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【質問】「疲れているのに眠れない!」ときはどうすればいいんですか?

 



こんなご質問をいただきました。

 

疲れているのに眠れない日が増えてきました。職場では眠いのに、布団に入ると眠くなくなります。これはどのような対策が考えられますか?

 

とのことで、確かに「疲れているのに眠れない!」って悩みはよく耳にしますね。私も会社員時代に睡眠が乱れていたときは、同じような問題に苦しんだもんです。あれ、辛いんですよねぇ。

 

 

で、この問題については、かなり複数の原因が考えられまして、「これぞ疲れているのに眠れない問題の理由だ!」と言い切るのはほぼ不可能だったりします。不眠の理由って無数にあるんで、なんとも言い難いんですよね。

 

 

なので、この問題の正確な原因を特定するのは難しいんですが、疲れているのに眠れないときは、だいたいは「体内時計の乱れ」と「特定の健康問題」が混ざりあっているケースが多かったりします。

 

 

そこで今回は、「疲れているのに眠れない」問題を引き起こす原因をガンガン並べていくことにします。以下のリストを参考に、心当たりがないかどうかをチェックしてみてくださいませ。

 

 

  • 光を浴びるタイミングが悪い:朝一番に光を浴びず、寝る時間の近くに光を浴びすぎるってのは、疲れているのに眠れない原因として最も一般的なもののひとつです。光は起床時に体内時計をスタートさせる役割を果たし、その後で光がなくなると、体に睡眠のシグナルを送るんですよね。また、光はセロトニン濃度を増加させ、これが後にメラトニンに変換されて眠気を呼び起こす誘い水にもなってくれますので、こちらもご注意ください。

 

 

  • 昼寝しすぎ:昼寝はうまく使えば体に良いものの、間違って使うと、深い眠りを妨げる原因になりがち。ある研究(R)によると、午後の遅い時間に昼寝をしたり、30分を超える長時間の昼寝をすると、眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めるようになるそうな。昼寝は、1回あたり20分までにとどめ、さらには毎日同じ時間に行うのがおすすめです

 

 

  • カフェインとアルコール:コーヒー、紅茶、アルコールなどを遅い時間に飲んだせいで睡眠のスケジュールがズレてしまう人は意外と多め。 カフェインの半減期は平均5時間なので、寝る16時間前に200mgのカフェインを摂取しただけでも、睡眠に影響が出る可能性があったりします(R)。

 

 

  • 抑うつ状態:うつ病と診断された人の90%は睡眠の質が下がるケースが多め(R)。うつ病は、体内の炎症、脳内化学物質の変化を起こすので、夜間に覚醒しやすくなるんですよね。

 

 

  • 不安:抑うつ状態までいかずとも、ちょっとした不安でも「疲れているのに眠れない状態」は発生します(R)。不安になるとストレスホルモンが増えてしまい、これが脳を覚醒させるんですよ。

    この問題は、仕事で失敗したときのような重めの不安だけでなく、寝る前にホラー映画を見たり、パートナーと軽い口論をしたりといった軽い不安でも発生するんでご注意を。それだけでも血圧や心拍数が上昇し、疲れているのに眠れなくさせちゃうんで。

 

 

  • スクリーンタイム:寝る前のスマホ、タブレット、ノートパソコン、テレビ画面から発せられるブルーライトが良くないのは、このブログで何度も指摘しているポイントです。基本的には、寝る2時間ぐらい前には、あらゆる機器の使用を中止したほうが脳の覚醒を抑えられますので、ぜひお守りください。

 

 

  • 体内時計に効く食事:食事も眠気に影響を与える要素のひとつで、2019年の研究(R)では、日中の眠気と食事について調べたところ、1日のカロリー摂取量の5%をタンパク質から、同量の飽和脂肪酸または炭水化物に置き換えると、日中の眠気のリスクが高まることがわかったんだそうな。一方、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸、タンパク質、炭水化物に置き換えると、日中の過度の眠気のリスクが減少する傾向もあったそうで、脂肪をタンパク質に変えてみるのも、もしかしたら有効かもしれません。

    また、2016年のレビュー(R)では、長期的にみた場合、タンパク質が多い夕食を摂取すると、日中の眠気が軽減する可能性があるとのこと。また、このレビューによると、寝る前に、アーモンドやキウイフルーツなどを食べると、体に眠るための信号が送られるそうな(メラトニンが入っているので)。こちらもお試しいただくといいかもしれません。

 

 

  • 社会的時差ぼけ:社会的時差ぼけは、社会的な体内時計と生物学的な体内時計のミスマッチを意味してまして、簡単に言えば、平日は夜遅くまでガンガンに起きまくっていて、その睡眠不足を休日に取り返そうとして寝まくるような状態のことです。まぁ平日の仕事の疲れを癒やすためであれば、少しぐらい遅くまで寝るのは構いませんが、あまりにこの状態が続くと「疲れているのに眠れない!」って状態になりがちなのでご注意ください。

 

 

  • ホルモンのアンバランス:女性の場合は、ホルモンの変化によって「疲れているのに眠れない」状態にハマるケースもあるでしょう。月経の直前に起こるホルモンの変動は、レム睡眠の減少、メラトニンの分泌量の減少、体温の上昇などを引き起こし夜間の覚醒を増やす原因になることがありますんで。

    また、更年期障害の症状が出ている場合も、疲れているのに眠れない現象を起こすこともあるのでご注意ください。更年期に入ると、エストロゲンとプロゲステロンの量が減り始め、睡眠と覚醒のサイクルが変調することがあるんですよ。これらのホルモンの変動も、疲れているのになかなか眠れない原因になったりしますんで。

 

 

というわけで、いろいろと並べてみましたが、疲れているのに眠れないという問題は、ほかにも睡眠相後退症候群とか、睡眠時無呼吸症候群とか、レストレスレッグス症候群といった障害によっても発生しますんで、こういったトラブルにお悩みでないかもチェックしておくと良いのではないでしょうか。そのうえで、思い当たる原因を解決する方法を考えていただければ幸いです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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