便秘に効くベストな食物繊維とはなにか?のメタ分析
「便秘には食物繊維が効く!」ってのは常識的な話。食物繊維を多く摂ると、便が体内を移動する速度が増加して、症状が改善するのは間違いないところなんですよね。
が、ここでまだよくわからないのが「便秘に効くベストな食物繊維とはなにか?」という問題でしょう。食物繊維はそれぞれに違いがあって、溶解度(食物繊維が水に溶ける度合い)、粘性(ゲルを形成する能力)、発酵性(体内でどれだけ代謝されるか)などが異なるので、便秘への効果も変わってくる可能性が高いんですよ。
ということで、新しいメタ分析(R)では、便秘に効きやすい食物繊維ってなんだろう?ってのを調べてくれていて、非常によい感じでした。
これは16の試験をまとめたメタ分析で、慢性的な便秘に悩む男女1,251人を対象に、以下のような食物繊維の効果をチェックしてくれております。
- ポリデキストロース(2試験)
- サイリウム(4試験)
- イヌリン型フルクタン(5試験)
- ガラクトオリゴ糖(2試験)
- ペクチン(1試験)
- 小麦ふすま(1試験)
実験で使われた食物繊維の摂取量は1日あたり4〜40グラムで、試験期間は2週間から8週間だったとのこと。そのうえで、どの食物繊維が便秘の改善に効くのかどうかをチェックしてくれたんですよ。
では、分析の結果を見てみましょうー。
- どんな食物繊維でも何も摂取しないよりはマシである(これは当然ですな)
- なかでも便秘の解消効果が明白だったのは、サイリウム(3試験)およびペクチン(1試験)だった
- 便秘を解消するには、1日当たり10グラムを超える食物繊維を飲む必要があるっぽい(9試験)
ということで、どの食物繊維もそれなりに効きそうですが、サイリウム(いわゆるオオバコ)やペクチンがベストじゃないかってことですね。サイリウムは食物繊維のド定番ですが、やはり機能もよろしいんですねぇ。
ただし、データの数値を見ていると、食物繊維のサプリってのはそこまで劇的に効くわけでもない感じでして、食物繊維によって便の回数こを大幅に増加するものの、便の硬さや便秘の緊張レベルについてはわずかな改善しかもたらさない印象ですね。そこはぜひご注意ください。
ちなみに、サイリウムとペクチンについて、もうちょい細かく申し上げますと、
- サイリウムとペクチンは、便秘症状と膨満感を改善してくれるっぽい
- 小麦ふすまは便の回数を増やし、通過時間を長くすることができるが、便秘の主観的な不快感を改善できるかどうかはまだ明らかではない。ある試験では、便秘のある人に1日当たり20グラムの小麦ふすまを飲んでもらったところ、便秘症状(腹部膨満感および疼痛)への明白な利点は見られなかった。
みたいになります。小麦ふすまも食物繊維の定番ですが、こと便秘に関してはあんまりなのかもですなー。
また、こちらも余談ですが、この文献では「食物繊維の効果を正しく得るには水の摂取量が大事だよー」ってポイントも強調されてますんで、そこもぜひ押さえておいてくださいませ。食物繊維で腸内の便を移動させるためには、食物繊維を水と結合させたうえで便がふくむ水分の量を増やさねばならないんですよ。もし水分が足りないと便の重量とサイズが増加せず、腸を刺激して便を腸から押し出す効果が得られないんですな。
といっても、水分の摂取量と便秘の関係を調べた研究ってのは驚くほど少ないんですが、117人の便秘患者を対象とした試験では、半分の参加者に食物繊維の摂取量を増やすように伝え、それと同時に毎日2リットルのミネラルウォーターを飲むように指示したんだそうな。
その結果、食物繊維と水の摂取量を増やした被験者は、下剤の使用量が週2.5回から0.3回にまで減ったのに対し、食物繊維だけを増やした参加者は週1.5回から0.7回までしか減少しなかったそうな。そう考えると、食物繊維を増やした場合は意識して水分の量も増やしたほうがよさそうっすね。
さらに、また別の試験では、低繊維食(便秘ではない)の20人を含む試験では、食物繊維と水の両方を増やすと、食物繊維だけを増やすよりも痛みや膨満感などの腹部の不快症状が減少したとも報告されております。便秘の不快感を減らすためにも、食物繊維と水分の増量は欠かせないみたいですね。
まー、便秘の原因ってのはさまざまなので、食物繊維によって必ずしも便秘が治るとは言いづらいのですが、慢性の便秘にお悩みの方は、ぜひサイリウムかペクチンをお試しいただければ。