最新の睡眠改善テク4選:サフラン、トリプトファン、ラベンダーオイル、ヨガ
ここ数ヶ月で、睡眠の改善に役立ちそうなデータがいくつかあったんで、4つほどまとめときまーす。
サフランで睡眠の質が改善?
サフランといえば抗炎症効果が高いスパイスとして名高いわけですが、新たに「快眠効果もあるのでは?」みたいなデータ(R)が出ておりました。
これは6週間のRCTで、睡眠障害または不安を持つ59名の男女が対象(平均45歳で症状は軽度から中等度)。全体を2つのグループに分けて、「サフランエキス15.5mg」または「プラセボ」のいずれかを飲んでもらって、睡眠の質がどう変わったかをチェックしたんだそうな。
すると 、実験をスタートした段階と比較して、
- LSEQで計測した場合、サフランによって「寝つきやすさ」の改善が見られたが、「睡眠の質」、「睡眠からの目覚めのしやすさ」、「覚醒後の覚醒・行動」の改善については差がなかった
- PSQIのスコアを見た場合、サフランにより睡眠の質、睡眠時間、睡眠持続時間の改善が見られた
- 睡眠の測定器を使ったデータでは、サフランにより在床時間が増加した(+14.1分)が、その他は特に違いがなかった
ということで、まぁ「睡眠改善のためにサフランを飲もうぜ!」と言えるレベルではまったくないものの、「それなりに意味はあるのかなー」ぐらいの感じですね。いちおう先行研究でも、サフランにふくまれる成分(クロシンやサフラナールなど)が睡眠時間と睡眠の質を改善することを示唆する証拠もあるんで、「サフランの抗炎症効果のついでに睡眠も改善すれば……」ぐらいのノリで試すのはいいかもしれません。
寝る前のトリプトファンで睡眠の質が改善?
トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内でセロトニンに変換されるので、うつ病、不安、気分の改善に役立つのでは?と昔から考えられてきた成分であります。
と同時に、トリプトファンは睡眠ホルモンであるメラトニンにも変換されるので、睡眠の改善にも役立つのでは?と考えられていたりもするんですね。そこで新しく出たデータ(R)は、18件の研究をまとめたメタ分析になってまして、データの内訳はこんな感じになってます。
- 18件の研究のうち、最終的なメタ分析に含まれたのは4件のみ
- 参加者の多くは、就寝の20〜30分前に0.25〜15gのトリプトファンを摂取
- 実験の平均期間は5.5日
でもって、全体の中途覚醒、睡眠効率(ベッドで過ごした時間のうち、実際に眠っていた時間の割合)、レム睡眠の量、および睡眠潜時(眠りに落ちるまでの時間)をチェックしたところ、
- メタ分析にふくまれる4つの研究で、トリプトファンは中途覚醒(夜間に起きちゃう現象)を減らした
- この効果は用量依存的であり(つまり、トリプトファンを飲むほど効果も高くなる)、トリプトファン1gあたり中途覚醒を81分減少させた
- ただし、トリプトファンは、睡眠の質の他の指標には影響を与えなかった
って結果だったそうです。個人的には「中途覚醒に違いが出ただけかー」って感じでちょっとガッカリしたんですけど、トリプトファン1gあたり81分の違いが出るのなら、夜中に目が覚めちゃう人であれば試す価値はあるかもしれないですね。
ラベンダーオイルでも睡眠の質が上がるかも?
ラベンダーオイルのリラックス効果はつとに知られた話ですが、新たに「睡眠の質が上がるかも?」というデータが出ておりました(R)。
このRCTは不眠症に悩む女性35名を対象にしたもので、
- 眠る時に「ラベンダー精油」または「ヒマワリ油」(対照)のどちらかを吸入するように割り付ける
- 実験期間は29日
- PSQIで睡眠の質を評価し、同時に不眠症の重症度、不安・抑うつ症状、睡眠ポリグラフで客観的な睡眠の質も測定
みたいなデザインになってます。ラベンダーによって睡眠だけでなく、メンタルにも変化が出るかどうかを調べたわけですね。
で、結果です。
- 両グループともにPSQI評価による睡眠の質の改善が見られ、どちらにも差はなかった
- 実験をスタートした段階と比較して、ラベンダーを飲んだグループでは、睡眠潜時、睡眠時間、日中の機能障害、抑うつ、更年期症状に改善が見られたのに対し、プラセボグループには改善がなかった
ということで、劇的なメリットというほどではないものの、これまた試す価値はありそうな雰囲気ですね。いまはラベンダーオイルは特に飲んでないんですけど、ちょっと試してみるかな…‥‥。
不眠症の解消にはヨガの方が良いかも
「ヨガはリラックス効果が高いので、ならば睡眠にも効くのでは?」ってことで、ヨガが不眠症に効くかどうかを調べたテスト(R)が出ておりました。不眠症ってのは「夜間になぜか覚醒しちゃう」って問題が原因になるケースが多いので、ヨガが効果を持つ可能性も高いんですよ。
この研究は8週間のRCTで、原発性睡眠障害(心や体の病気がないのに眠れない問題)に悩む40人の男女が対象。全体を「毎日45分のヨガ」を行うグループと、「睡眠衛生の改善を毎日」行うグループにわけて様子をチェックしたんだそうな。
「睡眠衛生の改善」がどんなことをしたかと言いますと、
- カフェインの摂取は1日3杯までとし、午後遅くには摂取を止める
- アルコールの摂取を制限する
- 週に数回、適度な運動を、特に午後遅くか夕方早くに行う
- 就寝前に軽いおやつを食べる(チーズ、牛乳、ピーナッツバターなど)
- 寝室での光や騒音を最小限に抑える(耳栓、ホワイトノイズマシン、窓にダークシェードをかけるなど)
- 寝室の温度を快適に保つ
みたいになってます。いずれも定番の快眠テクニックでして、これらとヨガを比べたらどうなるかチェックしたわけですね。
で、実験スタートから8週間後と6ヵ月後に睡眠を測定したところ、 結果は以下のようになりました。
- ヨガを行ったグループは、眠りにつくまでの時間、睡眠効率、総睡眠時間、総覚醒時間、不眠の症状も改善した
- 寛解(全治まではいかないが不眠がおさまった状態)の差で見た場合、睡眠衛生の改善と比べて、ヨガは眠りにつくまでの時間(65.0%vs.36.8%)と睡眠効率(80.0%vs.47.4%)の両方で、より高い寛解率をもたらした。6ヵ月後のチェックでも、眠りにつくまでの時間(82.4%vs.36.4%)、睡眠効率(88.2%vs.54.5%)ともに、ヨガのほうが優位だった(寛解の定義は、眠りにつくまでの時間が30分未満、睡眠効率が80%以上)
ってことで、全体的に「ヨガのほうが効果がデカい!」という驚くべき結果になっております。光・騒音・アルコールのコントロールより効果があるってのはすごいですなぁ。
まぁサンプル数が少ないし、母集団は狭いし(白人女性が多い)、主観的な尺度に頼りすぎているって欠点もあるんで、これだけで「まずはヨガから始めよう!」とは言えないものの、別に副作用もないですし、不眠にお悩みの方であればお試しいただいてもいいんじゃないでしょうか。