今週末の小ネタ:脳の疲れに「セージ」が効く、運動で痩せるのは難しいが筋肉の量を下げない効果はある、好きな歌詞で愛着スタイルがわかる
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
運動中の脳の疲れにスパイスの「セージ」が効くかもよ
セージってハーブがありますな。料理に使われる植物の一種で、スパイスとして愛用している人も多いんじゃないでしょうか。
ただ、セージってのはただのハーブではなく、実はかなりポリフェノールの多い優良な植物でもあったりします。そのおかげで、近年は「脳機能の改善に良いのでは?」なんて報告もあったりするんですよ。なので、海外では脳力ブースト用のサプリとして売られてたりもしするんですね(まだデータが足りないので、個人的にはそこまでおすすめしてませんが)。
でもって、新たなデータ(R)もセージのメリットに関する話で、結論から言いますと「セージで疲れた脳のパフォーマンスが上がる!」みたいな感じです。どんな人でも、体が疲れ切ったあとは何も考えたくなくなるものですが、この状態をセージがやわらげてくれるかもしれないわけっすね。
これは健康な26人の男女を対象にしたテストで、みんなにセージのサプリメント(セージエキス600mg)かプラセボ(マルトデキストリン600mg)のどちらかを摂取させたあとで、サイクルマシンで体が疲れきるまで運動をしてもらったんだそうな。
ちなみに、サイクルマシンのハンドルにはキーボードが取り付けられており、サイクリング中に認知テストを行うことができるようになっていたとのこと。これによって、運動中の脳の働きをチェックすることができるわけっすね。
すると、結果は以下のようになりました。
- セージのサプリは、プラセボよりも運動の主観的なつらさを低下させた
- セージを飲んだグループは、プラセボよりも脳の反応時間とワーキングメモリーも増加させた。
以上の結果をふまえたうえで、研究チームは、セージのサプリはプラセボよりも反応時間、主観的な疲労、ワーキングメモリを改善するのでは?と結論づけております。あくまで小規模な研究なんで、これで「みんな脳のためにセージを飲もうぜ!」とはならないわけですが、これまでにも割と良い結論が出ていることを考えると、「もっと料理にセージを使ってみるか……」ぐらいの気持ちにはなりますねぇ。
運動で痩せるのは難しいが、筋肉の量を下げない効果はあるよね
「運動はダイエットに向かないのでサポートとして扱おう!」って話をついこないだ書いたわけです。運動の消費カロリーは少ないので、体脂肪を減らす目的に使うのではなく、他の用途に利用したほうがいいですよーって話ですね。
で、その“運動の他の用途”として代表的なものに、「減量中に筋肉が落ちずに済む」というものがあります。カロリーを制限しているあいだはどうしても筋肉が落ちてしまうので、このダメージをできるだけ緩和するためには、やっぱり運動が欠かせないんですよね。
ということで、新たに出た研究(R)でも、ダイエット中における筋トレのメリットを調べてくれていて参考になりました。この研究は、「太りすぎ」と判断された141人の女性を対象にしたもので、まずは全体を3つのグループに分けております。
- カロリー制限だけをする
- カロリー制限+有酸素運動を週3回
- カロリー制限+筋トレを週3回
そのうえで、1年をかけて、みんなの体脂肪や筋肉にどのような変化が出たかを調べたところ、結果はこんな感じになりました。
- 筋トレをしたグループは、体脂肪を減らしながらも筋肉が増えた
- カロリー制限だけのグループは、体から減った重さの9.7%が除脂肪体重(≒筋肉)だった(つまり、カロリー制限だけだとかなりの筋肉が減ってしまう)
- 有酸素運動をしたグループは、カロリー制限だみのグループよりは筋肉が減らなかったが、はやり筋トレグループよりも筋肉が減っていた
ということで、やはり運動とカロリー制限を組み合わせることで、体脂肪だけが減る確率が上がっていくらしい。逆にカロリー制限だけだと、結構な量の筋肉が減ってしまうので、これはぜひ注意しておきたいポイントですね。
ってことで、いまあなたが体脂肪をガンガンに減らそうとしている場合は、ぜひカロリー制限に筋トレを組み合わせてみてくださいませ。それで筋肉がたくさんつくとは限りませんが、少なくとも、筋肉をできるだけ維持し、できるだけ多く体脂肪を減らすことができますので。
私たちの好きな歌詞で愛着スタイルがわかるかもよー
「他人の愛着スタイルは好きな歌詞でわかる!」みたいな研究(R)が出ておりました。愛着スタイルてのは、このブログで何度も出ているポイントで、よくわからない方は「あなたの性格は住む場所によって大きく変わる」をご参照ください。ひらたく言えば、他人との関わり方をもとにした性格分類の一種です。
ここで研究チームが何をしたかと言いますと、
- 502人の男女を集め、好きな英語の歌を7~15曲思い浮かべるよう求める。
- みんなの愛着スタイルとパーソナリティ特性をテストする。
- 参加者の好きな歌と愛着スタイルの関係を分析する。
みたいになります。その結果、回避型(親密な人間関係を避けようとする人)の愛着スタイルを持つ人は、同じ感情を表現した歌詞を楽しみ、また神経症スコアが高い人(不安になりやすい人)は、不安を表現した歌詞を好む傾向があることがわかったそうな。要するに、みんな自分の内的世界を表現してくれる作品にひかれるってことですな。わかるー。
さらに、このチームは、1946年から2015年の間にヒットした曲を分析する研究も行ってまして、その結果がどんなもんだったかと言いますと、
- 最近の曲ほど、歌詞が回避型の愛着を表現しているケースが多くなった。
みたいな感じだったそうで、世界で「人と関わりたいが関わりたくない」みたいな歌詞が増えているらしい。その理由はよくわからんですが、世界中で社会的なコミュニティの機能が減少しているのが原因なんですかね。
もちろん、この研究は自己報告式のデータなので、ここから得られる推論には限界がございます。といっても、好きな音楽が人間の性格を反映するって報告は非常に多いので、音楽と愛着スタイルが相関する可能性は十分あるでしょうねぇ。