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好奇心ヤバい!人生を改善する力が大きすぎる!という本を読んだ話


  

シーク 好奇心が人生を変え、世界を変える(Seek: How Curiosity Can Transform Your Life and Change the World」って本を読みました。著者のスコット・シゲオカ先生は名前を存じ上げなかったんですが、カリフォルニア大学バークレー校の教員をやっている方らしい。

 

サブタイトルどおり、本書は好奇心をテーマにした一冊で、いかに好奇心が重要か、いかに好奇心が人生を変えるポテンシャルを持つかを、データをもとに教えてくれて良い感じでした。このブログでも好奇心の重要性はさんざん書いてるんで、私も気になる内容でしたねー。

 

ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。

 

 

  • 「知りたい!」の研究は昔からあり、ジャン・ピアジェのようなレジェンド心理学者も、「好奇心は空腹や性欲と同じぐらい生存に不可欠だ!」と主張した。人類の祖先は、好奇心を使って水や食料を探し、学習意欲を高め、人間関係を築いたのだから、これも当然かもしれない。

 

  • 研究によると、幼児も「目新しいものを」好み、よく知ったものよりも新しいものを見るほうを選ぶ。fMRIスキャンを使った研究でも、好奇心が旺盛なときにはドーパミンが分泌されることがわかっている。

 

  • 好奇心は学習にも力を与え、赤ん坊が言葉を学ぶのは好奇心が本質的なモチベーションになっている。幼児が「なぜ」を連発するのも、好奇心を使って言語を学ぼうとする脳の働きがあるからである。

 

  • しかし、好奇心は単なる学習ツールではない。心理学者のトッド・カシュダンは、好奇心と人間関係のいくつも研究を行い、「好奇心は周囲との関係を強化する入り口だ」と指摘している。好奇心には、他人との関係を改善する力があり、他者との意見の相違を乗り越え、数十年来の夫婦関係を復活させ、痛みやトラウマを癒す助けとなるからである。

    それというのも、本当の好奇心は、自分の内面を深く掘り下げるような疑問を呼び起こしてくれるからである。たとえば、「お金を稼ぐために何をすべきか」ではなく「私を生き生きさせるものは何か」、「どの政治思想を支持するか」ではなく「分の大切な価値観は何か」などである。このような自己の掘り下げが、他者との関係改善につながっていく。

 

  • さらに、好奇心は私たちの寿命を延ばす働きもある。事実、好奇心が低い高齢者は死亡率が高いことを示した研究結果もある。同時に、好奇心は生活の質も向上させる。好奇心旺盛な人はより幸せで、不安にも寛容で、生活満足度が高まり、幸福感が向上することを示したデータも多い。

 

  • 好奇心には、「内側」「外側」「超越」という3つの方向性がある。

    好奇心が内側に向くと、私たちは自分自身のニーズ、信念、夢についてよりよく理解しようとする。内なる好奇心を実践することで、私たちは自分の人生の重要な価値観(時間をどのように使うか、何を大切にしたいのか、自分自身をどのようにケアするかなど)をより深く意識できるようになる。

    内向きの好奇心が発動すると、私たちは自然と次のような質問をする。

    • 自分にとって健康的な生活環境とはどのようなものか?
    • 私はどのように受け入れられたいのか?
    • 私を生き生きとさせてくれるものはなにか?
    • 私はどんな人生を望んでいるのか?

 

  • 外側の好奇心は、他人や世界に対する理解を深めることを意味する。友人の趣味を尋ねたり、新しいことを学んだりするときには、外向きの好奇心が発動している。

    外側の好奇心時間とエネルギーを費やすと、さまざまなバイアスを減らすことができる。外向きの好奇心を発動させると、私たちはより集団的で調和的な考え方になり、周囲との関係が良くなることが多い。

 

  • 「超越」に向いた好奇心とは、自然や精神性を探究するモチベーションのこと。「自分とはなにか?」「人生の意味とは?」「人間であるとはどういうことか?」「意識とは何か?」「私が死んだらどうなる?」といった質問が代表的なものである。

 

  • 上記の好奇心がなかったとしても、好奇心は筋肉のように鍛えられるので心配ない。そのためには、「DIVE」と呼ばれるフレームワークを使うのが有効である。「DIVE」とは、Detach(切り離す)、Intend(意図する)、Value(価値を見出す)、Embrace(受け入れる)の頭文字をとったもので、この4つの要素を追うことで、深い好奇心を養うことができる。

    • Detach:思い込み(assumptions)、偏見(biases)、確信(certainty)とのABCを手放すように心がけること。深い好奇心を持って世界に関わるためには、自分がすでに知っていることを検証するだけでなく、自分が「間違っていた!」と驚けるようなものを意図的に探すことを意味する。

       

    • Intend:深い好奇心を築くためには、「好奇心を持つぞ!」と意識するのが意外なほど大事だったりする。それだけでも、好奇心はブーストする。

       

    • Value:すべての人を大切にするマインドのこと。一人ひとりが実在し、尊厳に値する人間だと見なせなければ、その人の考えや視点、生き方を否定しやすくなってしまう。

       

    • Embrace:人生の失敗をがっつりと受け入れるメンタルを作る。これには、マインドフルネス瞑想を使ったアプローチが重要である。要はアクセプタンスが大事。

 

  • 以上の筋肉を意図して鍛えることで、私たちは深い好奇心を増加させることができる。すべてを同時に使う必要はなく、身体の筋肉と同じように、それぞれの要素を分離して強化できる。

 

  • 子供が親の行動を真似るように、私たちは皆、無意識のうちに周囲の人の行動に影響を受けている。そのため、多くの研究絵は、自分よりも好奇心の強い人に囲まれると、好奇心が強くなる傾向を発見している。

    また、この傾向は逆もまた真なりで、自分が会話や人間関係の中で好奇心を発揮すると、相手も好奇心を発揮してくる傾向がある。この心理を活かして好奇心がある人に近づくのも手である。

 

  • 好奇心を重要視する家族、職場、コミュニティに所属すると、その空間にいる全員が好奇心を持つようになるという研究もある。そのため、自分のいる環境をチェックするのはかなり需要になる。「好奇心は大切にされているか?「好奇心が軽視されていないか?」「不確実性を喜ぶ文化はあるか?」などのポイントが重要である。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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