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今週末の小ネタ:他人をほめるのはウィンウィンだ!100歳を過ぎても脳が健康な人の秘密とは?本番前のプライミングでパフォーマンス激増?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 みんなで他人をほめまくろうぜ!と思わせる実験の話

「ほめ言葉は相手にも本人にもメリットが大きいぞ!」というデータ(R)が出ておりました。これはコーネル大学などの調査で、ざっくりどんな研究かと言いますと、

 

  • 実験1.参加者に指定された場所に行ってもらい、その場にいた人へ「そのシャツいいですねー」と声をかけるように指示。
  • 実験2.参加者に指定された場所に行ってもらい、その場にいた人へ自分が純粋に感じたポイントを褒めるように指示。

 

みたいになってます。見知らぬ人にいきなりほめ言葉をぶつけることで、どんな反応が起きるのかをチェックしたわけですな。

 

 

その結果がどうだったかと言いますと、こんな感じです。

 

  • 見知らぬ人を褒めた人は、自分のほめ言葉が人をどれだけ良い気分にさせるかを過小評価していた。つまり、褒め言葉を受け取った人は、相手を褒めた人が予測するよりも、より幸せで、めちゃくちゃ喜ぶ確率が高かった

 

  • ほめ言葉を伝えた人は、ほめ言葉を伝えた後に気分が良くなり、「今後も知らない人をほめるぞ!」という気持ちが強くなった

 

ということで、見知らぬ人だろうがほめられればうれしいし、ほめた側にも幸福が訪れるという実にウィンウィンな傾向が確認されたらしい。んー、すばらしい。これは手軽なメンタル改善法としていいっすね。

 

 

研究チームいわく、

 

私たちの多くは、相手の着ている服が好きだとか、プレゼンテーションに感銘を受けたとか、相手の何かに気づいて感謝する瞬間がありますが、その感謝の気持ちを共有するのではなく、自分の中にとどめてしまうことが多い。たとえ不器用で簡単なほめ言葉でも、その場では相手にどれほど良い印象を与えられるかを忘れがちだからだ。

 

とのこと。みんなついビビってほめ言葉をひかえがちなんだけど、お互いにメリットしかないんだから惜しみなくほめようぜ!ってことですね。これは心がけておこう……。

 

 

 

100歳を超えても脳がバキバキでいるためにはどうすればいいのか?

以前に「世の中には100歳を超えても頭が冴えている人がいるよー」て話を書きました。俗に言うスーパーエイジャーで、「不老長寿メソッド」でも衰えない脳を手に入れる方法などを検討しております。

 

 

で、新しいデータ(R)もスーパーエイジャーに関するもので、「なぜ人生の後半になっても脳の健康を保つことができる人がいるのか?」ってとこを縦断研究で調べてくれてて勉強になりました。

 

 

これは脳に衰えが見られない100歳代の人々330人を対象にした調査で、まずは全員の認知力、記憶力、意思決定能力などを調べて、そのうえでこれらのデータを、性別、年齢、学歴、視力や聴力、健康状態などと合わせて分析したんだそうな。さらに参加者が研究に参加できなくなるまで可能な限り追跡調査を行って、スーパーエイジャーのコツを抽出してくれております。ありがたやありがたや。

 

 

その結果なにがわかったかとまとめてみると、

 

  • スーパーエイジャーの脳を調べたところ、脳内のプラーク(アルツハイマー病の典型的な指標)が存在するのは確認されたが、アルツハイマー病そのものの兆候は見られなかった。また、アルツハイマー病の発症リスクを高める遺伝子を持つ被験者でも、認知機能の低下が見られなかった。つまり、認知機能が下がる危険にはさらされていたんだけど、何らかの方法で病気を回避できたことになる

     

  • スーパーエイジャーのほとんどは高水準の教育を受けており、平均して高校を卒業し、いくつかの上級訓練や大学教育を受けていた。また、半数以上の人が自立した生活を送っていた

 

  • スーパーエイジャーの大半が良好な視力と聴力を維持してていた。この能力は社会的なつながりや情報を維持するのに欠かせないため、認知機能の低下につながるのだと考えられる

 

  • 参加者のほとんどが活発な生活を送っており、75%以上が研究開始時に自立して歩くことができた

 

みたいになります。まー、この研究だとはっきりしたことは何も言えないんだけど、とりあえず体を動かすこと、高水準の教育を受けること、そして聴覚と視覚の能力を維持し続けるのが大事なのだろう、と。

 

 

 

本番前のプライミングエクササイズで運動パフォーマンス激増?

「プライミングエクササイズで24時間後の運動パフォーマンスが上がるのでは?」ってデータ(R)が早稲田大学のチームから出ておりました。プライミングエクササイズってのは、本番の運動の1日前に軽めの運動をしておくことで、この研究では、

 

  • 本番の24時間前に1R の40%のジャンプスクワットを5×4やる

 

ってやり方になってます。このような事前の運動により、その後でジャンプのパフォーマンスがあがるというんですな。

 

 

これは平均11年以上のスポーツ経験を持つ男性20名を対象にしたもので、まずはみんなのジャンプスクワット、ドロップジャンプのベースラインテストを実施。その後で全体を2グループにわけて、

 

  1. 1RMの40%でジャンプスクワットを5×4回行う
  2. なんのトレーニングもしない(コントロール条件)

 

って2つのパターンを両方とも順ぐりでやってもらい、それから24時間後にジャンプパフォーマンスを再測定したとのこと。いわゆるクロスオーバー試験で、その結果はと言いますと、

 

  • プライミングエクササイズを行ったグループは、24時間後のジャンプのパフォーマンスが有意に増加した(p < 0.05)。ただし、この効果はもともと筋力がある人だけに確認され、筋力が弱いグループには見られなかった(p > 0.05)

 

だったそうで、体重の2倍以上の負荷でスクワットができる人であれば、プライミングエクササイズによって24時間後の運動パフォーマンスが上がるっぽいですね。

 

 

ちなみに、この結果が筋トレにも使えるかどうかはまだ不明なんですが、ごく一部の研究では、3RMのスクワットとベンチプレスでプライミングエクササイズを行ったグループが6時間後の再テストで筋力を向上させたと報告してはおります。ただ、他に同じような研究は少ないので、私がプライミングエクササイズを取り入れるかと言われればちょっと微妙かな……。

 

 

ということで、スプリントやバスケットボール、サッカーのように爆発力を使うスポーツをやっている方は、競技の1日前に行うプライミングを行っておくのもアリでしょうねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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