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仕事で幸せに働くために役立つ6つの技法はこれだ!みたいなメタ分析のお話

 

科学的な適職」でも「幸せに働くために必要なこと」みたいな話をしてるんですが、新たに「働く人たちの主観的な幸福度を高める方法とは?」ってのを調べたメタ分析(R)が出ておりました。

 

 

職場の幸福感を高める方法はいろいろあって、認知行動療法系テクニック、マインドフルネス、レジリエンス・トレーニングなどあるんですが、果たして本当にどの手法が良いのかは謎。そこでチームは、1997年から2017年の間に行われた39件の研究結果を分析して、「どの方法がベストなのか?」って問題に大きな結論を出してくれてます。これはありがたいですねぇ……。

 

 

これは東京女子医科大学などによる研究で、結果を比較するために、チームは調査結果を6つのカテゴリーに分けております。以下、おおまかな結果と合わせてまとめておきましょう。

 

  • 心理学的介入

    マインドフルネス系のトレーニング、認知行動系トレーニング、レジリエンストレーニングなどは、いずれも働く人たちの幸福度を高めることを示す証拠がある。

    ある研究では、8週間のマインドフルネストレーニングにより教師の仕事の満足度と人生の満足度の両方が向上。また別の研究では、「ワークライフバランスをとるための対処法」と「ポジティブな育児法」を学ぶ8週間のトレーニングが、仕事の満足度を高めるとも報告された。

    さらに別の研究では、5週間のレジリエンス研修プログラムが、働く人たちの目的意識と仕事の満足度を高めたことがわかった。




  • 身体活動への介入

    ヨガ、ウォーキング、軽い筋トレなどの身体活動プログラムは、全般的に人々の幸福度に中程度の良い効果を示した。

    筋肉のリラクゼーション・筋トレ・柔軟エクササイズなどを組み合わせた13週間のコース、6週間のヨガコース、および24週間の有酸素運動と筋トレコースなどは特に有望っぽい。

 

 

  • 環境への介入

    チームのコミュニケーションを改善したり、マネージャーのトレーニングを実施するなどのパターン。このような職場環境の改善は、幸福度に中程度の有益な効果が見られた。

 

  • 人間工学的な介入

    姿勢を正すようなトレーニングについては、働く人の幸福度に与える影響に一貫性が見られなかった。ある研究では、5週間の人間工学トレーニングで仕事の満足度が向上したものの、他の2つの研究では特に効果がないか、逆にマイナスの効果がある可能性も指摘されている。

 

  • マルチコンポーネントの介入

    いろんなテクニックを組み合わせて、幸福度アップの倍増を狙うパターン。これについて、単一のトレーニングだけを行う方が、複数を組み合わせるよりも効果的な可能性がある。

    身体活動、人間工学、心理学的介入を組み合わせた3ヵ月間のトレーニングでは、人々の活力感とメンタルヘルスに改善は見られなかった。別の研究では、身体活動、心理的対処、ストレス管理に焦点を当てた12週間のプログラムが行われたものの、生活満足度と仕事満足度に与える影響は最小限だった。

 

 

  • その他

    その他の介入(感情を重視した介護や音楽療法など)も、生活満足度と仕事満足度を高めることが示された。一方で、職場で新鮮なフルーツを12週間提供するという介入には、仕事の満足度を高めることは示されなかった。

 

 

ということで、全体的に見ればどんな介入でもそれなりの効果はありそうなものの、全体的に見れば「まずは心理学的介入をやるのが良さそう」って印象はありますね。チームいわく、

  

 

今回の研究では、主観的な幸福感を高めるための介入の有効性が明らかになった。心理的介入(例えば、マインドフルネス、認知行動ベースのアプローチ、その他の心理的介入)は、主観的幸福感の向上に有用であると考えられる。

 

 

とのこと。もちろん、心理系の介入ってのも一筋縄じゃいかんのですが、

 

 

あたりは職場の幸福改善にも役立つかもしんないですねー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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