生まれつきのの超天才ってどんな性格の人たちなの?を調べたメタ分析の話
いつの世にも「生まれつき才能がある人」ってのはいるわけです。たとえば、
- 同じ年齢の人に比べてあきらかに理解力が高い
- 本来の年齢よりもガンガンにもっと上級の勉強に取り組む
- やたらと記憶力が高くてホテルのパスワードもすぐ覚えちゃう
みたいな人のことですね。そういえば学校にひとりはいたなーって感じじゃないでしょうか。
才能ある子供の教育支援で有名なデイビッドソン研究所の考え方によりますと(R)、才能がある子どもってのは、
- とにかくIQがめっちゃ高い(IQ145-160)
- 同じ歳の生徒より数学年も上の内容を理解できる
- 感情の体験が豊かで感受性も深い
- 好奇心が旺盛である
- ユニークな興味や話題に熱中する
- 子供なのにユーモアセンスが大人びている
- 表現力が豊かで問題解決もクリエイティブ
- 情報をすぐに取り込むことができて、何度もくり返さない
- 社会的な問題への関心が高い
みたいな特徴があるそうで、「頭が良くて感受性もあるなんて完璧超人やんけ!」って気がしてくるわけですね。ファインマン先生みたいな感じだろうか……。
でもって、新しい研究(R)は、こういった「生まれつきの天才に特有の性格はあるのか?」を調べてくれてます。このブログでは毎度おなじみのビッグファイブを使って、才能がある人は性格に偏りがあるのかどうかをチェックしてくれたんですな。
具体的には、過去に行われた天才(いわゆるギフテッド)の研究から13件を抜き出して、約8,000人の最終的なサンプルを使ってメタ分析を行ってます。このうちにふくまれるギフテッドの数は3,244人だったそうで、ここから性格特性と才能の相関を調べたところ、結果はこんな感じになりました。
- 協調性、外向性、誠実性、神経症傾向は、どれも才能があるかどうかとは関係がなかった
- 才能がある人たちは、唯一「開放性が高い」という共通点があった
だったそうです。効果量で言えば中程度でして、この相関は年齢や性別、住んでいる場所とは無関係に観察されたそうな。つまり、簡単に言い換えてみますと、
- 才能がある人はとにかく好奇心がある!
ってことでして、昔から「開放性とIQが関係してる」ってデータを見てきた身としては、やっぱりかーって印象でありました。知性があるから好奇心も高いのか、好奇心が高いから知性があるのかは謎ですけど、まぁ両方の経路が関わってそうな気はしますね。
また、協調性、外向性、誠実性、神経症傾向が才能とは関係ないってのもオモシロポイントでして、こちらも簡単に言えば、
- 社交性がある天才もいるし、メンタルが健やかな天才もいるよー
みたいなことっすね。フィクションの世界だと「神経質で非社交的な天才」みたいなイメージもありますけど、別にそんなことはないんだよ、と。
ちなみに、その他のおもしろかったポイントとしては、
- 誠実性が高い人は仕事や学業でのパフォーマンスが高い傾向はあるものの、才能とは関係してなかった
みたいな傾向が出てるのも興味深いっすね。要するに、忍耐があってコツコツやれるひとは仕事や勉強の成績はいいんだけど、決して才能があるわけじゃないんだってことでして、そう考えると、生まれつきの天才じゃない人間はやっぱ誠実性を鍛えるのが良いでしょうね。
でもって、こうなると「開放性を伸ばすことはできないのか?」ってあたりが気になりますけど、いまんところの結論では、
- 性格はそこそこ遺伝で決まるけど、がんばればある程度は特性を伸ばせる……かも?
ぐらいの結論なので、「好奇心が強い人を友達にする」とか「意識して新しいことに挑んでみる」ぐらいの対策はやってみても損はないかもしれません。その他、好奇心アップにつきましては、
あたりの本が参考になるかもしれません。とにかく「どれだけ良い質問を考えられるか?」ってのは好奇心の下地になりますんで、別に才能がどうこうって話ではなく普段から意識しておくと幸せになれることでしょう。