紙に書き出して心のモヤモヤを解決!に役立つ「WRITE(ライト)」のガイドライン
ご存じの方も多いと思いますが、私の本はワークシートや記録用紙をとても多く紹介しております。慣れないうちはめんどうに感じることも多いでしょうが、自分の思考や行動を紙に書き出しておかないと、せっかくのテクニックも効果が出なくなってしまうケースが多いもので。
事実、「記録」とか「書くこと」のメリットは、このブログでもいくつか紹介してまして、
- 最近の研究では、表現力豊かな文章を書くことで、免疫系の機能まで向上させる可能性が示唆されております。
- トラウマや極度のストレスがある人ほど、表現力豊かな文章を書くことで癒しを得られる可能性がある。ある研究では、トラウマになった体験について15分間、4日間続けて書きまくった参加者は、4か月後まで健康状態が良好だったと報告されてたりします(R)。
- 別の研究(R)では、100人以上の喘息と関節リウマチの患者さんに、自分の苦しみを文章にしてもらったところ、上と同じような結果が得られたとのこと。なかでも、人生で最もストレスの多い出来事について書いた参加者ほど、自分の病気に関する健康評価が良くなったのです。
といった報告があがってたりします。まー、これらメリットは、まだどこまで効果レベルが高いのかまではわからないものの、一般的には、瞑想や運動といった定番の自己改善テクニックに匹敵するレベルだと考えられています。紙に書くだけでこれだけのメリットを得られるのだから、ぜひ身につけておきたい習慣と言えるでしょう。
が、ここで問題になるのが「具体的にどうすればいいのかわからない……」って方が多いんですよね。 確かに、「なんか辛いことは紙に書き出そう!」と言われても、「なんかフンワリしたアドバイスだなぁ……」みたいな気分になってしまうのは当たり前ですもんね。
ということで、今回は、「紙に書き出すメンタルケアをしてみたいけど、ちょっとやり方がわからない……」という方のために、簡単な実践のガイドラインをお伝えしようと思います。ここで取り上げるのは「WRITE」というガイドラインで、 心理療法の世界ではよく使われる手法です。
具体的には、「自分の悩みを紙に書き出す手順」の頭文字を取ったもので、その頭文字の順に考えていくだけで、何を書けばよいのかをある程度まで把握できるようになっております。それでは、その概要を簡単に見てみましょうー。
- W(What):まずは「何について書きたいのか?」を考えます。自分の人生で起こっていること、現在の考えや感情、いま努力していること、避けようとしていること、いまのトラブルなど、とにかく自分のなかでモヤモヤしていることを考えてみましょう。
- R(Review):ある程度まで書くことが決まったら、レビューのステップに移ります。静かに呼吸を整えて集中しつつ、2〜3分ほど軽く瞑想をしてください。その間、なんとなく「これから書きたいこと」について考えます。
- I (Investigate):「自分の考えや感情は以前よりも明確になったか?」と自分に問いかけながら、実際に文章を書いてみましょう。書くことがなくなったり頭がぼんやりしてきたりしたら、再び2〜3分の瞑想をはさんで続けてください。
- T (Time):自分の内面を紙に書き出すときは、最低でも5分は続けて書くようにしましょう。タイマーやアラームを設定して、設定した時間になったら鳴らすようにしておくのもおすすめです。
- E (Exit):書き終わったら、すべての文章を読み返しつつ「この作業で得たものは何か?」と考えて、1〜2つの文章に端的にまとめてください。「目標の設定が甘いと気づいた」のような反省でもいいし、「思ったよりも自分は成長している」のような自画自賛でも構いません。このステップが済んだら終了です。
ってことで、紙に書く際のポイントは以上です。簡単に言えば、紙に書き出す内容ってのは、「なんか自分のなかでモヤモヤするんだけど、どう考えていいかよくわからんなー」ってものがベスト。「上司に怒られたモヤモヤ」「自分の失敗に関するモヤモヤ」でもなんでもいいんですが、言語化できたらスッキリしそうなものをお選びください。
また、上記の作業を行う際は、以下のポイントにも注意してくださいませ。
- 気が散らないように、周囲から切り離された自分だけの空間で書く
- 少なくとも1日1回ずつ、3〜4日は連続して書くことを目ざす
- 書いた後は、その内容をぼんやりと考える時間を持つ(集中して考える必要はありません。5〜10分ぐらいをかけて、その日の記録をなんとなく思い出すぐらいでOKです)
- 自分が正しいと思う文章なら、どんなに日本語が間違っていても気にせず書く
ってことで、こんなところに注意しつつ、自分の思考と感情について考え、自分を分析していくのが「WRITE」のガイドラインのコツであります。お試しをー。