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心理療法のプロ「人生を変えるのに最も重要なスキルのトップ3はこれだ!」

 


なぜ心理療法は効果があるのか?」ってのを掘り下げた文献(R)がおもしろかったのでメモしときましょう。

 

 

この研究を行ったのは「アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT) 」でおなじみスティーブン・C・ヘイズ先生。このブログではおなじみのマインドフルネス系の認知行動療法「ACT」の第一人者ですな。

 

 

で、ヘイズ先生が、この研究でどんな問題意識を持っていたのかというと、

 

  • メンタルの改善法っていろいろあるけど、なんで効いてるかわからんなぁ……

 

って感じです。心理療法ってのはいろんな種類があって、それぞれに効果が認められてはいるものの、そもそもメンタルが改善する理由はなんなの?ってことですね。ひとくちに「メンタルが改善」といっても、

 

 

みたいにいろんな経路がありまして、なにが効いてるのかは判断しづらいんですよね。要するに、今までの心理療法ってのは、全身麻酔薬と同じようなもんで、「よくメカニズムがわからんけど、なぜか効くんだよなぁ……」って感じだったわけです。

 

 

そこでヘイズ先生は、媒介分析を使って「心理療法は、なにが効いてるのか?」をチェック。合計54,633件の研究をピックアップしつつ、4年にわたって研究を続けたんだそうな。めちゃくちゃ力作だ……。

 

 

で、その結論をひとことで申し上げますと、

 

  • 「心理的な柔軟性」と「マインドフルネス」が、他の要因よりもはるかに有効であることがわかった。

 

だったそうです。言い換えれば、嫌なことがあっても、ネガティブなことをそのまま受け入れ、複数の角度からものごとを考えられる能力が、結局はすべてを上回るメンタル改善の要因なのではないか、ってことですね。

 

 

でもって、さらにデータをくわしく見てみると、

 

  • 心理的な柔軟性とマインドフルネスの組み合わせは、心理療法がうまくいく原因の45%近くを占めていた。
  • 心理的な柔軟性とマインドフルネスによく似た概念(セルフコンパッションや行動活性化など)を加えると、同じ数字が約55パーセントに増える。

 

みたいになります。心理療法が効く理由のほぼ半分は、心理的な柔軟性とマインドフルネスが占めているってことですな。

 

 

研究チームいわく、

 

(心理的な柔軟性とマインドフルネスの2つは)最も多くの分野で最も良い効果をもたらす最小限のスキルセットだ。不安、うつ、依存症、その他あらゆる種類の問題に苦しんでいても、心理的な柔軟性とマインドフルネスがあれば、これらの問題にもっと効果的に対処し、人生を有意義な方向へ導くことができる。

 

とのことでして、とりあえずはこの2つを率先して鍛えていくのがよさそうであります。

 

 

では、この「心理的な柔軟性とマインドフルネス」ってのがどのようなものなのかってことで、ここで先生は「3つのスキルが1つになったもの」だと言っておられます。その3つってのは、だいたい以下のようになります。

 

 

  • 三本柱その1:自覚:最初の柱は「自覚」で、これは「今この瞬間に起こっていることに気づくこと」を意味しております。いま、自分の脳内に「どんな思考がが出てきているか?」「自分の体にどんな感覚があるのか?」みたいに、自己の感覚に気づくのがめっちゃ大事。マインドフルネスの超基本的な要素ですね。

 

  • 三本柱その2:オープン性:2つ目の柱は「オープン性」で、これは「困難な考えやつらい感情をそのまま受け入れること」を意味してまして、このブログでいう「アクセプタンス」に近い概念ですね。通常、たいていの人はネガティブな考えや感情を取り除くためにセラピーを受けようとするんだけど、人間の心ってのは「痛みをなくそうとすればするほど拡大される」ようにできてるんで、その代わりに嫌な思考や感情をありのままに受け入れたほうがいいってことです。ここについては「無(最高の状態)」の「降伏」に書いてますんで、そこをご参照ください。

 

  • 三本柱その3:価値ある関与:最後の柱は「価値ある関与」で、これは「自分にとって何が重要かを知り、その方向に向かって進むこと」を意味しております。自分の目標と価値観をはっきりさせて、そこに向かって生きていくのがいいよーってことですね。このポイントについては、「最高の体調」の第6章「価値」でがっつり紹介してますんで、こちらを参照していただけるといいでしょう。

 

 

ってことで、この3つのスキルが最も重要だと言われれば、確かにそうかもなーって気がするわけです。メンタルのどこを鍛えるべきかに迷ったら、「自覚、オープン性、価値観をやるぞ!」と考えておくといいかもですね。

 

 

例えば、もし仕事でイライラした場合は、

 

  1. そのイライラに気づく
  2. そのイライラを受け入れる
  3. そのうえで、自分が価値あると思う仕事をやり遂げる

 

みたいな感じになりますね。こういうスキルってのは、運動と同じように、練習すればするほど上手くなりますんで、お試しいただければ幸いです。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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