「Oura Ring(オーラリング)」を1年使うとどこまで睡眠と体型は改善するの?
このブログでは、「Oura Ring(オーラリング)」ってガジェットを割と推奨しております。指輪タイプの健康ガジェットで、指の付け根部分のセンサーが心拍変動や体温を測定して、持ち主の身体活動、睡眠状態、ストレスなどを教えてくれるんですね。
で、個人的には「手軽に生活をモニタリングできる良いガジェットだよなー」と思ってたところ、「オーラリングでどれぐらいライフスタイルは改善できるか?」ってのを調べたデータ(R)が出てて参考になりました。
これは12カ月間のRCTになっていて、過去3カ月間に運動をほとんどしなかった56人の参加者が対象。みんなにオーラリングを装着してもらったうえで全体を半分にわけまして、
- オーラリングで計測したデータをもとに、毎日テキストメッセージで運動量のフィードバックをもらう(要するに、オーラリングを普通に使うイメージ)
- テキストメッセージのフィードバックをもらわないが、「健康な生活を送るコツ」のガイダンスを受ける
って感じで、あとはいつもどおりの生活を送ってもらったんだそうな。参加者には全員に「週に150〜300分以上のウォーキングまたはジョギングをしてくださいね!」みたいな指示が出たとのこと。
また、オーラリングを使ったグループには、定期的に以下のようなフィードバックが届いたそうです。
- 昨日の歩数は8,235歩で、そのうちの10%はジョギングをしていました。
- すばらしいですね。今週、あなたの平均歩数は先週に比べて800歩増加しました。
- 今週のあなたの睡眠と心拍変動の傾向は、良い睡眠と十分な回復を示しています。今週はジョギングによる歩数の割合を増やすように努力しましょう。
ここらへんは、オーラリングだけでなくアップルウォッチでも近いことはできますが、心拍変動を使った回復レベルのフィードバックとかは、まだオーラリングの方が優位性がある感じですかね。
でもって、みんなの入眠潜時(寝付くまでの時間)と総睡眠時間で測定した睡眠の質、VO2max(持久力の指標)、身体活動のレベル、体組成などをチェックしたところ、結果はこんな感じになりました。
- オーラリングを使ったグループは、最初の3ヵ月間で研究スタート時よりも寝付くまでの時間が改善され(42分から23分)、オーラリングを使わないグループと比べても改善した(23分 vs. 35分)。
- オーラリングを使ったグループは、体脂肪率(26.8%から23.0%)も改善し、オーラリングを使わないグループと比べても改善した(23.0% vs. 25.9%)
- オーラリングを使ったグループは、歩数(1日7,446歩から1日9,626歩)も改善し、オーラリングを使わないグループと比べても改善した(1日9,626歩 vs. 1日7,527歩)
- オーラリングを使ったグループは、ジョギング時間の割合(2.1%から7.8%)も改善し、オーラリングを使わないグループと比べても改善した(7.8% vs. 5.1%)
- オーラリングを使ったグループは、VO2max(36.3mL/kg/minから0.6mL/kg/min)も改善し、オーラリングを使わないグループと比べても改善した(40.6mL/kg/min vs. 35.4mL/kg/min)
ってことで、すべての指標においてオーラリングのほうが良い成績を出してまして、やっぱ健康ガジェットは意識の改善に効くんだろうなぁってとこですね。
もっとも、この実験では、オーラリングのフィードバックを受けなくなったとたんに寝付きが悪くなり、歩数とジョギング時間も減り、心拍変動も悪化したそうで、やはりフィードバックはずっと続けないとダメなんだなぁ……というところでしょうか。
もちろん、サンプルサイズが小さい研究ですし、食事などの潜在的な交絡因子をまったく考慮してないので、研究の質としてはそんな高くないとお考えください。とはいえ、これだけ長期にわたってウェアラブルの調査をしたケースはほかにないので、オーラリング好きにはモチベーションが上がる実験じゃないでしょうか。