睡眠研究のプロ「ぐっすり寝たいなら時計を見るな!」
「ぐっすり寝たいなら時計を見るな!」ってデータ(R)が出ておりました。眠りにつこうとしているときに時計を見ると、不眠症が悪化し、睡眠薬の使用量も増えてしまうんだそうな。
これはインディアナ大学などの研究で、睡眠クリニックに通う患者さん約5,000人を集め、日ごろの睡眠時間とか、夜中の行動とかを調べ、どんな行動が睡眠のじゃまをしているのかをチェックしたんだそうな。
その結果を、研究チームは以下のようにまとめておきます。
「時間監視行動」は不眠症状を悪化させ、主に睡眠薬の使用に影響することがわかった。眠ろうとしている際に時間をチェックする行為は、不眠症状を悪化させ、睡眠薬の使用量を増やす可能性がある。
時計を見る人は睡眠不足を心配し、眠りにつくまでの時間や起きる時間を計算し始める。そのストレスが多ければ多いほど、入眠は難しくなる。
また、寝つきの悪い人が時計を監視すると、自分の睡眠時間を推定する精度が低くなる現象も見られた。時計を監視していると、実際よりも睡眠時間が短いと思ってしまうのである。
時間監視行動は、名前のとおり、夜中に時間を気にしちゃう行為のことで、これによって夜間のストレスが増え、結果としてどんどん眠れなくなるわけです。つまり、「夜中に時間を確認しない!」って単純な方法でも、不眠症がやわらぐかもしれないって話ですな。現代では、成人の4~22%が不眠症に悩んでいて、心臓病、糖尿病、うつ病などの原因になると言われてるんで、時計を見ないだけでもよいってのはありがたいですね。
なぜ「時計を見る」って行動が、そこまで睡眠をさまたげるのかと申しますと、以下のような流れになります。
- 夜にベッドで時間を確認する。
- 時間を見たことで、「いま寝れないと、どれくらいの睡眠時間が失われるんだろう?」「あとどれくらい眠れるんだろう?」といった計算がはじまる。
- これらの思考のせいで脳が興奮し、さらに思考がブーストする。「いっそ寝坊しちゃおうかな……。いや、それじゃ明日の仕事についていけない! 子どもたちとも遊べなくなるし、レストランの予約もキャンセルしなきゃならないし......。あとは、ジムにも行けないな......。もう嫌だ! 普通の人はもっと眠れてるはずだ! 睡眠をコントロールできない自分なんてダメだ!」みたいな感じ。
- このやって思考が連鎖することで、さらに脳の興奮が高まり、不安、心配、フラストレーション、絶望、あきらめなどの感情がいよいよブーストする。
- 不眠!
結局のところ、不安こそが最大の問題だってことでして、「時計を見る」のがその原因のひとつだって話ですね。
さらに研究チームいわく、
私たちができることのひとつは、時計の向きを変えたり、時計を隠したり、スマートウォッチを捨てたり、携帯電話をしまうなどして、単に時間を確認しないようにすることだろう。夜間に時計を見ることが、特に役に立つ場面などない。不安そのものが入眠を難しくするのだから、一晩の寝つきの悪さに一喜一憂しないことが大切だ。
とのこと。もしいま不安で眠れない自覚がある方は、とりあえず寝室の時計を覆ってみるともいいかもしれないっすね。そのうえで、何晩か試してみて、違いが出るかどうか見てみるのがおすすめです。
まぁ「夜中に時間をチェックしない」ってのは認知行動療法の世界では昔から言われてきたことですし、「不老長寿メソッド」でも快眠アドバイスのひとつとして取り上げた話ではあります。「不安こそが不眠の最大原因だ」ってのもよく言われることなので、その点で新味のある結果でもないんですけど、それでも寝室に時計を置き続けている人は多いですからねぇ。
ちなみに、このような「不安のせいで眠れなくなってしまう!」って問題への対策としては、
ってやり方もあったりします。こちらのテクニックは、ベッドのなかで「明日は企画書を書いて、経費の精算もしないとなぁ……」みたいに、翌日の仕事が頭をよぎってしまい、そのせいで眠れなくなる問題に立ち向かうために生まれたもの。夜間に仕事の不安がブーストしちゃう方は、合わせてお試しください。