運動をすればするほどダイエット効果が下がるという悲しい現実について
「運動で痩せるのは難しいから、あくまでサポートぐらいに考えてね!」ってのは、「パレオダイエットの教科書」でも強調した話です。運動の消費カロリーは非常に少ないので、食事を変えないと痩せづらいよーってポイントは、ダイエットを考えるうえではかなり重要ですね。
で、ここで取り上げるデータ(R)も、「運動はどこまでダイエットに有効か?」を調べた内容になります。
まずは、研究の概要をざっくりとお伝えしましょう。この研究は、運動をほぼしない肥満の女性を対象にしたもので、全体を4つのグループにわけてます。
- コントロール : 運動をしない。
- 4KKW : 週に体重1kgあたり4キロカロリーを使うような運動をする。
- 8KKW : 週に体重1kgあたり8キロカロリーを使うような運動をする(一般的に、肥満の人に推奨される運動量)。
- 12KKW : 週に体重1kgあたり12キロカロリーを使うような運動をする。
実験の期間は6ヵ月間で、参加者の食生活は、これまでと同じものを繰り返すように指示したそうな。食べる量は特に変えず、適度に運動をした場合と、激しめの運動をした場合で、ダイエットの効果は変わってくるのかを調べたわけですね。
ちなみに、ここで参加者が行った運動は、ランニングマシンなどを使った有酸素運動がメインで、筋トレは行われておりません。なので、この研究からだと、筋トレがダイエットに役立つかどうかはわからないので、ご注意ください。
では、皆さんの体重が、6ヶ月後にどうなったかを見てみましょうー。
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4KKWグループの平均で1.4kg体重が減り、12KKWグループは平均で1.5kgの体重が減った。12KKWグループは4KKWグループの3倍も運動をしたわりに、体重の減り方はほぼ同じだった。
- 最も体重が減ったのは8KKWグループで、平均2.1kgだった(これは偶然なので無視してもよさそう)。
というわけで、みんなそれなりに体重は減ったんですが、ここで一番大事なのは、
- 運動量が増えれば増えるほど、体重の減り方が少なくなる
ってところでしょうね。研究チームは、「これだけ運動をすれば、だいたいこれぐらい体重が減るだろう」と事前に予測してたんですが、もっとも運動をした12KKWグループは、予測値の53.5%しか体重が減らなかったんですよ。
一方で、最も成績が良かったのは、最も運動量が少ない4KKWグループで、予測値の136%の成果だったとのこと。いずれにせよ、運動をがんばるほどダイエットの効果が薄れてしまうという、まことに悲しい結果ですね。
たくさん運動でカロリーを消費した人ほど体重の減り方が遅い理由は簡単で、
- 運動をすればするほど体重補正がかかるから
という感じになります。つまり、運動するほど、私たちの体はもとの体重を維持しようとするメカニズムが働き、そのせいでダイエットの効果も薄れていくのだ、という話です。
そのメカニズムをざっくりまとめますと、
- 運動量が平均より多くなると、脳から「もう今日は動かなくていいっしょ!」と指示が出て、いつもよりダラダラしがちになる。
- いつもより運動をすると空腹感が高まり、どんどん食べちゃう。
みたいになります。どちらも、運動をしたことがある人なら、心当たりのある現象ではないでしょうか。
もちろん、この研究の参加者は肥満の女性が中心なので、すでに標準体型の男女や、筋トレをしている男女にも当てはまるとは言えませんが、また別の研究(R)では、多くの人は「運動で消費されたカロリーの28%に体重補正がかかるかも?」とされております。なかなかのもんですなぁ。
ということで、この研究から教訓をまとめると、
- 運動量が多ければ痩せるというものではない。
- 運動量が多ければ多いほど体重補正が大きくなり、体重減少が期待できなくなる。特に、運動のビギナーほど、この現象に悩まされやすい。
- ダイエットのために運動をするなら、疲れすぎて1日の活動量が激減したり、食欲が急上昇しないレベルの運動量を目指す必要がある。
みたいになります。まー、くり返しになりますが、私は運動はあくまで体力作りのためにやるもので、ダイエットのためにやるのはどうなのかなーってところですねぇ。