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今週半ばの小ネタ:ヒトの性格は言葉づかいで予測できる?自分の性格を変えたい問題、ホラーが好きな理由

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

ヒトの性格は言葉づかいで予測できるか?

言葉づかいヒトの性格はわかるか?」みたいなデータ(R)が出ておりました。みんな大好きビッグファイブにおけよって、人間の話し方は変わるのか?ってお話です。

 

 

具体的には37 の独立したサンプルから80,000人以上のデータをまとめたメタ分析になっていて、

 

  1. 内向的な人と外向的な人の言葉づかいをチェック(オンラインや実際の会話などで)
  2. 性格によって使う単語に特徴があるかどうかを調べる

 

みたいな内容になってます。で、その結論だけざっくり抜き出すと、こんな感じです。

 

  • 内向的な人と比較して、外向的な人は社交的な言葉(「私たち」、「話」、「共有」、「会う」など)をちょっとだけ多く使う(ES7.7%)
  • さらに外向的な人ほどポジティブな感情を表す単語(「幸せ」とか「愛」とか)がちょっと多いが、これはかなり文脈による(ES6.9%)
  • 外向的な人は、実際にはポジティブに感じていなくても、ポジティブな感情を表す言葉を使う傾向がある(外向的な人はセルフイメージを重視するからでしょうな)

 

というわけで、いちおう言葉づかいの違いは確認されたものの、その差はかなり小さいので、「言葉づかいから性格を見抜く」のはちょっと難しいかもしんないっすね。実際、研究チームもこんなコメントをしておられます。

 

いずれも小さな相関関係であるため、消費者マーケティングにおける言語解析への関心が高まる中、より強力な言語指標が必要であると考える。

 

要するに、言葉づかいで性格は判断しづらいので、マーケティングとかには使いづらいよーってことですね。

 

 

ちなみに、この論文によると、先行研究ではこんな傾向もみられたらしい。

 

  • 外向的な人はより抽象的な言葉を使うのに対し、内向的な人は具体的で具体的な言葉を好む
  • 外向的な人はより直接的な論じ方をするのに対し、内向的な人はより多くの冠詞を使い、ためらいがちな言い回しをする

 

とはいえ、これまたどれも明確な相関ではないんで、はっきり言うのは難しそうな感じっすね。とりあえず、言語的なマーカーで性格特徴を予測するのは難しそうだなーって印象であります。

 

 

 

自分の性格を変えたい!人って何を変えたいの?問題

自分の性格を変えたい!」と願う人は多いでしょうが、具体的にみんな何を変えたがってるの?ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。どんな調査かと言いますと、

 

  1. ビッグファイブの変更をテーマにした先行研究を調べて、みんながどんな性格を調べたいのかをチェック
  2. 同じように、HEXACOモデルの先行研究も調べて、みんながどんな性格を調べたいのかをチェック

 

といったように、13,000人以上の参加者を対象にしています。すると、結果はこんな感じでした。

 

  • たいていの人は感情的安定性、誠実性、外向性を高めたいと思ってる!
  • 一方で協調性と開放性を高めたいと思う人は少ない!

 

要するに、みんな不安にならずに勤勉にものごとをこなせて社交的な人間になりたいと思ってる!ってことでして、「そりゃそうですよねー」ってとこですね。私もかつてはメンタルが強い外向人間になりたい!と思ってたことがありましたし(いまは社交的になるのはあきらめてますけど)。

 

 

ただ、個人的に「開放性」を伸ばしたい人が少ないってのは「これってチャンスでは?」とも思うわけでして、それと言うのも、

 

 

って結果が出てるからです。「不確実性の時代」とも言われるとおり、近年は良いアイデアの重要性が年々高まってまして、その点で「開放性」はソフトスキルのひとつとして大きな武器になるはずなんすよね。

 

 

そんなわけで、このエントリをお読の方におかれましては、ぜひ「開放性」(つまり好奇心)も意識して伸ばしていただけると、今後の人生でなにかと便利かと思う次第です。

 

 

 

ホラー好きはなぜホラーが好きなのか?問題

わたくし昔からホラー映画の大ファンでして、「現実では流血とか痛みとか超嫌いなのになんでだろう?」とか思っておりましたところ、その理由を調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはドイツとアメリカから集めた482人の男女(年齢が18歳から82歳)を対象にしたテストで、みんなにいろんなタイプのホラー映画の予告編を見てもらい、その上で「映画の本編を見ますか?」や「どれぐらい内容を考えさせられたか?」といったところを調べ、ついでに広範囲なインタビューも行ったところ、

 

  • ホラー映画の暴力描写は人生のある真実を表現しており、観客はそこにひかれている!

 

って傾向があったそうな。簡単に言えば、「人生は何が起きるか分からず、やむにやまれぬ暴力に巻き込まれることもあるよねー」って事実を思い知らせてくれるから、ヒトはホラー映画にひかれるのではないか?ってことっすね。

 

 

チームいわく、

 

暴力描写のなかには、感情を動かし、意味深く、さらに考えさせられるようなものがある。そのため、ホラー映画を見ることで、被害者への共感、暴力に直面したときの勇気と道徳的な美しさへの賞賛、暴力的な衝動に対する自己反省を育むことができるのではないだろうか?

 

とのこと。ホラー映画が人生勉強になってるんじゃないか?って発想ですね。

 

 

確かに個人的にも、ムダに暴力が展開する見世物系のホラーを見ても楽しくはないので、人生の不確実性のシミュレーターとしてホラー映画を見てるとこはあるのかもしれんですなぁ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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