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現代での成功に欠かせない「静かなエゴ」がもたらす6つのメリット



礼儀正しさこそ最強の生存戦略である」なんて本もあるとおり、近年の科学界では「相手への敬意を忘れない人の方が成功する!」とか「無礼な人間ほど失脚しやすい!」みたいなデータが増えてきた印象であります。かつては傲慢で人を人とも思わないキャラが大成した時代もあったけど、ここんとこ情勢が変わってるんじゃないの?ってことですね。


ってなことを思ってましたら、「謙遜できる人間にはいいことだらけなのだ!」っていうおもしろ論文(R)が出てましたんでメモしときます。

これはコロラド大学の研究で、5つの実験を通じて「謙遜」はいかにメリットが多いのかを調査したもの。研究者いわく、

謙遜の態度には、自身の限界を受け入れる意思が必要になる。そのおかげで、自己陶酔へのレベルは低くなる。

とのこと。謙遜のおかげで「俺が!俺が!」みたいな気持ちが薄れるし、逆に「自分のせいだ!」といった自虐心もなくなるので、いろいろとメンタルに良いことが起きるんだよーってことですね。まぁ自意識過剰だとパフォーマンスは確実に落ちるし、他人からの協力も得にくいですから。


なので、この論文では謙遜のことを「静かなエゴ」と呼んでたりします。これはわかりやすいキャッチフレーズっすね。


で、ここでは実験の内容そのものよりも、研究者が過去のデータをサーベイして得られた「謙遜のすばらしさ」の部分をまとめときます。



謙遜のメリット1.セルフコントロール能力が高い

謙遜できる人は、エゴに満ちた人よりセルフコントロールの能力が高いんだそうな。当ブログではおなじみの「人生の成功に欠かせない能力」のひとつですな。



が、この能力には「こだわりすぎると逆に低下する」って性質がありまして、どうも「セルフコントロールをするぞ!」と思えば思うほど実際のパワーは発揮できなくなるらしいんですよ。なので、エゴが高めな人ほど逆にセルフコントロールは下がっちゃうわけですな。



謙遜のメリット2.リーダーに向いている

 謙遜できる人は意外とリーダーに向いてるそうな。謙遜する分だけ人に好かれやすいってのもありますが、実際にリーダーとしての能力も高いんだそうな。なぜかといえば、

優れたリーダーは自分の間違いを認めねばならないし、仲間たちの強みも見極めなければならない。これらの要素はいずれも謙遜するからこそ満たすことができる。

とのこと。確かにエゴが強いリーダーは間違いを認めたがらなそうだし、仲間の強みには気を配らなそうですからねぇ。



謙遜のメリット3.仕事ができる

セルフコントロール能力と仕事のパフォーマンスは密接に結びついてますんで、謙虚な人の仕事力が高いのは納得でしょう。事実、2011年の観察研究(R)でも、正直で謙遜できる人ほど仕事のパフォーマンスが高い傾向があったそうな。



謙遜のメリット4.勉強もできる

 これも上と同じで、セルフコントロール能力が高ければ勉強もできますからねぇ。2006年の研究(R)でも、やっぱり「謙虚な人は成績がいい!」って結論が出たんだそうな。



謙遜のメリット5.人間関係がいい

これは当然の話で、いつも「俺が!俺が!」と言ってる人よりは、エゴを抑えられる人の方が好かれるのはよくわかる話でしょう。2013年の研究(R)では、「謙遜により人間関係の絆が強くなる!」みたいなデータ結果も出てたりしますしね。



謙遜のメリット6.死の不安に強くなる

最高の体調」でも「死の不安はヤバい!」みたいな話を書きましたが、謙遜心が大きい人はこの感情に強い傾向があるんだそうな。まぁ「死」ってのはどこまでも個人的な現象なので、エゴが薄れるほど恐怖心もなくなっていくのはよくわかりますね。



ってことで、どうやら謙遜のメリットってのは「セルフコントロールの向上」によるところが大きそうっすね。


まぁスタンフォードのジェフリー・フェファーさんなんかは「悪いヤツほど出世する」なんてデータも出してますんで、嫌な性格が権力を握るケースもやはり多いようではあります。ここらへんは個人の価値観でしょうけど、どうせなら人から好かれた上に成功したほうがいいですわな。


あとは「謙遜ってどうすれば鍛えられるの?」ってとこが気になるとこですが、そのへんについては、


なんかが参考になるのではないかと思われます。どうぞよしなに。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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