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今週半ばの小ネタ:揚げ物でうつ病や不安症のリスクが高まる、飲酒で早死にするってデータがまた出てた、髪が薄くなったらスキンヘッドにしとけ


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

 

揚げ物でうつ病や不安症のリスクが高まる説

「揚げ物は体に悪い!」とはよく聞く話で、このブログでもよくそんなことを言ってるわけです。揚げ物は高温を使うので、どうしてもアクリルアミドっていう悪い物質が増えちゃうんですよ。

 

 

で、新しい研究(R)もまた揚げ物に関する調査で、結論から言いますと、

 

  • 揚げ物でうつ病や不安症のリスクが高まるんじゃない?

 

みたいになります。140,728人の男女を約10年間にわたって調べまくったら、「揚げ物をよく食べる」と答えた人と、「フライドポテトをよく食べる」と答えた人は、不安とうつ病のリスクがそれぞれ12%と7%ずつ高かったんだそうな。んー、これは怖い……。

 

 

ちなみに、研究チームは、「アクリルアミドのせいで脳のバリアに不調が出るのでは?」と推測していて、これまた怖いことになってたりします。嫌ですねぇ。

 

 

ただ、これはあくまで観察研究につき、「揚げ物が悪いんじゃなくて、メンタルが不調な人ほどジャンクなものを食べたくなるからかも?」って可能性も否定できませんので、そこはご注意ください。サンプルサイズがかなり大きな研究ではありますが、メンタルヘルスに影響を与える日常の変数ってめちゃくちゃ多いので。

 

 

また、ほかの難点を言っておくと、

 

  • ここでは動物実験もしているが、使ってるアクリルアミドの量が多すぎて、ヒトに当てはめるのはかなり無理がある。

 

  • このチームがアクリルアミドにだけ着目した理由も不明でで、揚げ物とメンタルヘルスをつなぐ経路はほかにもたくさんありそう。

 

ってとこは判断が難しいとこです。なので、このデータだけ見て「揚げ物はファック!メンタルの敵!」とか思わないようにお願いします。週に2〜3回チーズバーガーやフライドポテトを食ったところで、急にメンタルがどうこうなるわけじゃないので。

 

 

 

 

飲酒で早死にするってデータがまた出てた件

酒はちょっとでも体に悪い!」ってデータが増えてきた昨今ですが、新たに出たメタ分析(R)も「酒≒毒」説をさらに強固にする内容になっておりました。

 

 

これは480万人以上が参加した107の研究データをまとめたもので、結論から言っちゃうと、

 

  • 1日に45g以上のアルコールを摂取する人、つまりおよそ3杯のお酒を飲む人は、アルコールを全く摂取せずに一生を終える人と比較して、早死にする可能性が19%高かった。

 

  • 1日に65g以上、つまり5杯近くアルコールを摂取する人は、全く飲まない人に比べて早死にする可能性が35%高かった。

 

  • 大量の飲酒は男性よりも女性のほうが危険で、毎日65g以上のアルコールを飲んでいる人のうち、女性は早死にするリスクが61%増加したのに対し、男性の増加率は34%だった(これは、シンプルに男性のほうが体格が大きいからでしょうな)。

 

  • 1日に1〜2杯、または25gまでのアルコールを摂取する人の早死にリスクは、アルコールを飲まない人と同じぐらいかもしれない。

 

ということで、毎日25〜44gのアルコール、つまりおよそ2〜3杯のお酒を飲む人は、飲まない人に比べて死亡リスクが高いんじゃないか?という結論であります。まぁ、データを見てると、偶然による可能性は排除できんなーって感じですけど、過去のアルコール研究とも整合性がありまして、やっぱ酒はアレなんだろうなぁ……ってとこですね。

 

 

研究チームいわく、

 

適度なアルコールが健康を増進させるという考えには、懐疑的であるべきだ。

 

とのこと。ちなみに、分析の限界として、この研究では、飲酒習慣の経時的な変化を追いかけてないし、研究によっては、健康上の理由で禁酒した人と「アルコールを飲まない人」と同じカテゴリーに分類してるんで、ここらへんはまだ謎が多いところです。

 

 

とはいえ、やはり酒にはあんまメリットがないし、ダメージのほうが大きそうなのは間違いないんで、そこは心に留めておくといいでしょうね。

 

 

 

 

髪が薄くなったらスキンヘッドにしとけ

 

髪が薄くなったらスキンヘッドにしとけ!」と思わせる話(R)が出ておりました。

 

 

これはペンシルベニア大学が行った研究でして、研究チームいわく、

 

男性型脱毛は、自尊心やボディイメージの低下、ストレスやうつ病との関連性が指摘されている。

 

ということで、過去の研究では、男性が薄毛になると、メンタルに悪影響が出てしまうケースが多いらしい。

 

 

そこで研究チームは、ハゲた男性に対するイメージをチェックすべく、男女の学生を対象に3つのテストを行ったんですよ。ちなみに、チームがこういう実験を行ったのは、主筆のアルバート・マネス博士自身が、30代前半から薄毛に悩み始めたからだそうです。なんかかわいいですね。

 

 

で、この実験がどんなものだったかと言いますと、

 

  • 学生たちに、ハゲた男性の写真(一部はデジタル処理で髪を加えたり取り除いたりしている)を見せ、それぞれの魅力、自信、優位性の観点から評価するように指示する。

 

みたいになります。いろんな毛量の男性の写真を見てもらい、それぞれの魅力度や自信レベルをチェックしてもらったわけですね。

 

 

でもって、結論はこんな感じになりました。

 

  • スキンヘッドの男性は、整った髪形の男性よりも背が高く(平均2.5センチ)、力も強い(ベンチプレスの能力が13%高い)とみなされた。また、スキンヘッドの男性ほど、リーダーとしての潜在能力も高く評価された。

 

  • 一方で、薄毛の男性は、ほとんどの人から弱そうでリーダーにふさわしくないと評価された。

 

ということで、薄毛の男性は、いっそ完全なスキンヘッドにしてみたほうが背が高く見えるし、力も強くてリーダーとしてふさわしいように思われるわけですね。

 

 

なんで、こういう効果が出たのかは不明ですが、研究チームは「頭を完全に剃る人は大胆さが大きいと思われるからでは?」と推測しております。まぁ日本でも同じ現象が再現されるかは謎ながら、薄毛でどうにもならない人は、いっそスキンヘッドを目指すのもいいかもですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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