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今週末の小ネタ:睡眠不足と運動、不安と仕事のパフォーマンス、冗談がすべったらどうする?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

睡眠不足のパフォーマンス低下を防ぐには?

睡眠が足りないとうまく運動できない!という体験は誰にでもおなじみでしょう。本来は常にぐっすり寝るのがベストなんですが、生きてれば「ちょっと睡眠不足だけど運動しときたいな……」みたいな場面もあるでしょうから、よく寝てない状態でも効果的にトレーニングできる方法を探す意義はあるわけです。

 

 

ってことで新しいテスト(R)では、「眠気を感じてる状態でいつもどおりのトレーニングをこなすには?」ってポイントを調べてていい感じでした。

 

 

この研究は9人の男性アスリートを対象に、「睡眠不足のときにカフェインと昼寝は運動パフォーマンスの改善に貢献するか?」を調べたもの。みんなに何度もスプリントテストを行いつつ、

 

  1. 通常の睡眠
  2. 睡眠不足+プラセボ
  3. 睡眠不足+カフェイン(5mg/kg)
  4. 睡眠不足+昼寝+プラセボ
  5. 睡眠不足+昼寝+カフェイン(5mg/kg)

 

の5つの条件で記録をチェックしたんだそうな。睡眠不足の条件ではテスト前夜の睡眠時間を4.5時間まで減らし昼寝の条件では日中に20分の仮眠を行なったとのこと。

 

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • 基本的に昼寝はカフェインよりも優れている傾向がある

  • 最もパフォーマンスが上がるのは、運動前に5mg/kgのカフェインを飲み、それから20分間の昼寝をするという組み合わせだった

 

カフェインと昼寝のどちらも有効だって話は昔からあったんですが、両者をちゃんと組み合わせるのが良さそうっすね。「ヤバい集中力」でも取り上げたコーヒーナップに近い考え方ですな。

 

 

まー、参加者が少ない実験なのでなんとも言いづらいですけど、睡眠不足のパフォーマンスを維持する方法として、「コーヒーを飲んでから20分の昼寝」ってのは一考する価値がありそうっすな。

   

 

 

不安で仕事のパフォーマンスが下がる!問題に一番効きそうな要素とは?

不安感が強いと仕事のパフォーマンスが下がる……ってのは誰もが納得できるとこだと思いますが、この問題を解決する最良の方法は何か?を調べた研究(R)が良かったのでメモ。

 

 

これはトロント大学が行った研究で、267人の警察官を対象に「職場でどんな不安を抱いてますか?」「上司との関係はどうですか?」みたいなことを尋ねまして、それぞれが仕事のパフォーマンスにどう影響するかを調べたんだそうな。言うまでもなく警察官の仕事はストレスフルな職業なので、日常的な不安に苦しみやすいんですよね。

 

 

で、結果をざっくりまとめるとこうなります。

 

  • 職場での不安は、従業員の健康や幸福をだだ下りにする
  • 職場の不安で仕事のパフォーマンスが影響を受けるかどうかは、上司や同僚との関係性と密接に関係していた

 

ということで、不安で仕事のパフォーマンスが落ちるかどうかは、職場の人間関係の質が大きく影響するんだ、と。そりゃあ上司や同僚が共感して、こちらのグチに耳を傾けてくれれば、そこまで不安も影響しないでしょうしね。

 

 

チームいわく、

 

今回の調査結果は、従業員が職場で回復し、回復力を高め、強力な社会的支援ネットワークを構築するためのプログラムの重要性を強調しています。

 

ってことで、「科学的な適職」にも書いたことではありますが、なんだかんだで人間関係が良い職場で働くのがベストだよなーとか、あらためて思った次第です。

 

 

 

冗談がスベった時のダメージを抑えるにはどうすればいい?

冗談がスベらないようにするためには?」という珍妙な研究(R)がおもしろかったのでメモ。これはイェール大学などの調査で、研究チームは約5,400人の参加者を集め、「冗談ですべった人たちのエピソード」をいろいろと読んでもらったうえで、どんな印象を持ったかを尋ねたんだそうな。例えば「初デートで相手に冗談をぶつけたがダダすべりしまくった男女」の話に触れて、その人のことをどう思ったかをチェックしたわけっすね。

 

 

すると、「スベり」への印象は男女によって異なりまして、

 

  • 冗談をよく言う女性は、冗談をよく言う男性よりも「好感度が高くてより有能で楽しい人だ!」と評価される傾向があった

 

  • 男性がスベった場合は、女性よりも気配りができないとみなされ、好感度や能力への認識も低下しやすい

 

  • 冗談が成功した場合の印象は、男性と女性のあいだで評価の差はなかった

 

みたいになってます。基本的に冗談は言いまくったほうがいいんだけど、男は失敗のダメージがデカいから注意だ!ということですね。

 

 

では、なんでスベりの印象に男女差が生まれたのかってとこですが、

 

  • 男性は「自分をよく見せるために冗談を使いがち」と思われてるから

 

だそうです。冗談めかして年収の高さをほこったり、冗談風に過去の成功を自慢する男性は多いので、そこらへんの印象がスベりのダメージを増大させてるんじゃないか、と。わかるなぁ、これ(北米の研究なんで、日本だとまた違う結果が出るのかもですが)。

 

 

一方で、女性は「他人との仲を深めるために冗談を使う」って印象があるため、そのせいで冗談がスベっても悪印象にはつながらないんだそうで、これもなんかわかるなぁ………と。実際、この実験でも「女性が自慢のために冗談を使った場合は男性と同じように印象が低下した」って結果が出てまして、要は冗談を使う意図が大事ってことなんでしょうな。

 

 

研究チームいわく、

 

コミュニケーションをとったり、つながりを持とうとする誠実な姿勢を示すことで、周囲もスベったジョークを許しやすくなる。

 

とのことで、「私は自慢のために冗談を言ってるわけじゃない!コミュニケーションを取りたいのだ!」ってマインドを保つのが、最上のスベり対策なのかもしれんですね。これは肝に銘じておきたい。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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