良いアイデアを思いつくのに大事なのは「孤独」「トラウマ」「開放性」
「Wired to Create(創造するために生まれた)」って本を読んでおります。著者はペンシルバニア大の認知心理学者で、当ブログでは、過去に「「良いアイデアが出ない!」ときのベストな対策」で紹介した有名な先生ですね。
その名のとおり「良いアイデアを出すにはどうすればいいの?」って問題に特化した一冊でして、もちろん実証データも豊富。ここ半世紀ぐらいの創造性に関する研究をまとめてくれていて、日常的にも活かせやすそうなネタが多くていい感じでした。
というわけで、個人的に気になったポイントを上げていきます。
良いアイデアが出やすい人の特徴
1.一番アイデアが浮かびやすいのは「開放性」が高い人
開放性はヒトの性格をあらわす「ビッグファイブ」のひとつで、おもに知的好奇心の高さと関連しております。博士によれば、知的好奇心の高さはIQよりも創造性と関連しており、
(開放性は)おそらく創造性の高さと関連がある唯一の要素だろう
とのこと。とにかく開放性が高い人は、創造性も高いわけですね。自分 の開放性を知りたい方は、「簡易版ビッグファイブテスト」をどーぞ。
2.ぼんやり空想するのが超大事
ぼーっと空想にふけるのは時間のムダのようですが、創造性を高めるためには必須。リラックスした脳が「拡散モード」に入って、常識にとらわれない発想が可能になるんですな。集中のためには「マインドフル」が大事ですけど、創造性のためには「マインドレス」も大事。
3.自分の脳がもっとも働く時間を知っとくのも超大事
過去の偉大なアーティストたちが、自分の能力を発揮しやすい時間を把握していたのは以前にも紹介したとおり。創造性が最高潮になる時間帯は人によって大きく違うんで、とにかく自分にとってベストのタイミングを理解しておくのが大事。
4.72%の人はシャワー中にいいアイデアが浮かぶ
カウフマン博士が2014年に行った研究によれば、世界中からアンケートをとったところ、72%の人はシャワー中によいアイデアが浮かんだ経験があったとのこと。こちらも、リラックスした脳が拡散モードに入るのが原因らしい。
5.孤独な時間を作るのも超大事
上の「ぼんやり空想」に似た話ですが、脳の創造性ネットワークは、ひとりで孤独に考え抜いているときに活性化しやすいんだそうな。良いアイデアを思いつくには時間がかかるので、当然ながら孤独な状況が必須になるわけですな。
6.新奇!新奇!新奇!
こちらは「開放性」と重なる話でして、つねに新しい体験を探し続けるのも超大事。新しい物事に出会うと、
- 脳内にドーパミンがドバドバ出る
- モチベーションと学習の能力があがる
- さらに新しい物事へ意識が向かう
- さらにドーパミンが出る
という良い循環が生まれていくんですね。
7.トラウマを活かす
創造性が高い人たちは、過去の失敗やトラウマをバネに成長してるケースが多め。実際、いくつかの実験でも、トラウマのおかげで人間関係がよくなったり、精神的に成長したり、人生への感謝が増したり、創造性が上がったりといった事実が確認されているそうな。
これは「心的外傷後成長」と呼ばれる現象で、キツい体験のおかげで、人生を別の角度から見られるようになるのが原因らしい。2004年のレビュー(1)によれば、鬱や不安障害、ストレス障害から生還した患者の70%が、心的外傷後成長を経験してるそうな。
8.人間を観察しまくるのも大事
過去のリサーチでは、創造性が高い人たちの多くは「人間観察」が大好きだったとのこと。カウフマン博士いわく、
マルセル・プルーストは、人生の大半を人間観察に費やした。そして、観察したことを書き残し、最終的には一冊の本にまとめあげたのだ。
多くの物書きにとって、人間観察は非常に大事だ。人間の本性を注意深く観察していくのだ。
とのこと。
まとめ
そんなわけで、いろいろと創造性アップのポイントを見てみましたが、せんじつめれば常に新しい物事を探しつつ孤独に考え抜くのが大事!ってことになりましょう。とにかく創造性は考える時間に比例するみたいなんで、あとは産みの苦しみに耐えられるだけの体力と忍耐ですかね。