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今週末の小ネタ:会話の切り上げタイミング、高収入で幸せになる人となれない人、BCAAとメンタル

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

ほぼ100%の会話は希望のタイミングで終わらない

「変なとこで会話が終わっちゃった……」という体験は誰にでもありましょう。「もう会話に飽きたのに打ちきれない……」とか「あ、もう話が終わった……」みたいなやつですな。

 

 

そんななか、「ほぼ100%の会話は希望のタイミングで終わらない!」って研究(R)が出ておりました。

 

 

これはハーバード大学などの調査で、

 

  1. 806人の男女に「最近の会話ってどうでした?」と質問して、みんな希望のタイミングで会話を終えられたかを調べる

  2. 初対面の男女252人に会話してもらい、会話を打ち切ったタイミングはどうだったかを調べる

 

みたいになってます。その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • お互いが望んだタイミングで会話が終わったケースはわずか2%
  • 片方だけ望んだ時間に会話が終わったケースは30%
  • たいていの人は、「実際よりも会話が半分ぐらいの長さだったら良かったのになぁ……」と思っていた
  • お互いに「もっと長く話したかった」と答えたケースは10%だった
  • 相手が話をやめたいと思ったタイミングを推測した場合、約64%がタイミングを間違えていた

 

だったそうです。どうやらほとんどの人は、相手が「会話を止めたい」と思ってても気づけないらしい。98%の会話が適切に終わってないってのはすごいもんですな。

 

 

まぁ大抵の人は「話は短い方がいい」と思ってるみたいなんで、普段の会話よりも短めにしてみるのが安全策なのかもしれませんが、難しいもんですなぁ。

 

 

 

高収入で幸せになる人となれない人の違いとは?

お金で得られる幸せには限界がある!って話は「科学的な適職」にも書いたとおり。どうやら多くの人は、一定の収入を得ちゃうとあんま幸福度が上がりづらくなっちゃうみたいなんですよ。

 

 

で、ペンシルバニア大学などの新しい話(R)も似たようなポイントを扱ってまして、「金と幸福の問題」について別の視点を提供してくれております。どんな研究かというと、

 

  1. 米国の18歳から65歳までの男女33,000人以上に協力を頼み、日々の幸福度の変化をオリジナルアプリで記録してもらう(Track Your Happines‪s‬ってアプリらしい)

  2. 170万近いデータを集めて、各自の収入と幸福度の変化を比べてみる

 

みたいになってます。要するに、ポジティブな感情の移り変わりを時間ごとにトラッキングしたわけで、過去の似たような研究よりもきめ細かいのが特徴っすね。

 

 

そこで確認された傾向を見てみると、こんな風になります。

 

  • 高収入で幸福度を高めるためには、お金と「自分の人生をよりコントロールできる感覚」が結びついてないと厳しい
  • 「金=成功」と考えている人は、そうでない人に比べて幸福度が低くなる

 

つまり、高収入のおかげで幸せになれる人もいるんだけど、それは「私は生き方や時間の使い方について、より多くの選択肢と可能性を持てているのだ!」って感覚がある場合に限るのではないか、と。そう考えると、過去のデータで「金を稼いでも幸せになれない」って現象が確認されたのは、世の中に「金=成功」の図式が浸透しすぎてるせいなのかもしれんですな。

 

 

チームいわく、

 

多くの人は、自分の人生がうまくいっているかどうかを考える際に、金の重要性を重く見過ぎている。。しかし、これは人々がコントロールできる多くの要素の一つにすぎず、他の要素を過小評価すべきではない。

 

とのこと。金がもたらす幸福ってのは主に「コントロール感」によるものなので、そこまでのインパクトはないかもよーって話ですね。うーん、なるほど。

 

 

 

筋トレサプリBCAAでメンタルが改善?

筋トレ界で人気のサプリと言えばBCAA。個人的にはあんまオススメしてないんですけど、新たなテスト(R)では「BCAAでメンタルが改善するかもよ?」みたいな話になってておもしろかったです。実験の内容はこんな感じ。

 

  1. イランの成人3175人を集めて、いつもどんな食事をしてるかを調査

  2. 食事の調査からBCAAの摂取量を推定し、これを不安のレベルを比較する

 

すると、BCAAの摂取量とメンタルには一定の相関がありまして、

 

  • BCAAをたくさんとってる人ほど抑うつおよび不安が低い
  • バリン、ロイシン、イソロイシンの摂取量が多いほど、抑うつおよび不安のオッズが低下する

 

みたいな結果だったそうです。まぁご覧のとおり超ゆるい研究なんで、かなりデータの精度は低いとお考えください。

 

 

とはいえ、トリプトファンやチロシンといったアミノ酸がメンタルの安定に欠かせないのはほぼ確実なんで、今回のような傾向が見られてもおかしくはないかなーってところです。もちろん、この結果を持って「BCAAを飲もう!」って話ではなく、シンプルに暮らしの中でちゃんとタンパク質をとってれば無問題であります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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