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「抜き打ちテスト」って勉強の効果を高める意味はあるの?問題


 

勉強するなら検索練習!とりあえずそれ以外は考えなくてよし!」みたいな話をよく書いております。

 

 

検索練習ってのは「思い出す作業をふくむ勉強法」のことで、クイズとかフラッシュカードが代表例っすね。非常にシンプルな方法ですけど、単に資料を復習する(ノートを見直すとか参考書をを読み直すとか)よりも倍ぐらい結果が違ってくるんですよ。

つまり、もっと端的に言ってしまえば、

 

  • 情報を脳に入れようとするな!脳から引き出すようにせよ!

 

みたいになります。ホント、世の中に勉強法は数あれど、とりあえずコイツを使いこなす前に他のことに手を出しても効率は低いと申せましょう。

 

 

で、ここで取り上げるデータ(R)も検索練習の効果を調べたもので、どんなポイントをチェックしたのかと言いますと、

 

  • 抜き打ちテストは検索練習として使えるのか?

 

みたいになります。私も学生の頃はさんざんさせられたもんですが、当然ながら抜き打ちテストには「学んだことを思い出す」要素がふくまれるわけで、やはり検索練習の一種として使えるのではないか?と考えられるわけですね。

 

 

この調査では、研究者が心理学の入門コースの3つのセクションを担当。それぞれのセクションで微妙な変更を加えまして、

 

  1. 最初のセクションでは、抜き打ちテストを行わない

  2. 2つ目のセクションでは、採点付きの抜き打ちテストを6回行う

  3. 3つ目のセクションでは、採点のない抜き打ちテストを6回行う

 

みたいになってます。要するに研究チームは、たんに抜き打ちテストの効果を調べただけではなく、テストの成績評価のあるなしでも結果が変わるんじゃないかと考えたわけですね。

 

 

でもって、結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 採点のない抜き打ちテストを行った学生の期末試験の平均点はB-だったのに対して、他の2つのグループの学生は、平均してCの中位から上位の成績だった

 

って感じだったそうです。抜き打ちテストも効果はあるんだけど、成績の評価が加わると意味がなくなっちゃうのではないか、と。なかなかおもろい結果ですな。

 

 

ちなみに、この期末試験では、抜き打ちテストに出た問題は採用されなかったとのこと(もちろん扱う範囲は同じだったけど、問題そのものはまったく違っていた)。それでも採点のない抜き打ちテストは学生の成績を上げたようで、なかなかすごいもんですな。

 

 

このような違いが出た理由ははっきりしないものの、今回の研究では学生たちのストレスレベルも調べていて、

 

  • 採点付き抜き打ちテストを受けた学生の、主観的な不安レベルは平均4.20だった

     

  • 採点がない抜き打ちテストを受けた学生の、主観的な不安レベルは平均2.96だった

 

みたいな差は確認されております。そこまでの違いかと言われれば微妙ですが、やっぱ「採点にともなうストレスのせいで、せっかくの効果が薄れたのかな〜」って気はしますね。私が学生時代に受けてた小テストは採点つきのものばっかだったんで、いま思えばあれは良くなかったのかもなーとか笑

 

 

ということで、ここから現実的な教訓を得るならば、

 

  • 教師をやっている方は、抜き打ちテストは有効だけど評価はしないほうがいいかもね
  • 独学をしている人も、定期的に自分で小テストをがんがんやった方がいいよ!

 

みたいな感じですかね。独学の場合は、週に1回ずつサイコロでも振って「6が出たら抜き打ちテスト」をするとか決めておくのもいいかもしんないすね(テストの内容は事前に自分で作るか問題集を使う)。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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