人見知りは「わざと外向的なキャラを演じろ!」ってコミュニケーション術はどこまで使えるのか?
「外向的な人は幸せだ!」ってデータは昔から多いんですよ。ビッグファイブで外向性が高く出た人は人生が楽しく、日々の満足度も高いって結果が一貫して出てるんですな。
ざっくり言えば社交的で活動的な人ほど幸せだって話でして、内向レベルがめちゃくちゃ高い私としては嫌になっちゃうんですが、これが事実であります。トホホ。
この問題を解決する方法はいろいろあるんですが、昔からよく言われてきたのが「外向的なフリをすればいいんじゃない?」みたいなアイデア。「ディルバート」のスコット・アダムスも「内向的な人間にとっては、ありのままの自分でいるよりも別人を演じたほうが楽だろう」と書いていて、一理あるよなぁとか思うわけです。
そんな折、「内向的な人が外向キャラを演じる作戦って本当に使えるの?」って問題を調べた論文(1)が出まして、私のような引きこもり人間にはとても参考になりました。
これはメルボルン大学の論文で、147人の男女を2つのグループに分けております。
- 内向的っぽく行動する(出しゃばらず、敏感で、落ち着いて謙虚な感じ)
- 外向的っぽく行動する(人当たりがよく、活発に行動するような感じ)
実験期間は1週間で、その間は1日6回ずつ「どんな気分か?」や「どんな行動をしたか?」のチェックを受けたんだそうな。
でもってどんな結果が出たかと言いますと、
この実験の効果は全体的にポジティブなものだった。それに、大半の被験者にとって、外向的なフリをしてもコストはかからなかった。
だったらしい。もともと外向的な人は外向的な行動を増やすことでさらにポジティブな感情(情熱とか生命感とか)が増加し、内向的な人もちゃんと良い気分になれたんだそうな。思いのほか良い結果が出てますな。
ただし、この手法が万能かと言えばそんなことはありませんで、
- 内向的な人は「外向を演じている瞬間」は幸福度が増すが、「後から振り返ってみた場合」は幸福度が増さないことが多い
- ついでに「後から考えれば疲れたなぁ…」と思ってネガティブになっちゃうことも多い
って副作用はあった模様。その場では楽しいんだけど、後から考えて嫌になってしまうケースがあるんだ、と。いやー、我ながらめんどくさい人種ですね(笑)
研究チームいわく、
生まれつき内向な人は、外向的な行動によって得られるメリットが普通よりも少ない。それどころか、外向を装うせいで幸福に悪影響が出る可能性もある。
そのそも内向的な人は、外向に比べてポジティブな感情を味わいたい欲求が少ないことも考えられる。
とのこと。これもすごくわかるなぁ……。
とはいえ、内向的な人でも「その瞬間は」ポジティブになれるようなんで、このメリットを活かす方向で考えた方がいいのかもしれんですな。
具体的な方策としては、ハーバード大学のブライアン・リトル博士が「素の自分と違う人間を演じる時はどうすればいいのか?」って対策を立ててますんで、合わせて参考にしていただければ幸いです。