快眠系サプリ「メラトニン」は運動の酸化ストレスに効くのか?みたいな話
メラトニンといえば体内時計の調整に役立つホルモンとして有名ですけど、新たに「メラトニンで運動のリカバリーができるか?」ってのを調べたデータ(R)が出てておもしろかったです。
というのも、メラトニンってのは抗酸化作用の大きさでも知られる成分なんで、運動によって引き起こされる酸化ストレスのダメージをやわらげる可能性があるんですよ。特にマラソンみたいな高負荷トレーニングをしているひとは酸化ストレスが大きく、ついでにメラトニンの分泌量も下がっちゃうケースが多いですからね。
メラトニンについては昔から大量の研究が行われてますけど、運動にも役立つのかどうかを調べたものは少ないので、個人的には非常に役立つ内容になってました。
まずはメラトニンの抗酸化性能を確認すると、こんな感じです。
- メラトニンおよびその代謝物は、脂質の過酸化に開わるフリーラジカルの阻害剤として働くし、慢性および急性の炎症を抑える作用がある
- そのため、メラトニンの抗酸化力、抗炎症力、および油に溶けやすい性質は、老化プロセスや加齢の疾患(アルツハイマー病とか)を軽減する………のに役立つかもしれない
- メラトニンは、腫瘍細胞のシグナル伝達経路を選択的にシャットアウトする能力があるため、癌細胞の増殖を抑制し、その成長を阻害することができる………のかも
まぁ確立された話ではないので、あくまで可能性として捉えていただきたいんですけど、いずれにせよメラトニンの抗酸化と抗炎症パワーは広く認められてますんで、ここは押さえておきたいところです。
では、続いて「運動とメラトニンの関係」についてまとめてくと、以下のような感じになります。
- 定期的に運動をしている健康な男性をチェックした研究では、75%VO2maxで30分のジョギングを午前中に行ったグループは、午後に運動した場合よりもメラトニンの分泌が20%増えていたとのこと
- 女性アスリートを対象にした研究では、激しいトレーニングの期間中はメラトニン分泌が低下する傾向が見られた
ってことで、適度な運動はメラトニンを増加させるのに役立つんだけど、逆に激しすぎる運動はメラトニンを減らす方向に働くんだ、と。これはHIITのような高負荷トレーニングをしている方は要注意ですな(短時間のHIITではそこまで減らないと思いますが)。
でもって、さらに「運動の酸化ストレスにメラトニンは効くのか?」ってとこもまとめておきますと、
- 素人アスリートにメラトニン(3mgを3日間 × 5錠)を飲んでもらったところ、メラトニンを飲んだグループは酸化ストレスが上がりにくくなり、筋肉のダメージも減った
- 男性のサッカー選手を集めて、運動の30分前に6mgのメラトニンを飲んでもらったところ、やはりメラトニンを飲んだグループは体内の酸化レベルが低かった
- あんま運動してない女性を対象にした実験では、トレーニングをしてもらいつつ1日3mgのメラトニンを飲んでもらったところ、メラトニンを飲んだグループは、8週間後に運動後の体内の酸化レベルが低くなる傾向があった
みたいになります。研究チームいわく、
激しい運動は競技者の抗酸化状態を乱すが、メラトニンを補給することで、様々なスポーツのトレーニングを受けた競技者の抗酸化状態が強化されることが明らかになった。
とのことで、なかなか有望な気もしますけど、なかには「メラトニンを飲んでも運動のパフォーマンスはあがらない!」って報告も出てますんで、まだまだ予断は許さない状況だとお考えください(まだ実験のデザインがバラバラすぎるんで、どれだけ使うべきかもわからないし)。
個人的には、まだスポーツのためにメラトニンを飲もう!とは言えない状況だと思いますけど、抗酸化作用を狙って使うのはありなのかもなーとは思いますね。