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自分のコミュ障に立ち向かうための「アクセプタンスレベル診断テスト」

Act

 

 コミュ障にありがちな「社交不安」問題とは

コミュ障な人にありがちなのが「社交不安」であります。ざっくり定義すると、

 

  • 他人からネガティブに判断されることに激しい恐怖とストレスを覚える状態

 

みたいな感じ。「激しい恐怖」とまではいかずとも、

 

  • 人前で話すときに自意識過剰でガッチガチに
  • 結婚式に参加して自分の名前が書けない
  • エラい人の前に立つと緊張で無言に

 

ぐらいの状態は経験する人も多いかと思われます。かく言うわたしも社交不安の気がありまして、いまも対人コミュニケーションは苦手。他人と目が合わせられなかった15年前に比べると、だいぶマシになりましたけども。

 



 

社交不安は普通の療法じゃ対処しづらい

社交不安が難しいのは、なかなか普通の認知行動療法(CBT)では対処が難しいところ。もちろん一定の効果はあるんだけど、どうも認知のゆがみを正すだけじゃコミュ障は治らないっぽいんですよ。

 

 

というのも、社交不安が強い人ほど、コミュニケーションにともなう「緊張感」や「不安感」を避ける傾向がありまして、これが症状の軽減をさまたげる大きな要因になってるんですね。俗に「体験の回避」と呼ばれる現象です。

 

 

社交不安は不安と緊張を避けがち

どういうことかと言うと、

 

  1. 緊張感から目をそむけて「ないもの」として扱う
  2. 目をそむけようと頑張るせいで逆に「緊張感」に意識が向かう
  3. 意識が向いたせいで「緊張感」が必要以上に誇張される
  4. コミュ障の悪化!

 

みたいな流れです。目の前のケーキを意識しないように頑張ってたら、逆に食欲がわいてきちゃう現象と似てますな。

 

 

ACTがコミュ障を防ぐかも

で、そこで近ごろ「効くんじゃない?」と言われてきたのが「ACT」の技法です。従来のCBTにマインドフルネスアクセプタンスを加えたもので、第三世代の認知行動療法などと呼ばれております。

 

 

ACTの特徴は、CBTとは違って思考を強引に変えないところです。たとえば「俺は何をやってもダメだ!」って思い込みがあった場合、

 

  • CBT=「ダメじゃなかったときもある」という事実を思い出して思考を修正
  • ACT=いま自分は「俺はダメだ!」と思ったんだなーという事実に気づいて観察する

 

みたいな違い。思考の暴走に理性で立ち向かうCBTに対して、ACTはただ見守ることで暴走に巻き込まれるのを避けるイメージっすね。

 

 

アクセプタンスが社交不安改善のキモ

ACTのテクニックに慣れると、コミュニケーションにともなう不安と緊張を受け入れられるようになるんで、逆に症状がすばやく収まっていく感じ。とにかく不快な感情を受け入れる(アクセプタンス)のが大事なんですな。

 

 

これは個人的にもよくわかる話でして、かつての私は、

 

  1. 会話で緊張してるクセに何も動揺してないクールガイのフリをする
  2. 緊張が高まって何も言えなくなる
  3. 他人からは怖い人に思われる
  4. どんどん人が遠ざかる
  5. コミュニケーションの回数が少なくなり、さらに会話への苦手感が増す
  6. 1番にもどる

 

みたいな地獄の悪循環にハマってたりしました。ところが、いまは緊張のアクセプタンスを覚えたせいで、だいぶ普通の人っぽくなったのではないかと思われます(笑)

 

 

自分のアクセプタンス度を判断するには?

そんなわけで、コミュ障を治すにはアクセプタンスを鍛えるのが良いわけですが、その前に「自分はどれだけ不安や緊張感を避けてるの?」って問題を認識するのがはじめの一歩。原因の深さを知らないと対策の立てようがないですからね。

 

 

ってことで参考になるのが、近ごろライアソン大学が行った実験(1)であります。

 

 

これは「自分のアクセプタンスを計る方法」について調べた研究で、「SA-AAQ」って質問集の精度をチェックしたもの。2つの実験をとおして「SA-AAQ」が使えるかどうかをチェックしたら、わりと正しく参加者のアクセプタンス度がわかったというんですな。

 

 

自分のアクセプタンス度を判断する8つの質問

質問は全8問で、それぞれ1点(まったく当てはまらない)〜7点(完全に当てはまる)の範囲で点数をつけていけばOK。具体的には以下のようになっております。

 

  1. コミュニケーションの不安は、自分にとって価値のある人生を送る妨げになっている
  2. 社交不安について考えないように、自分に言い聞かせることがある
  3. コミュニケーションの不安をなくすために、人生で大事なものを犠牲にしていることがある
  4. 不適切なコミュニケーションをする自分を批判してしまうことがある
  5. 人生で大事な決断をする前には、自分の社交不安を減らさなければならない
  6. 自分がコミュニケーション不安に対して抱いている「考え方」が良いものなのか悪いものなのかを、よく考えてしまう
  7. 自分の社交不安は、自分が生きたい人生を送るジャマにはならない
  8. コミュニケーションで不安になっても、自分では認めないことがある

 

以上の8問は、奇数の質問が「社交不安の深さ」を計っていて、偶数は「アクセプタンス度」を計っております。数字の判断の方法としては、

 

  1. 奇数の質問の数字を足して平均値を出す
  2. 偶数の質問の数字を足して平均値を出す
  3. それぞれの平均が4以上の場合は一般的な人よりも症状が深刻

 

って感じになります。

 

 

まとめ

まぁ「瞑想の落とし穴」のときも書いたとおり、いまのとこ「アクセプタンスを鍛える確実な方法」ってのはわかってないので、当面のところはマインドフルネス瞑想セルフコンパッション法の2つを推奨。さらに詳しくいきたければ、ラス・ハリス「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 」などをご参照ください。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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