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今週末の小ネタ:使える傷治療、不安コントロール法、専門用語大好きっ子

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

傷の治療に効くアイテムは?を調べたメタ分析の話

傷の治療に効くアイテムとは?って問題を調べたメタ分析(R)が出ておりました。バンドエイドとか軟膏とかいろんな傷治療アイテムがありますが、よく効くのはどれか?ってことですね。

 

 

といっても、この研究にはバンドエイドや軟膏はふくまれてなくて、どんなアイテムを調査したかと言いますと、

 

  • トロラミン系
  • 医療用テープ系

 

みたいになってました。オニオンエキスとか初耳だったんですけど、肌再生を助けてくれるって説があるらしい。

 

 

で、ここでは34の無作為化比較試験やら準無作為化比較試験がふくまれてまして、結論としてはこんな感じです。

 

  • もっとも調査が進んでるのはシリコンジェル系で、新しい傷跡の形成と既存の傷跡の縮小にプラスの効果がある
  • その他のアイテムについては証拠不足でよくわからない

 

ってことで、傷治療にはシリコンジェル系がいいらしい。個人的には普通にハイドロコロイドを使ってますけど、シリコンジェル系も試しに使ってみるか……。

 

 

 

不安のコントロールにもリアプレイザルをどうぞ

その昔、「怒りのコントロールにはリアプレイザルがいいよー」という話を書いたんですが、新たに「リアプレイザルは不安の調節にも効くよー」って話(R)が出ててよろしゅうございました。これは179人の男女を対象にした調査でして、

 

  1. みんなに「自分の感情にどう対処してますか?」と尋ねる
  2. 実際にどんな手段を使ったら効果が出るのかをチェックする

 

みたいになってます。すると、結果はリアプレイザルの優勢でして、緊張するような状況を違う角度からとらえることができる人ほど、社会不安や一般的な不安の感情に悩まされずに済んだらしい。簡単な例を挙げると、

 

  • このプレゼンは自分の能力を判断される場ではなく、企画を前に進めるためのワンステップだ

  • この面接は相手がこちらを見極めるのではなく、こちらが会社の質を確かめる場なのだ

 

みたいな感じっすね。不安を感じそうなイベントがあったら、どうにかして「これは自分にとってプラスなのだ!」とか「これは自分にとって刺激的なイベントなのだ!」と言い聞かせてみるといいわけっすね。

 

 

チームいわく、

 

不安を増大させる遺伝的な要因や環境的な要因を変えるのは難しい。しかし、感情コントロールの戦略なら変えることができるのだ。

 

ということでして、私のように不安傾向が強い方は、ぜひ使ってみてはいかがかと思っております。

 

 

 

大量に専門用語を使う人は自分の低ステータスを気にしてる?問題

よくわからん専門用語を使う人は、自分のステータスをあげようと必死だ!」みたいな話(R)が出ておりました。

 

 

ここでいう「よくわからん専門用語」ってのは、「組み合わせてもうちょっと良くしたい」ぐらいの話で「アウフヘーベン」とか言ってみたり、「なんかよくわからんがすごい」ものを「アウラがある」とか言ったり、「当たり前だ」ぐらいの意味のことを「アプリオリな」とか言ってみたりとか、そういうやつです。こういうタイプの人に、誰にも心当たりがありましょう。

 

 

で、この研究では複数のテストで「ステータスと専門用語」の関係性を調べていて、ひとつめの調査では、

 

  1. MBAを取得している学生に、「スタートアップのアイデアを売り込む競争に参加しているとこを想像してください」と指示

  2. 提出するスタートアップの説明を「専門用語が満載のもの」(先行者優位を得る、みたいな)と「簡単な言葉を使ったもの」(最初の企業になる、みたいな)に分けて、好きな方を選んでもらう

 

って感じで設定したところ、

 

  • 「あなたは他の人よりも地位が低い人材です」と言われた人は、41%が難しい説明を選んだ
  • 「あなたはすでに会社を立ち上げた優秀な人材です」と言われた人は、29%が難しい説明を選んだ

 

って違いが出たんだそうな。「自分は周囲よりダメなんだ……」と思ってる人ほど、ついつい専門用語だらけの言葉づかいを好むようになるんじゃないのか、と。

 

 

さらに別の調査では、

 

  1. 参加者に「自分のことを高ステータス(または低ステータス)の研究者だと想像してください」と指示

  2. プレゼンテーションのタイトルを好きに選んでもらい、その理由を教えてもらう

 

みたいに設定したら、今度はこんな結果になりました。

 

  • 低ステータスの参加者は専門用語が多いプレゼンを選び、さらに「聴衆が自分をどう思うかが気になった」と言う確率が高くなった

 

ということで、ステータスが低い人は通常よりも他人の評価に敏感になり、そのせいで専門用語を使う量が増えていくんじゃないか?ってことっすね。もちろん専門用語が増える理由はこれだけじゃないでしょうが、いかにもありそうな話っすね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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