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いまの友人ってあなたのためになってます?もしかしたら別れたほうがいいのでは?みたいな本の話

 

 

友達と別れる方法How to Break Up with Your Friends)」って本を読みました。著者のエリン・ファルコナーさんは「Pick the Brain」っていう有名な心理学系サイトの共同経営者さんですね。

 

 

で、本書がどんな内容なのかと言いますと、

 

  • 友人は素晴らしいが、真に友人を作るためには自分を理解せねばならない

 

みたいな感じです。タイトルは「友人とのケンカ指南」みたいですけど、友情のメリットを得るにはまず自己を掘り下げて仲良くする必要があるよーって事実を指摘したものになってます。

 

 

では、本書で勉強になったポイントをまとめておきましょうー。

 

 

  • ノースカロライナ大学の社会学者であるヤン・クレア・ヤンは、2016年にいくつかの研究をレビューした結果、社会的な統合の度合いが高い人(社会に受け入れられている人)ほど、健康上のマイナスリスクが低いことを明らかにした

 

 

  • 1990年代後半にカーネギーメロン大学のシェルドン・コーエンが行った研究では、200人以上の健康な男女にライノウイルスを投与したところ、社会的ネットワークの規模が大きく多様性に富んでいる人ほど、風邪を引きにくいことがわかった

 

 

  • スウェーデンで行われた大規模な調査では、社会的なつながりが最も少ない人は、多い人に比べて心血管疾患で死亡するリスクが50%も高まることがわかりました。また、いったん心臓病になっても、社会的なつながりがある人ほど回復しやすい傾向があり、治療成績が良好で、うつ病の症状も少なかった

 

 

  • 米国医務総監のヴィヴェック・マーシーは、「孤独は心身にトラブルが起きていることを示す有用なサインであり、空腹や喉の渇きと同じように捉えるべきだ」と指摘している。孤独のストレスが慢性化すると身体を破壊し始め、肥満や喫煙と同じくらい悪影響を及ぼす可能性がある

 

 

  • 神経科学者のエミリー・ロガルスキーは、80歳を超えても40代のように機能するスーパーエイジャーを研究し、緊密な社会的ネットワークを持つことが長生きにつながることを示唆している。スーパーエイジャーたちは身体的にも知的にも社会的にも活発で、ロガルスキーの研究者、強い社会的なつながりが人生の後半で脳を保護するという考えを裏付けている

 

 

  • 友情は健康メリットが非常に大きいが、それと同時に、良い友人は私たちの本当の姿を発見させてくれる働きも持っている。18世紀の天文学者マリア・ミッチェルが言うように、人間は友情の中でお互いを創造し、自分自身を再創造することができる。他者と親密な関係を築くことは、同時に自分自身の強さと個性を高めることでもある。最高の自分を求める人は、自己探求の手段として友情を育む必要がある

 

 

  • ジム・ローンは「私たちは最も多くの時間を過ごす5人の平均値である」と言ったが、多くの研究によれば、実際に私たちは一緒に時間を過ごすすべての人から影響を受けている。だからこそ、人間関係を選択する際には、少なくとも意識的に、また最善の目的を持って行う必要がある

 

 

  • しかし、素晴らしい友情を築くためには、まず自分自身を知ることが出発点になる。自分自身の最高の友人でない人間は、他者に真の友情を与えたることも、他者から受け取ることもできない。自分の価値観、ニーズ、長所、短所、目標がわかっていないと、どの友情を育むべきで、どの友情を捨て去るべきかを知ることはできない。要するに、自分を理解できていないと、続けるべき友人関係と断ち切るべき友人関係を把握できない

 

 

  • 事実、複数の研究は、自分を批判することが多い人は他の人を批判する可能性が高く、他の人から自分に向けられた批判に苦しむ可能性も高いことがわかっている。

    また、自分に対するネガティブな感情は、他人に自分の素を見せたり、存在感を示すことを妨げてしまう。一方で、自分との付き合いがうまい人ほど他人に与えられるものが増え、逆に自由に受け取ることができるようになる。つまり、自分との関係は人生の他のすべての関係の調子を設定すると言え、誤った友人を作るとトンデモないことになりがち

 

 

  • いまの友人関係における自分の役割を理解するためには、最初の友人関係を理解する必要がある。というのも、遺伝学の研究などにより、幼少期の経済状態、親の育て方、学校での経験など、幼少期に起きたことはその後の人生に大きな影響を与るが、その中でも特に影響力が大きいのが幼少期の友人関係だとわかっているからである

 

 

  • 幼少期の友人関係は共感や協力の姿勢を学ぶのに役立つが、一方で、妬みやいじめの温床にもなり得る。それにも関わらず、幼少期は人間関係を自分でコントロールできない。さらに、脳科学者のサンドラ・アーモッドによると、人間の脳は25歳まで完全体にはならず、小さな子どもほど環境の影響を受けやすい。そのため、幼少期に受けた悪影響は、現在の私たちがどうにかするしかない

 

 

  • 自分が過去に受けた影響を知るには、幼少期の人間関係を分析するのが一番。「自分ともっとも仲が良かった人は?」や「そこからどんな影響を受けた?」「友人からどんな価値観を学んだ?」と考えてみるのが有効だる。

    また、「両親は自分に友情のロールモデルを示してくれたか?」を考えるのも役に立つ。「私の両親は本当に社交的だったろうか?」「非社交的だったろうか?」「母に親友はいただろうか?」などを考えることで、いまの自分の友人関係やその中での役割が理解しやすくなる。

    この作業をすることで、「本当は嫌なのに何となく付き合っていた友人」が浮かびあがるケースも少なくない。この場合は、嫌なタイプの人間との付き合いを幼少期にプログラムされ、それを疑問に思わないように挑設定された可能性がある

 

 

ということで、友人の重要性は「最高の体調」でも強調したところですけど、「自分と仲良くできんと本当に友人は作れんぞ!」って指摘は抜けてたポイントですね。あと、タイトルが「友達と別れる方法」になってるのは、「幼少期のプログラミングのせいでしょうもない友人と付き合ってる人が多いから、そういうのとは別れたほうがいいっすよ!」って意味なわけですな。

 

 

まぁ自己嫌悪が強い人だとすぐに自分と仲良くするのは難しいかもですが、取り急ぎセルフコンパッションをこつこつやるしかないですかねー。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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