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不安の専門家「仕事がデキる人ほど不安と仲良くしてるよねー」

 


不安な成功者(The Anxious Achiever)」って本を読みました。著者のモーラ・アーロンズ・メレさんは有名な起業家だそうで、ここでは自身の体験をベースに、「不安感のよいところを活かそう!」ってテーマが貫かれておりました。

 

 

といっても個人の体験談に終始するのではなく、心理学の文献をいくつも引用しているし、専門感のインタビューも多いし、実践的なアドバイスが多いしで、私のように不安になりやすい人には参考になるところが多いんじゃないでしょうか。

 

 

では、本書で勉強になったところを、まとめてみましょうー。

 

 

  • 不安は、メンタルヘルス、人間関係、そして人生の幸福に大きなダメージを与える。しかし、不安を理解し、それを活用する方法を学べば、リーダーシップ、モチベーション、創造性、共感、コミュニケーション、ビジョンなどの能力が上がり、逆に仕事のパフォーマンスを高めることができる。

 

 

  • このように、不安の活用に成功した者は「不安な成功者」と呼ばれ、目標志向、未来志向で、チームメンバーとして重宝されることが多い。これは、不安の感情は、私たちに変化の意欲やエネルギー、集中力をもたらしてくれるからである。 

 

 

  • しかし、多くの人が不安をうまく活かせないのは、不安に対して不健全なコントロールを行ってしまうからである。不健全なコントロールには、完璧主義、マイクロマネジメント、オーバーワークの3つがある。

    • 完璧主義:不安はよくないことだと感じて、すべてを最高の状態にしようとしてがんばる傾向。

    • マイクロマネジメント:不安にかきたてられて、細部にこだわりすぎたり、他人を監視しすぎたりする傾向。

    • オーバーワーク:不安を打ち消すために、とにかく働きまくる傾向。

 

 

  • 不安に弱い人の多くは、短期的な不快感をやわらげるために、不健康な反応に頼ってしまう。その結果、最終的にストレスが増え、エネルギーを消耗し、パフォーマンスも損なわれてしまう。長期的に不安を解消したいのであれば、自分が上記の罠におちいっていないかを監視する必要がある。

 

 

  • 不安を味方にするには、まずは「思考の罠」に注意する必要がある。これは、不安なときに起こる頭の中のネガティブで批判的な声を意味しており、そこらへんは「いやな気分よ、さようなら」のような本を参照。

 

 

  • また、不安を味方にするためには、不安が送ってくるメッセージに注意を向けるのも良い。「私はなぜ心配しているのか?」「私が不安がっているのは人か、状況ですか、それとも結果か?」「不安は、自分に何を伝えようとしているのか?」「会議の後でお菓子を食べたくなるのはなぜか?」「あの人からメールがくると、なぜ不安になるのか?」といったように、徹底的に自問してみる習慣をつけると、一気に不安を活かせるようになるケースが多い。

 

 

  • セルフコンパッションの実践も重要な手法である。「自己への批判的なジャッジ」を「自己への優しさ」に置き換えると、不安が大幅に軽減され、当人のパフォーマンスが上がることは複数の研究で示されている。これが習慣になると、気分が良くなり、より明確に考えることが可能となり、思考の罠から逃れることができる。

 

 

  • さらには、自分が近ごろ行った「小さな達成感」を思い出すのにも効果がある。仕事で成功を収めた、友人との会話がうまく進んだ、忙しい日でもエクササイズできたなど、どれだけ小さな達成でもいいので、それをじっくりと思い出して心から感じてみるだけでも、ネガティブな考えや批判が自然と減少していくことがわかっている。

 

 

  • 「ユーモア」も不安を活かすために重要なポイントで、ここでおすすめなのは「思考の罠を論理的につきつめてみる」というやり方である。例えば、「タイプミスが原因で実際​​にクビになる人が存在したらどうなるか? 」「会社が売上目標を達成できなかったのが、自分だけのせいだったら、その後の会社の運営はどうなるのか?」と考えてみると、自分の頭に浮かぶ思考の不条理さが際立ち、どんどん馬鹿らしくなっていくはず。そこに客観的な思考が生まれ、不安が解消される。

 

 

  • シンプルに、身体を鍛えるだけでも、自分の頭から抜け出して不安を解消することができる。階段を駆け上がる、立ち上がってストレッチをする、音楽をかけて踊るなどの行動をこなすだけでも、脳内のネガティブさと自分を切り離すことができる。

 

 

  • ガイドつきの瞑想は、自分がはまりがちな思考の罠に気づくために有用である。静かに座って瞑想を行うと、自分の脳内に浮かぶ破滅的な思考に気づく力を養うことが可能となる。特にガイド付き瞑想は自分の思考に集中しやすいため、不安な人ほど使ってみたほうがよい。

 

 

  • 最後に、ネガティブな思考が起きた直後に「やめた!」と自分に言い聞かせるのも有効である。思考の罠に陥ったのに気づいたら、文字どおり「ノー!」「やめた!」「あとでまた不安になるぞ!」と自分に言いきかせるだけでも、私たちの思考は中断され、ネガティブな思考から解放されやすくなる。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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