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今週半ばの小ネタ:カレンダーはデジタルより紙でしょう!薬と同じぐらいメンタルを改善する運動ルーチンはこれだ!


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

  

カレンダーはデジタルより紙でしょう!

カレンダーはデジタルより紙でしょう!というデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはコロンビア大学ビジネススクールの研究で、たぶん「紙のカレンダーとデジタルカレンダーはどっちがいいの?」って問題に取り組んだ、初めてのデータじゃないかと思うわけです。研究チームいわく、

 

誰もが何らかのカレンダーを使っているが、予定された仕事を終えるのに困難を覚える人は多い。これは、紙のカレンダーではなく、デジタルカレンダーに頼っていることが原因かもしれない。

 

とのことで、スマホのカレンダーは便利だけど、タスクの達成という意味では紙に劣るんじゃないか、と。

 

 

具体的には、研究チームは3つの実験を行ってまして、

 

  • 最初の研究では、129人の学生に「紙のカレンダー」と「モバイルカレンダー」のいずれかを使うように指示。2週間後に、どれだけ予定をこなせたかをモニタリング。その結果、紙カレンダーの利用者は、モバイルカレンダーの利用者も計画の達成度が高かった33% vs 53%)。

 

  • 2つ目の実験では、450人の参加者に、紙かモバイルのカレンダーを使うように指示。みんながどのような計画を立てたのかを第三者が判定したところ、紙のカレンダーを使用した人は、モバイルカレンダーを使用した人よりも、より質が高くて詳細な計画を立てていることがわかった。

 

  • 3つ目の実験では、500人の参加者に、紙かモバイルのカレンダーを使うように指示。2週間の計画をこなす様子を評価したところ、紙カレンダーの利用者が高い確率でタスクを完了していた。

 

って感じだったそうな。どの実験でも、紙のカレンダーを使ったほうが良い計画を立てるし、そのおかげで計画の達成度も高かったんだそうな。

 

 

では、なんで紙のほうが良いかというと、「紙カレンダーのほうが『計画の全体像』を把握しやすいから」だそうです。紙のほうが後々の計画まで一気に見通すことができるんで、そのぶんだけ計画の精度が高くなり、計画の達成度もあがるわけですね。確かにモバイルカレンダーって、1ヶ月のビューが見づらかったりしますからね。

 

 

研究チームいわく、

 

紙のカレンダーでは、予定をクリックすることなく、一度に多くのスケジュールの詳細を確認することができる。より効果的な計画を立て、生産性を高めるために、昔ながらの紙のカレンダーを使ってみたらどうだろう。

 

とのこと。うーん、紙にもどるか……。

 

 

 

薬と同じぐらいメンタルを改善する運動ルーチンはこれだ!

走りまくって抗うつ薬と同じ効果を得ようぜ!」ってデータ(R)が出ておりました。このブログをお読みの方であれば、運動がメンタルに良いってのは常識ですが、この研究では、

 

  • 運動の効果を抗うつ剤(エスシタロプラム)とガッツリ比較している
  • 具体的な運動のプログラムを公開してくれている

 

ってのがナイスなポイントです。「運動がメンタルに良いのは知ってるけど、具体的にどんなプログラムを組めばいいんだろう……」とお悩みの方には、かなり使える内容になってるんじゃないでしょうか。

 

 

これは、メンタルの不調に悩む男女141名を対象にしたもので、全体を2つのグループにわけてます。

 

  1. 抗うつ剤グループ:エスシタロプラム10mgを飲む(1日最大20mgまで増量が可能)

  2. ランニンググループ:週2~3回、45分間の屋外ランニングを行う

 

実験の期間は16週間で、ランニングのグループは、以下のようなプログラムをこなしたそうな。

 

  1. 軽いランニングで、10分間のウォーミングアップ

  2. 最初の4週間は、予備心拍数の50~70%で30分のランニング(週2~3回)
  3. その後の12週間は、予備心拍数の70~85%で30分のランニング(週2~3回)

  4. 5分の軽いランニングでクールダウン

 

予備心拍数ってのは、安静時心拍数(横になった状態で1分間測った脈拍)と最大心拍数の差のことで、例えば、最大心拍数が180で安静時心拍数が70の人が、強度70%の運動をしようとする場合、

 

  • (最大心拍数180ー安静時心拍数70)×0.7+安静時心拍数70=147

 

みたいな計算になります。あんま予備心拍数を使ったことがある人はいないかもですが、これを使うと、個人の体力に適した負荷を設定できるんで、さらに自分に合った運動レベルを見つけやすいんですよ。

 

 

で、結果はこんな感じです。

 

  • 症状がほぼ寛解レベルまで改善した参加者の割合は、ランニングセラピー群で43%、抗うつ剤群で45%と、どちらのグループでもほぼ同じだった。

 

  • また、うつ病や不安神経症の症状の重症度を比較したところ、両グループとも同じような結果だった。

     

  • ランニング療法群では心拍数、ウエスト周囲径が減少し、肺機能が向上した。一方で抗うつ剤グループには、体重の増加、拡張期血圧のわずかな上昇、中性脂肪の上昇がみられた。

 

ということで、ランニンググループの効果は抗うつ剤と変わらないし、健康レベルも改善するという、非常に良い結果ですね。「予備心拍数の50~70%で30分のランニング」なら、そこまで大変じゃないので、なんか不安が辛いという人は試してみてもいいでしょうな(もちろんガチのうつ病だと、そもそも運動などできないから、そこは薬が必要になるでしょうが)。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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