも考えられてまして、なんともいやですねぇ。

 

 

いっぽうでココナッツオイルは熱で変化しにくい性質がありまして、酸化や重合反応にも強いんですな。ここらへんは他の植物性油にない大きな利点かと思われます。

 

 

3 美容にもいいよねー

 

ココナッツオイルが髪のダメージに効く!って話は昔からありまして、一定のデータ(7)も出てたりします。どうやらココナッツオイルは髪に浸透しやすい性質を持ってて、ダメージヘアの予防になるっぽいんですな。

 

 

同じように肌への効果にもナイスなデータ(8)が出ていて、肌の乾燥に悩む34人にエクストラバージンココナッツオイルを使ってもらったら、症状が改善したんだとか。さらに2008年の実験(9)ではアレルギー性の皮膚炎にも良い結果が出てまして、これまた試す価値がありそうではあります。

 

 

まとめ

そんなわけでいろいろ書きましたが、「薬みたいに飲む」とか「コーヒーに入れて飲む」みたいにムチャな使い方をしなければ、ココナッツオイルは十分に健康と美容に役立ってくれるのではないかと思う次第です。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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