学歴が高い人は仕事のパフォーマンスも高いのか?を調べた研究の話
「学歴が高い人は仕事のパフォーマンスも高いの?」ってのを調べた話(R)が出ておりました。いまも学歴を参考に採用を決める企業は少なくないですが、果たして良い大学を出た人はそれだけのパフォーマンスを発揮するのか?というポイントっすね。
これはマンハッタンカレッジなどの研究で、ざっとどんな調査だったかと言いますと、
- 世界79カ国から294大学の出身者2万8,339人を集める(世界大学ランキングの上位校から選んだらしい)
- 参加者に、現実に存在するコンサルビジネスのプロジェクトに取り組んでもらう
- 全員のパフォーマンスを計測しつつ2ヶ月後の様子をチェックする
みたいになってます。ここで計測したパフォーマンスってのは、
- 仕事の生産量と質の高さ
- 仲間とうまくやってるか
- 周囲を率いるリーダーシップ
- 感情的な知性は高いか
- クリエイティブな発想はできるか
といったあたりを問題にしていて、かなり幅広いポイントをチェックしたみたいっすね。
でもって2ヶ月の結果はこんな感じになりました。
- 基本的には、一流大学の出身者はほんのちょっとだけパフォーマンスが高かった
ってことで、やはり一流大学なりのアドバンテージはあるものの、パフォーマンスは目立って高いわけでもないってとこですね。
もうちょい具体的な数値をあげますと、
- 出身大学が世界大学ランキングで1000位あがるごとに、全体のパフォーマンスは1.9%しか上がらない
- 世界大学ランキングで1万位ぐらいの差がある人を比べると、パフォーマンスの差は19%になる
みたいになります。要するに、
- 一流レベルの大学の出身者と、かなり低いレベルの大学出身者を比べるとそれなりの差は出る
- が、普通に中クラスから上位レベルの大学出身者を比べても、その差はほんのわずかしかない
といった印象でして、こうしてみると企業が出身大学を参考にするのはそんなに意味がないかもなーってとこですね。
ちなみに、研究チームは、一流大学の出身者がちょっとだけ優位だった理由を、以下のように推測しておられます。
- 良い大学は競争が激しいので、もともと能力が高い人間が集まりやすいのでは?
- 良い大学は質が高いトレーニングを行うので、リーダーシップやビジネスの知識が増えるのでは?
まーどちらもありそうな話ですね。実際、今回の研究でも、一流大学出身者は「リーダーシップ」や「ビジネスの知識」で良い点をとる傾向があったようで、ここらへんは大学教育のおかげなのかもしれんですな。
いっぽうでは、一流大学とそれ以外の出身者で差が出なかったポイントもありまして、
- 仕事へのモチベーション
- 仕事へのコミットメント
- 自己効力感
などは大学による違いはなかったとのこと。確かに、ここらへんは持って生まれた性格の方が大きいような気もしますね。
さらに、この研究では「一流大学出身者のダメポイント」も浮かび上がっていて、
- あんま対人関係を重んじず、チームの和を乱す傾向があった
- すぐに結果が出そうな作業にリソースを割き、いまいち長期的な視野がなかった
といったマイナス面もあったそうな。どうも一流大学出身者ってのは同窓生とつるみたがるので、そのせいで周囲との対立が生まれがちらしい。いかにもありそうな話っすね。
そんなわけで、全体的にみれば一流大学出身かどうかはメリットとデメリットがあるようなんで、「高学歴=高パフォーマンス」とはいかないみたいっすね。じゃあどんな人が優秀なのか?と言われると難しいんだけど、個人的にはやっぱ「これからはソフトスキルかなぁ……」とか思っております。