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想像だけでスキルが上がる「メンタル・プラクティス」の効果を高める5つのポイント


メンタル・プラクティスの効果がすごいぜ!ってレビュー(R,R)を、西オーストラリア大学のアラン・リチャードソン先生がまとめてくれておりました。

 

 

メンタル・プラクティスってのは、頭のなかでトレーニングをする方法のことで、アスリートやミュージシャン、ダンサーなどに幅広く使われている練習法のこと。例えばゴルフのプレイヤーだったら、脳内でグリーンに出かけて、自分がドライバーでかっ飛ばしている様子を、細かくイメージしてみるわけですな。

 

 

このレビュー論文では、30年にわたる過去の研究をまとめてくれていて、いかにメンタル・プラクティスが有用かを示してくれております。ここから、個人的にためになったポイントを抜き出すと、以下のような感じです。

 

 

メンタル・プラクティスの基本

  • メンタル・プラクティスは、長らくいろんなジャンルで使われており、ダーツ、バスケットボール、ジャグリング、プレゼンのスピーチなど、あらゆるタスクで効果が示されている。

 

 

  • もちろん、実際に練習するほどの効果はないものの、メンタル・プラクティスは、何もしないよりは確実にはるかに高いパフォーマンス向上をもたらし、その効果は、うまくやれば身体的な練習とほぼ同じレベルになる。

 

 

  • ある研究では、何もしないときのパフォーマンス改善が10%だったのに対し、メンタル・プラクティスは60%だった。

 

 

  • ざっくり計算すると、「実際の練習」は「練習しない」より10倍のパフォーマンス改善をもたらし、「メンタル・プラクティス」は「練習しない」より5倍のパフォーマンス改善をもたらす。また、「実際の練習」は、「メンタル・プラクティス」より2倍程度のパフォーマンス回線をもたらす。

 

 

  • ただし、一部の研究では、あまりにメンタル・プラクティスをやりすぎると、逆にパフォーマンスが低下することもあるため、正しい実践法を心がけるのが大事になる。

 

 

 

メンタル・プラクティスが効く理由

  • メンタル・プラクティスを行うと、脳がそのタスクを「これは毎度おなじみの作業だ!」と思うようになる。人間の脳は、見慣れたものを好み、慣れたものごと簡単に感じるようにできている。そのため、メンタル・プラクティスをくり返すほど、そのタスクへのモチベーションがアップする。

 

 

  • メンタル・プラクティスを行うと、脳内で情報がくり返し処理されるので、そのぶんだけ神経がうまく働くようになる。

 

 

  • メンタル・プラクティスを行うと、「良いパフォーマンスをするためには、どんな動きをすればいいのか?」が記憶の中に叩き込まれるので、それだけ自己認識が強まる。

 

 

  • メンタル・プラクティスを行うと、私たちの筋肉は、その動作を行うための情報を神経に伝える。この情報は、筋肉を準備モードに切り替えることができるため、後で実際に行動を起こすときにも、スムーズに筋肉を動かせるようになる。

 

 

 

メンタル・プラクティスの効果を高めるポイント

  • メンタル・プラクティスは、本人が視覚化に慣れれば慣れるほど効果が高まる。これは、より鮮明なイメージが浮かぶほど、脳が現実のアクションと同じように働くからである。そのため、メンタル・プラクティスの効果を高めたいときは、いま学んでいるものを、できるだけ細かいところまでビジュアル化する必要がある。

 

 

  • メンタル・プラクティスは、通常、ほんの数分間(20秒から3分ぐらい)に収めるのが望ましい。これよりも長いと集中力が失われやすく、身体的なスキルのパフォーマンスが上がりにくくなる。また、メンタル・プラクティスをやりすぎると、「反応性抑制」と呼ばれるプロセスが起きて、「慣れすぎ」や「神経の反応低下」につながる可能性もある。



  • 一人称の視点から行うメンタル・プラクティスは、「エゴセントリック」と呼ばれる。この方法では、自分が実際に楽器を演奏しているときの動き、音、場所などの細部を自分の視点からイメージする。そのぶんだけ、タスクの細部や正確なスキルを意識することができ、脳の理解度も高まる。

 

 

  • 三人称の視点から行うメンタル・プラクティスは、「アロセントリック」と呼ばれる。この方法では、自分が実際に楽器を演奏しているときの動き、音、場所などの細部を、自分ではない他人の視点からイメージする。この方法を使うと、自分自身から距離を置くことができるので、自分が何をしているのかを冷静に分析することができ、それが自信につながることが多い。

 

 

  • 本番に弱い人は、ポジティブなメンタル・プラクティスをしたほうがよい。これは、実際に観客がいる状況をイメージし、そのなかで自分がうまくプレイできている様子を思い描く方法である。これをくり返すことで、脳が本番の不安や恐怖に慣れ始め、本番でも良いパフォーマンスを発揮しやすくなる。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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