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良いアイデアが生まれまくると噂の「エジソン式昼寝」には意味があるのか?という実験



発明王のエジソンは、アイデアを出すために変な昼寝をしてたことで有名な人物だったりします。ざっくりどんなことをしてたかと言いますと、

 

  1. 両手にボールを持つ
  2. そのまま昼寝する
  3. 熟睡しそうになる
  4. ボールが落ちて目が覚める

 

って感じです。これによって心地よいまどろみの状態を保ち、そのおかげで良いアイデアを出せたんじゃないか?って考え方があるんですよ。シャワー中のリラックス状態ほど良いアイデアが出やすくなるみたいなもんですな。

 

そこで、新たに「このエジソンスタイルは本当に使えるの?」ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。これはパリ脳研究所の調査で、103人の参加者を集めてこんな実験をしております。

 

  1. 普通に取り組むと超難しいが、ちょっとしたルールを見抜くと簡単に解ける数学の問題を指示する

  2. すぐに問題のルールを解読した16人を研究対象から外す

  3. 残りの人に20分間の休憩時間を与え、右手に小さな飲料用グラスを持ってリクライニング状態でリラックスしてもらう。その際、全員に睡眠ポリグラフを着けてもらい覚醒状態を評価する

  4. 物が地面に落ちたら、手を離す前に何を考えていたかを報告してもらう

  5. 休憩の後、被験者に再び数学の問題を提示してどうなるかを調べる

 

ってことで、エジソンと同じようにまどろみの状態に入った人は、ひらめきのレベルが上がるのかどうかを調べたわけっすね。

 

 

その結果、どんな違いが見られたかと言いますと、

 

  • 休憩中にステージ1の睡眠(浅い睡眠)に入った人は、実験中ずっと起きていた人の約3倍も問題の隠されたルールを解き明かすことができた

 

  • さらに、休憩中にステージ1の睡眠(浅い睡眠)に入った人は、休憩中にステージ2の睡眠(中程度の睡眠。軽い寝息を立てるレベル)に入った人の約6倍も問題の隠されたルールを解き明かすことができた

 

だったそうです。初期の浅い睡眠だけで維持した人は、「覚醒状態のまま」&「ちょい深い睡眠」よりも格段にヒラメキが出やすくなったわけですな。これはおもろいな……。

 

 

ちなみに、このようなエジソンスタイルでアイデアを得ていた偉人は他にもいまして、

 

  • 化学者のオーガスト・ケクレは残業中の "半睡状態 "の時に自分の尾を噛む蛇を見て、ベンゼンの環構造を発見した
  • アインシュタインはスプーンや鉛筆を持ちながら数分だけ眠り、インスピレーションを得ていた
  • 画家のサルバドール・ダリは、地面に皿を置いた状態で鍵を持ちながら昼寝をし、落ちた鍵が皿に当たる音で目を覚ましていた

 

みたいな逸話がよく知られております。これはやってみる価値があるかもしれんですな。

 

 

もっとも、昼寝をしなくても「覚醒と睡眠のはざまで良いアイデアが出る!」って効果を得られる可能性はありまして、たとえば2018年の研究(R)によると、

 

  • 静かに休息して覚醒状態を停止させるだけでも、ヒラメキの確率がアップする!

 

ってな報告も出てたりします。そう考えると、たんなる深呼吸でリラックスするだけでも良さそうな気もしますが、そこら辺はまだ謎っすね。

 

 

いずれにせよ、エジソンスタイルの昼寝はアイデア出しに有効な感じがしてきましたので、原稿に行き詰まったら試してみるかもしれません。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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