今週末の小ネタ:食事と記憶障害、子供の逆境とIQ、運動のやる気と嗅覚
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
記憶障害になりやすい人はどんな食事をしてるのか?
食事と記憶障害の関係を調べてみたぞ!ってデータ(R)が出ておりました。歳をとって記憶が弱くなっちゃう現象は、果たして食事でどうにかできるのか?みたいな問題ですね。
食事を改善すれば脳も改善するのは当たり前のような気もしますけど、実はいままで「運動で認証リスクが下がる!」みたいなデータはたくさんあったものの、食事に関するデータは意外と少なかったんですよ。
で、この研究では、3,623人の高齢者を定期的に調べたデータを使っていて、
- 物忘れがどれぐらいあるか?
- どれぐらいの栄養を取っているか?
ってあたりをチェックして、記憶障害と栄養素の関係をあぶりだしたんだそうな。その結果、こんなことがわかりました。
- 運動をしない人、学歴がないひと、収入が低い人ほど病気になる確率が高かった
- 日々の摂取カロリーが多い人ほど、記憶障害になるリスクも高かった
- 炭水化物および脂質をよく食べる人も、記憶障害になるリスクが高かった。タンパク質量は良くも悪くもなかった
ということで、基本的にはカロリーオーバーな食事の悪影響がデカく、続いて炭水化物と脂質って感じになってますね。この研究ではあくまで大きな傾向しかわからないんですけど、この結果をみる限りは「お菓子とかジャンクフードが多い人ほど記憶障害が起きやすいのでは?」って気もしますね(お菓子をよく食べる人は、自然と炭水化物や資質の量が増えるんで)。
子供時代の逆境でIQは下がるが、リカバーする道もある
「子供時代の逆境はIQによくない?」みたいなデータ(R)が出ておりました。これは1762人の子供たちを対象にしたテストで、全員を出生から10代まで追跡しつつ、IQや家庭環境などとの比較を行なったらしい。
それでどんな傾向が出たかと言いますと。
- 出生前と早期の逆境はどちらもIQを低下させる傾向があり、メンタルの問題も起きやすい
ってことだったそうで、子供時代に貧困やら病気に苦しんだ人は、全体的に大人になってからのIQが低い傾向があったらしい。非常につらい結論ですね。
ただし、ここには例外もありまして、
- 子供のニーズを敏感に察知し、それにちゃんと対応する親がいれば、IQへのダメージは相殺される!
って傾向もあったらしい。なんでも、良い親に育てられた子供は、そうでない子供より平均でIQが6ポイントも高かったみたいで、結構な違いになってますね。
チームいわく、
子供たちは学ぶことが大好きで、学習のニーズを満たす環境があれば、自分自身や家族、そして地域社会を大切にする能力を持った青年や大人に成長することができる。
とのことで、やはり「IQのためにも環境は大事!」って結論でありました。そりゃそうっすよねぇ……。
運動のやる気は嗅覚に関係してるんじゃないか説
「匂いで運動のやる気が出るかも?」って動物実験(R)が報告されておりました。これはカリフォルニア大学などの研究で、どんな実験かを超ざっくり申しあげますと、
- 普通のマウスよりも運動が大好きな「ハイランナーマウス」をたくさん集める
- ハイランナーマウスの脳などを調べて、なにが違うのかを探す
みたいな感じです。そこで何が分かったかと言いますと、
- フェロモンなどの匂いを察知する鼻のニューロンが脳の活動を刺激して、運動を促進しているっぽい
みたいになってまして、研究チームはこう言っておられます。
運動習慣の個人差は、特定の匂いの知覚の違いによって説明されるかもしれない。
いつの日か、匂いの化学物質をジムの芳香剤のように使い、運動のモチベーションを高められる可能性もある。
もちろんヒトでも似たことが言えるのはわからんのですけど、嗅覚と脳に密接な関係があるのは確実なんで、運動のやる気が出ないときに使えるかもですな(現段階ではどんな香りがいいのかは謎なんで、適当に自分の好きなアロマをお使いください)。